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興味を全く示さない顧客
あなたの商品やサービスについて、どれだけ訴求しても、どれだけ提案しても全く興味を示さない顧客。あなたの話に抵抗感を抱いているようで、まったく聞いてくれないような状況。
そんな時、どうしますか?
これまでと同じようにただ提案してもうまくはいかないです。
そこで使える方法が今回ご紹介する……
「リフレーミング」
この「リフレーミング」をマスターすると、あなたに興味を示さない顧客がその「興味を示さない」状況を抜け出して、もう一度提案しやすい状況にもっていくことができるようになります。
今回は『興味を示さない顧客に『リフレーミング』で売る方法』という話をしていきます。
「リフレーミング」で売る方法
「リフレーミング」とは何か
「リフレーミング」などという言葉を聞くと、むつかしく感じるかもしれないですが。
「フレーム」という言葉から考えていくと比較的イメージしやすいはずです。
「フレーム」とは「枠組み」のこと。そこから考えていくとカンタンです。
「リフレーミング」とは……
ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事を、枠組みを外して、違う枠組みで見ること。
これが意味です。
シンプルな例でいうと、たとえば、試験で残り15分あった場合、やや悲観的に考えるのであれば、「もう15分しかない」と考えます。
でも、楽観的に考えた場合、「まだ15分もある」と考える。「もう……ない」と「まだ……ある」。枠組みが正反対なほど違います。このように違う枠組みで見ると、考え方が変わってしまうわけです。
これこそが「リフレーミング」です。
リフレーミングの目的
ここでの目的は「リフレーミング」の意味を伝えたいわけではないし、試験の残り時間の話しでもないです。
ここで「リフレーミング」を活用する目的はあなたの商品を売ることです。
そのため、あなたの商品に興味をもたない顧客に対し、「リフレーミング」を仕掛け、新たな違う枠組みで顧客が捉え直すようにしていくわけです。
それを目的に設定し、ここから続きを話していきます。
リフレーミング前のパターン
あなたがリフレーミングを仕掛ける前の大枠のパターンを話しますね。
通常は、次の流れです。
- 売り手:「商品を買ってください」
- 買い手:「イヤです」
シンプルにするためにかなり乱暴に書きましたが、「買ってください」「イヤです」という流れです。
実はこのケースでは「イヤです(買わない)」か「わかりました(買います)」の二択で。
あまり興味を示さない(売込みを)断ってばかりの顧客の場合は「イヤです」が基本の習慣なので、「買ってください」「イヤです」という流れになりやすくもあります。
こうした状況に陥った場合、これを続けていても顧客の心境が「イヤです」から「わかりました」に変わることはないです。一度、「イヤです」と答えているので、そこに「一貫性」の力も生まれ、その言葉を覆すようなこともしづらいです。
なので、今からその枠組を変える「リフレーミング」を仕掛けていくわけです。
リフレーミングを
仕掛ける
これまでのメカニズムはわかりますよね。
興味を示さない、断ってばかりの顧客は「買ってください」に対して「イヤです」と答えるのがやや習慣のようにもなっているし、そもそも「イヤです」と答えてしまったら、そこに一貫性も生まれている。
なので、この枠組みを「リフレーミング」で変えます。
ここで参考になる事例がカリフォルニア大学の論文です。
カリフォルニア大学論文
1994年のカリフォルニア大の論文で取り上げられた方法に「ピークテクニック」があります。
ホームレスの人たちに研究チームが協力を依頼し、通行人に声をかけてもらいました。声のかけ方は3パータンです。
- 小銭をいただけませんか?
- 25セントいただけませんか?
- 37セントいただけませんか?
さて、どれが一番成功したと思いますか?
実は結果は次のようになりました。
- 小銭をいただけませんか? 成功率44%
- 25セントいただけませんか? 成功率64%
- 37セントいただけませんか? 成功率75%
3の37セントが最も成功したわけです。
ここでのポイントは「小銭をいただけませんか?」→「イヤです」もしくは「いいです」と答える、通常の枠組みにもっていくのではなく、突然、具体的な金額を伝えたわけです。
すると、(1よりも2と3の方が高かったように)具体的な金額を伝えたことにより、リフレーミング。つまり枠組みが変わったわけです。
それに加えて、今回の事例では「ピークテクニック」を使っています。
ピークテクニック
ピークテクニックというのは
「相手にとって意外なことを伝えて、相手の興味をひく」方法
その意外度(意外なことの度合い)でいうと、さきほどの3の37セントが最も意外です。
1の「小銭をいただけませんか?」は「はい」「いいえ」の二択で答えられる、想定の範囲のもの。相手にとって、想定内の枠組みです。
2の「25セントいただけませんか?」は想定外の枠組みですが、25セントというキリが良い金額なので、意外度はそこまで高くない。
3の「37セントいただけませんか?」は想定外の枠組みに加えて、キリも悪い金額。意外度が高まるわけです。
ニューヨーク州立大学の事例
これまでお話したのは1994年のカリフォルニア大の論文ですが。
実は、ニューヨーク州立大学の事例でも、ピークテクニックが有効なのかは分析されていて、特に「お金を出すかどうか決めかねている人などには有効だ」という結果がでています。
リフレーミングは
様々な場面で使える
リフレーミングは相手が1つの考えに固執してしまうようなケースなら、様々な場面で使えます。
しかも通常の枠組みではなく、違った枠組みを提供するため、(通常の枠組みに対する)相手の警戒心を取り除き、提案を受け入れてもらえる確率が高まります。
注意点としては、リフレーミングである種の驚きを与えたら、そこで新しい枠組みを提供するなどし、すぐに何らかの提案をすることが必要になってきます。
あとは、想定外の枠組みといっても、必要以上に人々を恐怖に陥れたり、嫌悪感を与えるようなものは避けた方がいいです。
興味を示さない顧客対策にぜひ活用してみてください。
まとめ
- 興味を示さない顧客に同様の(同じ枠組みで)提案を続けても、覆ることはほとんどない。
- 状況を覆すのに有効な「リフレーミング」という方法がある。
- ピークテクニックなども参考にし、想定される枠組みから離れた、違った枠組み(意外度の高い枠組み)を活用した方がいい。
- 必要以上に人々に恐怖や嫌悪感を与えるようなことは避けた方がいい。
あなたへの質問
- 興味を示さない顧客に対し、あなたは相手の想定内の提案(意外度の低い提案)を続けてはいないだろうか。
- あなたは提案にリフレーミングを使ったことがあるだろうか。ないのであれば、少しでもリフレーミングの活用を考え、活用してほしい。