売れない2つのプランを売れるようにする
あなたの企業で新商品を開発したとします。
で、その商品には2つのプランを用意します。さらに広告などプロモーションの準備し、体制を整えて、いよいよ本格的に展開します。
さて、反応はどうだったか。
2日経っても3日経っても、期待していた反応はほとんどありません。
自社サイトに掲載しているそれら商品は2つのプランともに売れていないし、リアルでの営業(対面)も苦戦をしていた。
「何が一体悪いんだろう……」
そう営業に出ている社員に聞いてみるのですが、
「よくわかりません。私たちの説明の仕方にも改善の余地もあるかもしれませんが……」
と、優等生のような回答で、状況はよくわかりませんでした。
そこで、実際の営業現場。つまり、お客さんのところに営業マンについていくことにしました。
営業現場
顧客への提案が始まり、営業マンの説明が商品の説明に入り……。
あなたは心の中で「ここまでの感触はいいんだな」、そう思いながら見ていました。これは自己満足の評価ではなく、控えめに見ても、実際、高評価でした。
ですが、異変が起きたのはそこからでした。
商品のプラン(価格も違うプラン)の説明に入った途端、お客さんはよくわからない表情になります。どちらを選んでいいか迷い出し、何だか不満そうな表情になって、その場は終わりました。
「問題は『プラン』にあったんだ」
あなたはこう呟きました。
お客さんは確かにその「プラン」の説明のところから、いきなりトーンがダウンした。問題はプランにあったわけです。
現実のあなたの商品やサービスのプランは
さて、実際のあなたの商品やサービスのプランはどうでしょうか。わかりやすいものでしょうか。
まず前提として話しておきたいのは、顧客に予備知識があるものであれば、まだしも。そうした予備知識があまりない場合。
そんな時に複数のプランがあり、それぞれのプラン自体や、プラン毎の違いに明確な差がわからない場合、買わないどころか、よくわからずに終わってしまいます。
「わからない」ことは悪なのです。
商品やサービスをわかりやすく伝えるのは当然です。商品やサービスがわかりにくければ、価値がわからないし、それだと顧客が買わなくなってしまう。
ただ、商品やサービスの価値がわかっても、プラン(選択肢)がわからなければ、そこでもまた、顧客は価値がわからず、買わなくなってしまう。
今回はそうした「プラン」及びその価格設定について、どんな対策をとればいいのか、という話をしていきます。
枠組みを変える「リフレーミング」
結論からいえば、そうした時に使える技は「リフレーミング」です。
「リフレーミング」というのはNLP(Neuro Linguistic Programming:神経言語プログラミングの略)の知識で、本来はプランや価格設定などで用いるものではないのだけど、この効果を活用します。
その意味は、心の中での枠組みを変えることで、物事の意味(印象)を変化させることを言います。
わかりやすい例でいうと。
「失敗」というと、多くの人は「嫌なもの」という印象がある。
でもリフレーミングで枠組みを変えて考えれば、「やってはいけないことがわかった」という意味合いに捉えることもできるわけです。
その意味合いで考えていれば、へこむこともないし、ショックを受けることもない。ましてや、失敗を他人に見られても何とも思わない。
「僕は失敗した」ということは「僕はやってはいけないことがわかったんです」という程度で、何てことはないわけです。実際、僕はこの捉え方です。
これがリフレーミングです。枠組み、捉え方を変えることで、同じコトが違う意味合いになってしまう。
つまり、リフレーミングをしてしまえば、人を元気づけることも、逆に落ち込ませることも、人を動かすことも可能なわけです。
『33 psychological Influence Techniques in Advertising』では次のように説明されている。
「仮に、あなたが黒の『iphone9』を買おうとしているとしよう。あなたには次の選択肢がある。
A:799ユーロ 32GB
B:999ユーロ 64GBあなたはどちらにするか迷う。
価格でAを選ぶか、それとも容量でBを選ぶか」
まさにこれがプラン自体の違いが明確にわかりづらい状態で。この場合、迷って買わなくなる可能性もある。ただ、このケースでは次のように続く。
「しかし、これにおとりの選択肢『C:959ユーロ 50GB』が加わったらどうなるだろう?
Bほど高くはないが、Bより容量が少ない。あなたはBのほうがお買い得のように思えてくる」
この本は少し説明がわかりづらいのだけど、シンプルにいえば、1つプラン(選択肢)を追加し、次のようにする。
- A:799ユーロ 32GB
- B:999ユーロ 64GB
- C:959ユーロ 50GB
これを価格順に並べ替えると次のようになります。
- A:799ユーロ 32GB
- C:959ユーロ 50GB
- B:999ユーロ 64GB
Cというのは、容量はほぼAとBの中間ほどなのに、価格は(AとBの中間ではなく)Bに近いプラン。これが入ることにより、顧客にとっては、一気にBがお買い得に思えてくるようになります。
Cを加えたことによって、フレーム(枠組み)が変わったわけです。
こうしたものを「おとりの選択肢」と言い、それを設けることで、既存のプランを魅力的にすることが可能なのです。
プランの加え方
ただ、ここで
「では、どうしたら、リフレーミングできるプランを加えることができるのだろう」
と思う人もいると思うけど、まず基本的なことを補足したい。
フレームを変える場合、「悪いプラン」を加える。
どういうことかというと、プラン追加前のAとBは次のような状況だった。
- A:フツウのプラン
- B:フツウのプラン
A、B共に決定打がなく、どちらも顧客にとって「フツウ」のプラン。そこにCという悪いプランを提示することで、AとBは良く見えるようになる。次のような感じ。
- A:良いプラン
- B:良いプラン
- C:悪いプラン
基本はこれだけでも、AとBの魅力が増す。
そこに先ほどのiPhoneのように、容量は中間ほどなのに、価格がBに近いようなCを加えると、一気に最も価格が高いもの(B)がより良いプランに思えてしまうわけです。
- A:799ユーロ 32GB
- B:999ユーロ 64GB
- C:959ユーロ 50GB
実は、今回の方法は多くの場面で用いることができます。
たとえば、カフェなどのカフェラテなどのサイズ、S、M、Lも同じです。Lが割安に見えるようにすると、「お買い得だ」と思い、顧客は買ってしまうわけです。
上記の話は、2つのプランに1つのプランを加えるケースですが、3つのプランを用意する時も考え方は同じです。
まとめ
- リフレーミングによって、人を元気づけることも、逆に落ち込ませることも、人を動かすこともできる。
- 商品やサービスの価値がわかったとしても、プランがわからなければ、そこでもまた、価値が伝わらず、売れなくなってしまう。
- 「おとりの選択肢」を用いることで、既存のプランを魅力的にすることが可能。
- 3つのプランを用意する時に単純に均等に価格設定するケースも多いが、そこにリフレーミングを加えることで、より魅力的なプランを創ることが可能になる。
あなたへの質問
- あなたの商品のプランはわかりやすく、売りやすいものだろうか。
- プランが選びにくい状況であれば、新たな選択肢を加えることで、既存プランを魅力的にできないだろうか。