『1分間顧客サービス―熱狂的ファンをつくる3つの秘訣』
星野リゾートの星野佳路社長がネタ本として勧めていた本で有名にもなった1冊。
星野社長は本に対して、こう語っている。
「課題に直面するたびに、私は教科書を探し、読み、解決する方法を考えてきた。それは今も変わらない」
この本は、まさに顧客サービスについての課題を解決する方法が述べられた1冊。
顧客サービスで、熱狂的なファンを創る秘訣をストーリー仕立てで解説していく本。
この本の内容を参考にし、星野リゾートではスタッフが施設のコンセプトを決めているとも言われている。
「全ての顧客を満足させようとしない」
この言葉は熱狂的ファンを作る秘訣の1つ。実際に星野リゾートでも採用している。
成長を遂げている企業は…
マーケティングのコンサルティングを提供させていただいている様々な企業の中には、急激な成長を遂げている企業もある。
……なぜ、そうなのか。
それを探るべく、顧客調査を実施すると、明らかに顧客が違う。10段階の評価でいうと、顧客の多くが10をつけてくるし、紹介が紹介を呼び、売上、利益が急速に高まっていく。
「これはうまくいかないわけがないよな……」
様々な企業の調査結果を見ているからこそ、違いを感じるのだけど。「熱狂的ファン」が作れているビジネスは明らかに違う。彼らは熱狂的ファンに守られ、育てられているのだ。
そのような経緯もあったことから、僕はこの本がとても気になった。
サブタイトルは「熱狂的ファンをつくる3つの秘訣」。とても気になるタイトルだ。
物語は「顧客サービス」について、主人公がメンターと出会い、成長していく物語。そして、ポイントは3つ。
- 自分のビジョンを明確にする
- 顧客の要望を見つける
- 少し余計に実行する
顧客サービスの目標は、顧客に満足してもらうことではない。それではひどくないだけ。まあまあという感じ。そうではなく、熱狂的ファンになってもらうことだ。
物語のあらすじ
小売企業に勤務する主人公。
彼は新たな役職「エリアマネジャー」に昇格した。だが、社長との面談で「顧客サービスがうまくいかなかったら降格だ」と宣告される。
そして「顧客サービス」のことで思い悩んでいた時に、チャーリーという男に出会う。
チャーリーは顧客サービスの伝説的人物で「熱狂的なファンをつくる三つの秘訣、(言い換えると)究極の顧客サービスを教えよう」と語り始める。
『1分間顧客サービス』の3つのポイント
1.自分のビジョンを明確にする
まず、取り組むべきは、自分自身のビジョンをもつこと。具体的にいうと、自分が望む(顧客)サービスのビジョンを創ることだ。
もちろん、自分が望むといっても(顧客)サービスなので、顧客を中心としたもので、その中で、自分が望むものを創る。それは完全である必要はないし、時代と共に変化させるもの。
これがないと、顧客の言うことに翻弄されてしまう。ごく一部の顧客の意見に翻弄され、大多数の意見を言わない顧客を無視することになる。
2.顧客の要望を見つける
顧客の要望といっても。たとえば、顧客からのクレームを容易に耳にするけど、意見を言わない顧客に耳を傾けるのは難しい。
そうしたことに注意し、顧客が言ったこと、言わないことを知り、本当の意味での顧客ニーズを探っていく。
3.少し余計に実行する
多くのことに着手していくと、顧客にとって、一貫性がとれない中途半端なサービスになり、顧客の信頼を失ってしまう。
そのため、とても重要なのは、自分自身のビジョンと顧客ニーズとを結びつけ、一貫性をもたせて、1パーセント「余分」にビジョンを実行すること。
「できない理由」や「続けられない理由」を言いたくなる時もあるとは思うが、そうした理由を打ち消し、他社にはない顧客が求めるサービスを「余分」に継続して実行していく。
この「一貫性」と、常に改善する「融通性」が、熱狂的ファンをつくるカギとなる。
書籍内容
顧客満足で満足している会社に未来はない。
ファンをつくれない会社に未来はない。
熱狂的ファンをつくる3つの秘訣とは-自分が何を望むのか決定せよ、顧客の望むことを発見せよ、ひとつ余分に実行せよ。
著者情報
K.ブランチャード
ケン・ブランチャード社の共同創業者にしてCSO(最高理念責任者)。国際的な大ベストセラーとなった『1分間マネジャー』、ビジネス書として大成功を収めた『1分間リーダーシップ』『1分間顧客サービス』『1分間モチベーション』(ともにダイヤモンド社)をはじめとする、数多くの本の著者、共著者である。
著書すべてを合せた売上げは25ヵ国以上で1500万部を記録している。人々に職場でサーバント(奉仕者)・リーダーになることを説くNPO、リード・ライク・ジーザス・ミニストリーズの共同創設者でもある。