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『ビジネスで失敗する人の10の法則』
この本は2009年4月に発売された本なのだけど、未だに人気がある。
タイトルは『ビジネスで失敗する人の10の法則』。
成功する、ではなく、失敗する法則。この10の法則が1つでも当てはまるなら、あなたのビジネスは高い確率で失敗するという。
著者はドナルド R キーオ。
コカ・コーラ元社長兼COOで。ロベルト・ゴイズエタCEOと共に12年間もコカ・コーラを経営し、世界200カ国以上のコカ・コーラ・システムを確立していった人物。
ウォーレン・バフェット、ジャック・ウェルチ、ビル・ゲイツが尊敬する名経営者ともいわれていて、彼はこう語っている。
「ビジネスのような変化の激しい分野で、成功の法則など作れるはずがない。だが、これをやれば必ず失敗するという法則ならお教えできる」
まさにそのための本がこの本。基本的な法則なのだけど。
こうしたことは、たとえば、あなたに「失敗する法則を10あげてみて」と質問すると、「うーん」と悩む人が多いと思う。
世界的な成功を遂げた人物が何を10の法則にあげ、一体、どのような考えでそこに至ったのか、それを学ぶことができるのが、この1冊。
余談なのだけど、この本をウォーレン・バフェットは1,000冊購入し、バークシャー・ハザウェイの株主総会で配布したと言われている。
本書に寄せられた言葉
「著者の法則が教えてくれるビジネス成功法は書棚に並んだすべての本に勝る」
ビル・ゲイツ
「全リーダーの必読書」
ジャック・ウェルチ
「信じがたいほど力のある経営指導者」
ウォーレン・バフェット
印象に残ったポイント
目次
いきなり、目次なのだけど。ここに法則の概要は載っている。もちろん、詳しい意味は本書を読んでほしい。
- 法則1:リスクをとるのを止める(もっとも重要)
- 法則2:柔軟性をなくす
- 法則3:部下を遠ざける
- 法則4:自分は無謬だと考える
- 法則5:反則すれすれのところで戦う
- 法則6:考えるのに時間を使わない
- 法則7:専門家と外部コンサルタントを全面的に信頼する
- 法則8:官僚組織を愛する
- 法則9:一貫性のないメッセージを送る
- 法則10:将来を恐れる
- 法則11:仕事への熱意、人生への熱意を失う
以上が法則だ。
タイトルは『ビジネスで失敗する人の10の法則』なのだけど、実際は最後に法則が加えられ、11の法則が述べられている。
これらは失敗の法則なので、1つでも当てはまれば、あなたのビジネスは失敗の確率が高まる。
……なので、これは本書には載ってはいないのだけど。逆にしてみれば、よりわかりやすくなる。仮に「ビジネスで失敗しない人の10の法則」とするなら……。
- 法則1:リスクをとりつづける
- 法則2:柔軟性をもちつづける
- 法則3:部下に近づく
- 法則4:自分の判断にも間違いはあると考える
- 法則5:反則すれすれのところでは戦わない
- 法則6:考えることに時間を使う
- 法則7:専門家や外部コンサルタントを全面的には信頼しない(自分も含め判断には間違いがある)
- 法則8:官僚主義を嫌う
- 法則9:一貫性のあるメッセージを送る
- 法則10:将来を恐れない。
- 法則11:仕事への熱意、人生への熱意をもちつづける
失敗する人の法則「リスクをとるのを止める」
法則1の「リスクをとるのを止める」。これはもっとも重要だという。
ドナルド・キーオ自身、リスクと反対の「順調」だと落ち着かなくなり、経営幹部にこんな質問をしていたという。
「いつも同じことを聞いて申し訳ないが、何もかも好調なのはなぜか。いま心配しておけば、今後はその点を心配しなくてもよくなる部分はもっとないのか」
多くの人は「失敗」を恐れる。自然とリスクの高い考えを消し去ってしまう。そうした習慣を続けていくうちにその発想はリスクが全くない、平凡なものになっていく。
失敗する人の法則「柔軟性をなくす」
コカ・コーラといえば、現在のペットボトルや缶ではなく、コカ・コーラ独特の形をした190ml入りの「瓶」。その独特の瓶で一定の売上を上げていたため、社内でも「コカ・コーラはあの瓶で売るものでしょ」という固定観念に囚われていた。
ライバルのペプシコーラ社が360ml入りの瓶で、同じ価格で量は倍、などと展開してきた時も変更することはなく、その後、売上も激減し、ようやくそれを変更しようとした。
固定観念に囚われすぎ、柔軟性をなくす。
これは「リスクをとるのを止める」のと同様のことを述べている。うまくいっているのだから、このまま(リスクをとらず)で、という考え方だ。
失敗する人の法則「部下を遠ざける」
あなたが部下だったら、社長への報告について、どう考えているだろうか。
これは企業によっても違うだろうけど、社長が社長室にいて、そこに報告に行くというのはやはりプレッシャーのかかるもの。特に大手であればあるほど、そうなってくる。
ドナルド・キーオ自身もその点について「社長室は問題だ」と語る。
社長室で待つのではなく、部下のところに行けば、部下は気楽に話してくれる。
これは顧客もそうだろう。顧客が問合せてくれるのを待つのではなく、部下のところに少しでも近づいていくことだ。
失敗する人の法則「自分は無謬だと考える」
無謬というのは「理論、判断に間違いがない」ということ。
シンプルにいえば、「自分は間違っていない」と考える人のこと。ドナルド・キーオ自身、これだけ優れた人でも間違いを犯したという。
現場を見ずに頭で考えただけでは間違ってしまうし(特に今は現場を見ずにネットで調べることができてしまうので、より起こりうる)。
役職が上になればなるほど、部下からの報告だけで判断してしまいがち。でも、現場で確認できることは自分でも現場を見ることが大切だと語る。
失敗する人の法則「将来を恐れない」
ドナルド・キーオはこう語る。
「失敗したいのであれば、将来を恐れるといい。成功したいのであれば、将来を楽観し熱意を持って将来に立ち向かうべき」
本当に悲観的な予測、最悪のケースはめったに当たることはないし、そうした考えに囚われると、リスクをとって新たな試みができなくなってしまう。
仕事への熱意、人生への熱意を失う」
「成功している人は必ず仕事に対する情熱を持っている」
これはそのとおりだろう。仕事はもちろん、人生への熱意、情熱を失えば、多くのことで失敗してしまう。
彼はこうも語る。
「仕事には情熱が必要だ」
「情熱は育てられる、つまり自らが育てるもの」
ドナルド・キーオのまとめの言葉
「リスクを取るのを止め、柔軟性をなくし、部下を遠ざけ、自分は無謬だと考え、反則すれすれのところで戦い、考えるのに時間を使わず、外部の専門家を全面的に信頼し、官僚組織を愛し、一貫性のないメッセージを送り、将来を恐れていれば、その事業は必ず失敗する」
書籍内容
会社がうまくいかない理由は経営者や社員の個人的資質にある。
10の法則が1つでも当てはまるならあなたの仕事は高確率で失敗だ。コカ・コーラの社長として12年間にわたり全世界の事業展開を指揮し、数々の成功と名声を得てきた経営者が、60年以上のビジネス経験から導き出した法則を初公開。
著者情報
ドナルド R キーオ
アレン&カンパニー会長。1927年生まれ。コカ・コーラ元社長兼COO。ロベルト・ゴイズエタCEOと共に12年間にわたりコカ・コーラを経営し、世界200カ国以上のコカ・コーラ・システムを活性化させた。その後、投資銀行のアレン&カンパニー会長を務めるほか、バークシャー・ハザウェイ、マクドナルド、ワシントンポスト、ハインツなど数多くの企業の取締役も務める。