もしも、イチローが起業家だったら…「起業家として何を語るのだろうか」1

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イチローが起業家だったら…

これは完全に空想の世界。
でも、全くのいい加減というわけでもなく、イチローが過去発した言葉。それを元に創った「もしもイチローが起業家だったら」という話。

イチローというのは、そうこのイチロー。

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この未来の世界で、イチローがいつ野球から離れたのかはわからないけど、かなりの歳月が流れ、現在、イチローは起業家として成功をおさめ、今ではイチローではなく、鈴木社長とか、鈴木さんと呼ばれている。

若い世代にはもはやイチローと呼ばれていたことを知らない人が多く、鈴木社長の方がしっくり来る時代。

起業家の青年がイチローに会う

そんな時代に30歳前半で会社を辞め、起業して1年ほどが経過した青年(浅見)がイチローに会いに行き、悩みを打ち明けるところから物語は始まる。

起業家イチローはそれに対して、何と答えるのか。
一体、どんな風に起業家であるイチローは答えるんだろう、という単なる好奇心。この段階では僕もなんと答えるのかはわからない。でも、本当に興味がある。

では、物語がはじまる。

はじめての出会い

さて、まずは青年の話だけど……。
彼は会社員を辞めた瞬間が最も幸せだった。
将来はどうかはわからないけど、少なくともこれまではそうだった。

10年ほど勤めていた会社を辞める。これは想像していた以上に解放感があった。大げさな話ではなく、辞めた瞬間、身体の調子が突然良くなったような気にもなっていた。

「浅見、最近の調子、どうだ?」

と昔の職場の同僚から、連絡が来ると、「絶好調だよ」と返していた。

ところが、それが数ヶ月が経過し、ジワリジワリとうまくいかなくなってくる。

「売上は最初から上がるわけないでしょ……」と少しは余裕にかまえていたのだけど、そんなに甘くはなかったし。売上が上がらない状況が続き、資金的なプレッシャーがとにかくきつい状況になっていった。

しかも、例の連絡が時々来る。

昔の職場の同僚からだ。「最近の調子、どうだ?」といつものように、連絡が来る。そんな他人の目も気になっていた。

売上は上がらず、資金は徐々に減っていき、さらに他人の目。そんな強烈なプレッシャーがのしかかり、苦しくなっていた。そんな状況もあって、何かを求めていたのだろう。普段の青年だったら、鈴木社長(イチロー)ほどの凄い人と会える機会があっても、会おうとはしなかった。

そんな凄い人と会って、何を話せばいいんだろう。話が途切れるんじゃないか、などと考えてしまうからだ。でも、その時は違った。

苦しかったのだ。

野球でも成功し、いや成功どころではなく、大成功を遂げ、さらに起業でも大成功を遂げる。きっと何かをもっているのだと青年は考えていた。そんなこともあり、鈴木社長とつながりがある方に話をつけてもらい、鈴木社長の企業の近くにある、お気に入りのカフェでお会いすることになった。

カフェについてからの青年は何か落ち着かない。約束の30分前にはついたのだけど、席でじっとはしていられなくて、トイレに行き、何度も自分の身だしなみをチェックしていた。

そうして、戻ると、席の近くに鈴木社長がいた。

遠目で見ても、その立ち姿が違う。同じような年の方とはもちろん、これまでに幾度となく会ったことがあるけど、全く別の人間に見えた。そんなことを思いながら、声をかけた。

「こんにちは。鈴木社長ですよね」

緊張していたので、震えるような声だった。

その挨拶に気がつくと、こちらを振り返り、「こんにちは」と言いながら、笑顔になった。でもただ微笑んでいるのではなく、颯爽とし、力が漲っていた。

悩みを語り始めた

軽く挨拶と雑談を終え、青年はこれまでの状況と悩みを語り始めていた。

「……お金の問題や他人の目など、本当にプレッシャーがきつくて、これなら、会社員の方がまだマシだと思ってしまう時もあります」

鈴木社長(イチロー)は黙って聞いていた。

「そうなんだ……」

青年は聞いた。

「鈴木さんはどうだったんですか。野球から起業すると言い出した時。その時はプレッシャーはなかったんですか。そんなこと、何ともなかったんですか?」

「僕にだってプレッシャーはある。どうしたって、プレッシャーはかかる。ただ、それでも僕は自分自身に期待していたよ。野球選手だった時からかな。僕は『自分がプレッシャーがかかる選手であったことが誇り』だった。
起業してもそこは同じだよ。みんながイチローはうまくいくのだろうか。野球はうまくいっても、起業なんて甘くはないだろう、とプレッシャーは避けられないよね。
そういう冷ややかな目で見た人も少なくなかったと思うんだ」

青年
「確かにそういう目もあったと思います。僕なんかに対してよりもはるかに大きなプレシャーだと思います。伝説の野球選手だったのですし……」

鈴木社長
「伝説は言いすぎだけど、ね。昔のことだし。ただ、あの時は凄かった。ある意味では野球選手の時以上に、だよ。野球選手がいきなり起業だしね。誰だって、無理だと思うよね。君は知らないかもしれないけど、過去でいうと、マイケル・ジョーダンがバスケから野球に転向したのだけど、それ以上だよね。きっと」

青年
「まさにそうだと思います。バスケから野球なら同じスポーツだから、わかりますが、スポーツじゃないですしね」

鈴木社長
「そうなんだ。だから、最初の頃は取材が凄くて仕事にならなかったよ。
でも、その時、意識していたことは野球の時と同じだよ」

青年
「えっ、何ですか」

鈴木社長
「うーん、じゃあ、一つ質問だけど、君は誰かの活躍を心底期待したことはある。願ったことは?」

青年は考え込んでから、言いづらそうにこう答えた。
「……ないかもしれません。嫌われるかもしれませんが、人の成功を本気で願ったりはしていなかったことに気がつきました」

鈴木社長(イチロー)は軽く微笑みながら……
「いや、正直でいいよ。そうなんだと思うんだ。それと同じように、君の活躍を本気で願っている人はいないのかもしれない。
だから、まずは自分だよ。誰よりも自分が自分の活躍に期待する、ってことだよ。

さっき、君が話していた『プレッシャー』の話だけど、プレッシャーがかかるビジネスマンであることは誇りだと思っているし、そして、何より他の人が何と言おうが関係ない。僕は僕に期待していた」

青年
「自分に期待……。でも、何でそんな風に自分に期待できるんですか?僕はそもそも揺らいでしまうことが多いです」

鈴木社長
「揺らぐ、か。その話をするなら、また次回だね。今日は随分と話したし、次の予定もあるんでね」

そう言って、鈴木社長(イチロー)はカフェから出ていった。でも、少し放心状態だった。偉大だと思っていた鈴木社長と話した興奮もあったのだけど、何より、自分とは正反対だったこと。

「僕は自分にそこまで期待できないのに……」

そう思いながら、冷たくなったコーヒーを口にいれた。

(2)に続く。
(一定の人気があれば、続けていきたいと思います)

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