『パラノイアだけが生き残る』書評/まとめ「流れに逆らうな、乗れ!」

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『パラノイアだけが生き残る』

この本はアンディー・グローブの名著復刻第二弾。

1996年に出版された『インテル戦略転換』の復刊。でも、内容は古くない。最近書いたんじゃないかと思うくらいで。とても優れた本だと思う。

Apple創業者のスティーブ・ジョブズはこの本について、こう語る。
「この本のスーパー重要なコンセプト『戦略転換点』をみな学ぶべきだ。遅かれ早かれ、それはやってくるのだから」

アンディー・グローブは1979年から1998年にかけてインテルの経営を指揮した人。この間に売上高は40倍近く伸びた。彼がなぜそれだけの業績を挙げることができたのか?そのヒントがまさにこの本で述べられている。

まず印象に残る一節だと語っているのは1985年に会長、CEOだったゴードン・ムーアと社長だったグローブとの会話。

グローブ:もしわれわれが追い出され、取締役会が新しいCEOを任命したとしたら、その男は、いったいどんな策を取ると思うかい?
ムーア:メモリー事業からの撤退だろうな。
グローブ:(略)それをわれわれの手でやろうじゃないか。

この本は、変化、転換の話。変化を知り、転換し、流れに逆らわず、流れに乗る。本のテーマはまさにそれ。
では、この本のポイントをお話していきたい。

本のポイント

パラノイアとは何か

パラノイアとは何か。デジタル大辞泉だと次のように書かれている。

「内因性の精神病の一型。偏執的になり妄想がみられるが、その論理は一貫しており、行動・思考などの秩序が保たれているもの。妄想の内容には、血統・発明・宗教・嫉妬(しっと)・恋愛・心気などが含まれ、持続・発展する」

ただ、本書では「病的なまでの心配性」のという意味で。パラノイアであり続ける者がビジネスで生き残ると語る。

グローブによると、企業は必ず戦略的転換点に遭遇するという。戦略的転換点は根本的変化をもたらすタイミングのこと。それを見逃すと、破滅に向かう。

ただ、戦略的転換点は破滅に向かうリスクをもたらすだけではない。従来の方法を脱し、新しい方法に精通したものにはチャンスが生まれる。

10Xの変化(桁違いの変化)

企業の競争力を決定する要素は6つ。

1. 既存の競合企業
2. 供給業者
3. 顧客
4. 潜在的競合企業
5. 生産やサービス提供の方法が変わる可能性
6. 補完関係にある企業の力

6つのうち1つが劇的に変化することを10Xの変化という。要は力の大きさが従来より10倍大きくなること。
この変化が起きる時、企業が直面する変化は巨大になる。

これだけ大事な戦略的転換点だけど、それに気づくことは困難で。最初の段階では「何か違う」という漠然とした不安しか感じない。それが大きなうねりになって変化が進められる。

この戦略的転換点をどう乗り切るのか?
誰も事前にはわからないし、わかるようになるまで待つと破滅する。
戦略的転換点を乗り切るには、直感と判断しかない。
だからこそ、自分の直感力を磨き、様々なシグナルを感知できるようにしなければいけない。

戦略的転換点で起こる2つの現象

現象は次の2つ。

・従来の構造で成功していた企業ほど、脅威にさらされる。
これまでの成功要因が通用しなくなり、大規模な変化を要求される(ただ、成功している企業ほど変化をためらう)。

・業界への参入コストが大幅に減少
結果、ゼロから始めた新規参入企業が大きな成功を収めることも珍しくない。

戦略的転換点の前触れ

戦略的転換点が起こるときは『シグナル』と同時に『ノイズ』も発生

何が『シグナル』で何が『ノイズ』か、を判断する絶対的な方程式は存在しない。
だから、決断を下すか検討し続け、時間の経過とともに再検討しなおす必要がある。『10X』の変化になりえる出来事には、たえず関心を示さなければいけない。

『シグナル』と『ノイズ』を見極める3つの問い

①主なライバル企業の入れ替わりがありそうか?
②これまで補完企業とみなしていた相手が入れ替わろうとしていないか?
③周囲に『ずれてきた』人はいないか?

①最も厄介なライバルは誰か、の問いに迷いが生じたときは変化が起こる兆候である可能性がある。
②産業内の力関係に変化が起きている兆候である可能性がある。
③これまでの企業の風土や方針が、外部の情報を遮断している可能性があるということ。
自分でも他人でも『物わかりが悪い』人がいた場合には、年を取ったから等という理由ではなく、周囲の何かが変化している可能性がある。

メッセンジャーを撃ち殺すな!

戦略的転換点を見極めるには、社内のカサンドラに目を向けなければいけない。(カサンドラ:トロイの木馬に登場する予言者)現場の人間からの報告、中間管理職からの報告。すべて『ノイズ』とみなしてはいけない。

中間管理職が重要な問題を知らせてきたとして、それを非難するのは会社にとって『毒』になる可能性がある。問題を報告すれば罰を受ける。そう感じたら、問題を隠すようになる。

一度でも、メッセンジャーを撃ち殺すな。その罰が従業員に広がれば、全員が口を閉ざすようになる。

資源の配置転換

戦略的転換点を迎えたときは、戦略を大幅に変更することになる。目指すべき戦略に、人材、経営資源、時間などの資源を集中投下する必要がある。
リスクヘッジをかけて、戦略転換点の時期を乗り切ることは出来ない。途中で躊躇したり、迷ってはいけない。最も危険なのは、じっと立ち尽くすことだ。

キャリア転換点

会社員だろうと、個人事業主だろうと、人は誰でも自分のビジネスを営んでいる。ビジネスに転換点が訪れるように、自身のキャリアでも転換点は起きる。最も重要なのは、自らの環境変化に敏感でいることだ。

「自分に影響を及ぼす変化の性質を知り、理解して、それを基本に自分の方向性を見極めることだ。そうすれば変化の影響を避ける方向に進むことができる。来ることがわかっている変化の波を受けにくい仕事で、自分の知識やスキルを活かせるものを探す(さらに良いのは、初めから変化を生かす仕事を探すことだ。流れに逆らうより、流れに乗るのである)」

書籍内容

予測不可能な今こそ、読んでおくべきシリコンバレーの名著、待望の復刊!

「この本のスーパー重要なコンセプト『戦略転換点』をみな学ぶべきだ。遅かれ早かれ、それはやってくるのだから」
――スティーブ・ジョブズ

「このすばらしい本はデンジャラスだ。人を考え込ませる」
――ピーター・ドラッカー

パラノイア(病的なまでの心配性)だけが生き残る――。これはインテルを世界的な企業に育て、現在もシリコンバレーの経営者たちに尊敬されているアンドリュー・グローブ氏のモットーだ。

成功すればするほど、そのうま味を味わおうとする人びとが群がり、食い散らかし、そして最後には何も残らない。

そして、テクノロジーが発展し、顧客の好みが変わり、規制が変わることなどから、「戦略転換点」が襲いかかる。これを見逃したら、企業にとっても、個人のキャリアにとっても命とりだ。

チップのバグで4億7500万ドルの巨額損失を計上したり、日本メーカーの攻勢で主力メモリー事業からの撤退をしたり、修羅場を乗り越えた「パラノイア」(超心配性)である著者が、「戦略転換点」を見極め、予測不可能な世界でしぶとく生き残るための方法を教える。

<著者について>

グローブ,アンドリュー・S.
元インテルコーポレーション会長兼CEO(最高経営責任者)。1936年、ハンガリーで生まれる。ニューヨーク市立大学を卒業、理学士(ケミカル・エンジニアリング)。1963年、カリフォルニア大学より博士号を取得。フェアチャイルド社研究所勤務を経て、1967年、同研究所アシスタント・ディレクター。1968年、故ロバート・ノイス博士およびゴードン・ムーア博士とインテルコーポレーション設立に参画。1975年、上席副社長に就任。1976年、COO(最高執行責任者)に、1979年、社長に就任

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