流行りを見つけたい
「何が流行ってるんだろうか」
ビジネスに活かすため、常にそう考える人もいる。
たしかに流行に乗れば、多数の人々が注目する確率が高まり、非常に多くの検索もされ、アクセスだって集まる。いいことだらけ。
でも実はとても危険な面がある。そのリスクを意識しておかないと、危険なので。今回はそれについて、話していきたい。
流行とは何か
そもそも、流行とは何だろうか。 Weblio辞書だと、こう書かれている。
「ある現象が一時的に世間に広まること」
確かに流行してるものだと、一気に世間に広まっていく。ただ、問題は「一時的に」ということだ。ここに問題がある。
吉田沙保里は敗北した
2016年8月19日。
この日、リオデジャネイロ五輪、レスリング女子53キロ級決勝で吉田沙保里は惜しくも敗れた。
勝ったのはヘレン・マルーリス、彼女が金メダルを獲得した。
僕たちは、いち早く吉田沙保里の敗北ではなく、ヘレン・マルーリスの想いなどを物語のようにして記事を投稿した(姉妹メディアの『MOTIV』にて)。
それがこれ。
日本中のほぼ全てのメディアが吉田沙保里の敗北に集中する中、その相手(勝者)のことを書いたのは最も早かったのだろう。記事は一気にさまざまなところで取り上げられ、拡散し、利用していたサーバーはパンク状態になり、落ちた。
サーバーの運営会社からは「アクセスがすごいので、一時止めさせてください」と連絡があった。
10万人は優に超える人たちが一気にアクセスした状態だった。
その後、メディアでもヘレンのことは徐々に取り上げ、アクセスは続いた。
ところが、だ。
1ヶ月もしないうちに落ち着いてしまった。これはアクセスの話だけど、実はそれだけではない。
商品でも同様のことが起こる。
一気に人気が出たものは、やがて落ち着いてしまう。僕はこれまで17年ほどマーケティングに携わっているのだけど、関わってきたいくつかの商品にもそのようなケースがあり、そんな感じで落ち着くことがある。
2つの重要なポイント
流行というのは一過性
流行は一時的なもので。終わってしまう。すぐに終わる場合もあるし、それが比較的続く場合もあるけど、いずれにしても終わる。
短期間に一気に人気が出たものは、その人気を支えるファンの「熱」も一気に高まったもので、長く続いたものではない。1日で盛り上がったようなものは、1日の熱。非常に脆い。
逆に10年ファンだったり好きだったりするものは違う。10年ファンを続けているような人たちだ。簡単には離れない。
ビジネスの精度を高めるには時間が必要
ビジネスの精度、完成度を高めるには時間がかかる。
最初は失敗が続き、徐々に成果があがる片鱗を見出し、徐々に成功する。競争優位性も高まっていく。
僕のこれまでの経験でいうと、わずか広告1つだって、その完成度を本格的に高めていくのには何年もかかることがある。
もちろん、精度が高まったビジネスは非常に強力で高い売上、費用対効果で素晴らしい。だけど、時間がかかるのだ。
ビジネスは長く、流行は短い
このようにビジネスは精度を高めるのに時間がかかる。でも、流行は短い。
割が合わないのだ。だから、単なる流行を追いかけてはいけない。
長期の改善がビジネスに必要なのだから、それ以上に続くビジネスを行う。
ここは勘違いされがちなのだけど。たとえば、AmazonやGoogleなどは流行のように見えてしまう人もいるかもしれない。
でも、Amazonの根底は書店だったり、ショッピングモールだし。迅速な配送や無料での配送、手ごろな価格は流行とは正反対の普遍的なものだ。
Googleも核となるのは「検索」であり、昔でいうと、電話帳。こちらも普遍的なものだ。
インターネットでのビジネスという意味では確かに流行は絡むけど、長期間成果が上がり続けるものは普遍的なものなのだ。だから、簡単には廃れない。
何らかの流行を追いたいとしても、その流行が廃れた時に普遍的なニーズが残るかどうか、そこが重要になってくる。流行のみを追求してはいけない。
ココ・シャネルやジョン・レノン
かつて、流行についてココ・シャネルやジョン・レノンはこう語っていた。
「流行とは時代遅れになるものよ」
ココ・シャネル
「流行を追うのには興味がないんだ」
ジョン・レノン
彼らは流行を追いかけてはいないからこそ、廃れることなく、今も人気が続いているともいえる。
あなたへの質問
さて、長期間売れ続けるため、次の質問に答えてほしい。
- あなたの商品、サービスは流行のものだろうか?そうではないだろうか?
- あなたのビジネスでは何が普遍的なものだろうか?