ジャケットを買おうとしたお店での出来事
先日、ジャケットを買いに行きました。
都内のあるデパート。その中にあるショップでいくつかジャケットを見ていると、その中にとても気に入ったネイビーのジャケットを見つけました。
ネイビーというと「ありきたりだな……」と思われるかもしれないけれど、そのネイビーの色は魅力的で、生地も独特、とても良い感じでした。
「これは買いだな……」
そう思って、店員の方を呼びました。
「はい」と言って、すぐに僕の近くに来て、対応をしてもらったのだけど、その対応が何となく嫌な印象でした。
微笑んでいるのだけど、微笑んでいないような。壁があるような……。そんな感じだったわけです。
そうして
「これはヤメだな……」
という感じで僕はその場を立ち去ったわけです。
確かに僕はマーケティングが仕事で。職業柄、営業やセールスする人のことを細かく見てしまうところがある。それでも仕事から離れ、自分が顧客の時はそんな風に細かく見ることはなくて、フツウの人以上に細かいことは言わないし、思わない。
そもそも、食事などだってB級グルメの方が好きだし。そうしたものに対し、全くといっていいほど、うるさくない。
それでも、「嫌だな」と感じてしまうと、買うことはない。
ここでのポイントは「ジャケット」は欲しいと思っているので、商品は良い。でも、売り手(この場合、店員)に嫌な印象を持ってしまうと、もうダメだということです。
企業の発注者(決済権者)の人たちの意見
実はこれは僕だけではないです。
僕は企業の発注者(決済権者)の人たちに話を聞く機会や調査する機会が多いのだけれど、そうした時、あがってくる意見もコレです。表現は人によっても違いますが、次のような感じです。
「どれだけ良い提案であっても、嫌いな人からは買わない」
「嫌いな人」からは買わない。
では「好きな人」からしか買わないのか、というと、そんなことはなく、正確にいえば、「好き」じゃなくても商品が良ければ、買います、という人はいる。
でも「嫌い」になってしまうと、買わないわけです。
こう考えていくと、この「好き」「嫌い」の問題がかなり大きな問題だということがわかる。
あなたがビジネスのことを必死に考えて……。
「商品のベネフィット(利益)が……」とか
「コピーライティングが……」とか
「顧客にとっての価値は……」
などと色々なことを考えてビジネスを展開したとしても、そうしたものに強い影響を及ぼし、ぶち壊す可能性もあるのがこの「好き」「嫌い」で。
顧客が「好き」という感情をもてば、売上が上がる確率は高まり、「嫌い」になられれば、まず買ってもらえなくなってしまう。全てを無にしてしまう可能性もある、実は大変大きな問題なわけです。
「好意」とは
つまり、「好意」の問題です。
実は「好意」というのは、ロバート・B・チャルディーニの名著『影響力の武器』『影響力の正体』などにもある6つの法則の1つ。
簡単にいうと、
好きな人から勧められると、買ってしまう
というもの。
「概してわたしたちは、知人や好きな人から何かを頼まれたら、たいてい『イエス』と答えます」
シェリー・チェイケンは次のように話しています。
「私たちは相手に好意を抱いたら、無理をしてでも相手を喜ばせる」
好きな店員さんなどから、商品やサービスを勧められて、買ってしまったことは一度や二度ではないと思います。逆にいえば、顧客に「好意」を感じさせると、同様の効果が見込めるわけです。
では、ここで問題があります。どうやったら、その「好意」を得ることができるのか、です。
好意の獲得方法
ビジネスを展開する時、見込み客は赤の他人だということもある。
これはあなたにとっての競合にとっても、同じで。見込み客は赤の他人の場合もある。
その他人から好意を得ることができれば、それだけで圧倒的に有利なわけです。ただ、それをどういう風に得るか。
好意を獲得する方法1
第1の方法は「外見」
要は見た目ですね。たとえば、魅力的な女性など、そうした人はそれだけで好意を得る可能性が高いわけです。
ある企業が「美男美女ばかりを採用する」などと非難されていたことがありますが、こうした「好意」を獲得する方法を押さえていたのだとしたら、これは圧倒的に有利になる武器で、そうした魅力的な外見をもつ社員を集めるだけで、営業などは圧倒的に有利になるわけです。
では、優れた外見を持たない人はどうすればいいのか。
その場合でも洋服や靴など、身につけるものを魅力的にすることはできます。
もしくは、あなた自身がそうならなくとも、たとえば、サイト上のモデルの写真などを魅力的に工夫することもできます。それだけでも随分と変わります。
「わたしたちは、見た目のいい人には自動的に好印象を抱きます。才能がある、優しい、正直、知的、などです」
好意を獲得する方法2
2つ目の方法は「似た人」
いいかえると、共通点です。
信じられない人は、試しに話し相手のことを否定し続けてみてください。
相手が「この映画、好きなんだよね」と言ってきたら、
あなたは「そうかな。自分は嫌い」と言い、
相手が「このお店、いいよね」と言ってきたら、
あなたは「そうかな。自分は嫌い」などと否定し続けるわけです。
簡単に相手はあなたと話したくなくなり、嫌いになっていきます。
「わたしたちは、自分に似た人に好意を抱きます」
僕たちは似ている人を好きになり、似ていない人が嫌いなわけです。
なので、想定する顧客と似ることを意識するだけで変わってきます。
生年月日が同じ、血液型が同じ、服装が似ている、出身大学が同じ、出身地が同じ、など。似ていることは非常にパワフルなわけです。
ただ、似ているのは「ありふれたもの」でないことが重要です。
私はあなたと同じ人間です、とか、同じ男です、などというのではなく、同じことに驚くくらいが良いわけです。生年月日が同じ、というのはまさにそうなわけです。
好意を獲得する方法3
3つ目の方法は「なじみのあるもの」。
これは「似た人」の意味合いに近いです。
見たことがあるもの、聞いたことがあるもの。そうしたなじみのあるモノが好きなわけです。
「ほとんどの場合、わたしたちはなじみのあるものが好きです」
好意を獲得する方法4
4つ目の方法は「協力」
あなたがやりたいことを協力してくれる人が現れ、実際に協力してもらったら、徐々に好きになりますよね。まさにそれです。
逆にいえば、「何でオレが協力しないといけないわけ?」などと言い、協力してくれない人だと好きじゃなくなりますよね。
顧客も同じです。
顧客がやりたいことに協力してくれる人や企業などは好きになるわけです。
「好意を抱く過程において、協力が非常に大きな影響をおよぼす」
協力してくれるから、仲間だと思い、協力してくれなければ、仲間ではなく、好きではなくなっていくわけです。
※これについては「返報性の法則(恩義)」と共通する点もあって、「人は、他者にしてもらったのと同等のお返しをすべきだ」と考え、相手が返そうとするところもあります。
好意を獲得する方法5
5つ目の方法は「接触」
接触回数が高まれば高まるほど、相手(顧客)はあなたのことが好きになります。
これは「ザイアンスの効果」とも呼ばれています。
「接触する回数が多いほど好感をもつようになる」
というわけで、以上です。
好意を高めたいと思うなら、以上5つをまず意識することです。
まずは1つひとつの方法を押さえ、好意を得ていくことで、圧倒的に有利になります。少なくとも「嫌い」になられるリスクを激減させることが可能になります。
ぜひ、意識してみてください。
まとめ
- 顧客は好きになると、より多く買ったり、買う確率が高まる。
- 顧客は嫌いになると、買わない。
- 好意を得る方法は5つある(見た目/似た人/なじみのあるもの/協力/接触)
あなたへの質問
- あなたは顧客に好かれているだろうか。より好かれるために何ができるだろうか。
- あなたは顧客に嫌われていないだろうか。嫌われないために何ができるだろうか。
- あなたは好意を得る5つの方法を1つでも多く活用できないだろうか。