売らずに売る
売り込みが苦手な人はもちろん、営業をしたくないと考えている人にとって、非常に魅力的だと感じるのが……
「売らずに売る」
ということ。
僕がマーケティングを支援している起業家の方の中にもそうした人たちがいて。
「先生、あまり売り込みたくないんです。どうしたら、いいでしょうか」などと聞かれることもある。
そんな時にお話する一つが今回のこと。
この方法は独立起業している人が売上を上げる上でも大切だし、「売り込まずに売る」を実現する意味でも大切。その方法は
顧客の問題を解決するということ。
問題を解決するというのは、ビジネス全般で必要なことで。
そのうち、特に「問題」の核といえる「根本原因」を探ることができれば、「売り込まずに売る」ということが格段に実現しやすくなってくる。
「問題解決なんて……、そんな当然のことで本当にうまくいくのかな」
そう思ったかもしれない。では、少し体験してほしいことがある。
Aさんという人のことをこれから話すので、静かでゆったりとした場所で、その状況をイメージしてほしい(ここでの体験が非常に重要なので)。
Aさん
Aさんという男性がある日、ソファに座ってテレビを観ていた。
すると30分が過ぎたあたりでひどい肩こりがあり。テレビを観るどころではなくなってしまう。とにかく耐えられない肩の痛みだった。
ところが、翌日以降も痛みは続き、ソファでテレビを観て30分ほどが経つと、決まってひどい肩こりで耐えられなくなる。
それを治すため、病院、マッサージ、整体に行ったり、ストレッチをしてみたりしたけど、何をやっても治らない。最悪なのは、治るどころか、年々ひどくなっていき、ついに3年が経過していた。
今では仕事中にPCを使うような状況でも肩こりのせいで集中できないし。ベッドに寝ていても辛いので夜も眠れない日が続いている。
さて、Aさんと何を話すだろうか
こんな状況のAさんとあなたが話すとしたら、どのような話題を持ち出すだろうか。
Aさんのそんな苦労を知らなければ、人気漫画、たとえば『弱虫ペダル』の話題を持ち出したり、Netflixで人気のドラマ『ブラック・ミラー』の話題を持ち出すかもしれない。
でも「肩こり」で大変なことを知っていれば、「肩こり」の話題を持ち出すだろう。「肩こり、どうですか?」などと。少なくとも人気漫画や人気ドラマの話題よりは、圧倒的に「肩こり」の方が興味があるはずなのだから。
ところが、Aさんは「肩こり」の話をされたからといって、そこまで興味は持たないかもしれない。
3年間、自分なりに悩み、試行錯誤もし、失敗もしている。「肩こり」の話題を持ち出されたからといって、どうせ解決できないだろうし、と諦め、身を乗り出すように聞くわけではない。
じゃあ、「肩こり」の話をしても意味がないのだろうか。
実際には次のような流れであれば、興味をもつ確率が格段に高まってくる。
たとえば、あなたがその肩こりの具体的なことを知っていて、Aさんにこう話す。
「肩こりですか。その肩こりはソファに座ってテレビを観たりしていると、30分ほどで起きたりするものじゃないですか」
こう話したら、どうなるだろうか。
Aさんはそれを聞いただけでまさに自分のことだと考え、身を乗り出して、聞き始める。
そこで最適な形で解決法を提示できたら「いくら支払ってもいいから、治してほしい」と言ってくることだってある。
これこそが問題解決の力で。特に大切なのが「問題」。
特に問題の核となる「根本原因(根本原因がわからないとしても具体的な問題)」を探ることだ。
根本原因を顧客に訴求できれば、相手はあなたに注目せざるをえない。
肩こりの例でいえば、「その肩こりはこんな根本原因があるんです」とか「肩こりがあるということは、こんな状況ではないですか」などと表現はともかくとして、そうした訴求をするわけだ(まるで占い師が占いをするように)。
「売らずに売る」を実現させるには根本原因を探ることだ。
それでは本題に入っていきたい。今回は「売らずに売るが実現する!売れる『根本原因』の探り方3つのステップ」という話だ。
これができるようになると、顧客へのプレゼンや説明のレベルが向上するだけではなく、ブログなどのコンテンツも大きく変わってくる。
売らずに売るが実現する!売れる「根本原因」の探り方3つのステップ
単なる結果を問題として認識しないこと
まず、よくある間違いは「問題ではないもの」を問題と考えてしまうこと。
問題解決の視点でいえば、問題とは解決すべき対象のこと。
その意味では「肩こり」や「肩こりがひどい」というのは問題とはいえない。その問題はむしろ、何からの問題が生み出す結果だし、解決すべき対象でもない。
そもそも「肩こり」という話題自体が具体的なものでなく、聞き手に何ら響かない。
少し具体的に説明すると、たとえば、あなたのブログのPV(表示回数)が低下したとしよう。月間20万PVあったPVがここ最近は15万PVほどになった。
そこであなたは専門家Bさんに「最近、PVが月間5万PVほど落ち込んだんです」と相談する。専門家Bさんはそれに対し「PVが落ち込んだんですね」とあなたに話す。
さて、何か心に響くようなことはあっただろうか。
それは単なる「PVが低下した」という結果であり、問題でもない。それを繰り返したとしても意味がないのだ。
解決できる問題(根本原因)を探る
では、問題を探っていく段階に入ろう。
もう一度言うけど、ここでの問題とは解決できる問題のこと。言い換えると、根本原因だ。
ここでは、仮に根本原因が把握できない時でも、少しでも具体的な問題をとにかく追求するようにしていく。
追求の仕方は分解だ。
偉大な哲学者デカルトが「難問は分割せよ」と言ったように、とにかく分解することで探っていく。
たとえば、「PVが低下」したという状況(結果)について、その具体的な原因を探るのであれば、それを分解(分割)する。
ざっくりと話すと。
たとえば、検索エンジンからの訪問か、何かの参照サイトからの訪問か、直接URLを入力した訪問か、などに分解し、その状況を見る。
仮に検索エンジンからの訪問に先ほどの100%の原因があるのであれば、「検索エンジンからの訪問の低下」がより具体的な問題になる。
ただ、そこで終えずに、さらにその問題を分解する。
つまり、検索ワード毎の訪問がどのようになっているのかを見る。ここで、ある特定のワード7つに原因があるのであれば、それはさらに具体的な問題になる。
どこまで具体的な問題を探るのかはその状況によるのだけど、このようにやっていくと、根本原因を探ることができる。
実際に根本原因と結果をつないでみる
2つめのステップでほぼ十分なのだけど。
念のため、この3つめのステップがオススメで。
「結果」と「(先ほどの)根本原因」をつないでみて、違和感がないかを確認する。
実際に結果と根本原因をつなぐと次のようになる。
「PVが低下したのは、検索エンジンからの訪問の低下がその主な原因で。中でも検索ワード7つが原因でした。具体的には『◯◯』『◯◯』『◯◯』『◯◯』『◯◯』『◯◯』『◯◯』の以上7つでした」
とこのようにつないでみて、違和感がなければOKということになる。
実は肩こりも同じなのだ。
「肩こりですか。その肩こりはソファに座って、テレビを観たりしていると、30分ほどで起きたりしませんか」
とこれも同じように、結果と根本原因(に近いもの)をつないでいる。
こうした根本原因については、顧客が認識している場合もあるし、認識していない場合もある。ただ、いずれにしても「肩こり」や「PV低下」という問題ともいえないメッセージと比べ、圧倒的に顧客が行動をとる確率が高まる力をもっている。
この根本原因を掴んでいれば、顧客への訴求は圧倒的にラクになる(もちろん、その根本原因をいかに解決するのかは別途必要なのだけど、それはまたどちらかで話していきたい)。
まとめ
- 単なる結果を問題として認識しないこと
- 解決できる問題(根本原因)を探る
- 実際に根本原因と結果をつないでみる
あなたへの質問
- あなたは単なる結果を問題として認識していないだろうか。
- 解決できる問題(根本原因)を探っているだろうか。
- 実際に根本原因を見出したら、結果とつないでいるだろうか。