通販などでよく使われる売る技術
「ザッツ・ノット・オール・テクニック」を知っていますか。
「ザッツ・ノット・オール」というのは「それだけではない」の意味で。商品の価格を伝えたあとに「さらに」と言いつつ、オマケや特典を伝える手法のこと。
そうお話すると、「なんだ、オマケか」と安易に思うかもしれないですが。
ただ、単にオマケをつけても効果的な『ザッツ・ノット・オール・テクニック』にはならないし、売れる確率を高めることにもつながりません。
今回は売上を上げる技術、この『ザッツ・ノット・オール・テクニック』が効果的に機能するようにするためにどうすればいいのか、について話していきます。
「ザッツ・ノット・オール・テクニック」のポイント
このテクニックは次の2ステップ。
- 商品(の価格)を「お買い得」だと感じさせる(商品の価値を高く感じさせる)
- さらにオマケや特典をつけて「(さらに)すごくお買い得」と感じさせる。
要は「お買い得」から「すごくお買い得」にする2段階のステップになるわけです。
この「ザッツ・ノット・オール・テクニック」に何の意味があるのか、というと、
1つは「お買い得」から「すごくお買い得」にすることで、顧客に圧倒的に高い価値を感じさせてしまうこと。
2つめに「返報性の法則」の一種ですが。売り手がオマケや特典をつけ、譲歩してくれたのだから、こちら(顧客)も何か(申込や購入)で返さないと、と思ってしまうこと。
3つめがオマケや特典を「今なら無料で」とつけてくれたのだから、と「無料」や「希少性(タイミング)」を顧客が感じてしまうこと。
つまり、「高い価値」を感じさせ、「返報性の法則」も効かせ、「無料」「希少性」などの効果も活用する、かなりの心理テクニックなわけです。
具体的なケース
テレビ通販などを見ていれば、よく活用されています。なので、実際にはそれを見ていただければと思いますが。ここでジャパネットたかたなど、テレビ通販で大きな売上を上げている企業の事例などで説明していきます。
たとえば、炊飯器を販売するなら……
ステップ1:商品(の価格)を「お買い得」だと感じさせる(商品の価値を高く感じさせる)
まずは商品自体の価値を高め、商品をお買い得だと感じさせます。
炊飯器がどれだけ優れているか、を「かまど」などと絡め、とにかく品質が高くて、炊いたお米が美味しいと説明していく。
ここでは単に炊飯器の説明をするのではなく、特別な「かまど」などの映像を映し、それが本当に特別で、その味を実現したのが今回の「炊飯器」なんです。という流れで説明する。
それを実現した理由を炊飯器の特徴などでわかりやすく具体的にしていく。
顧客はこの段階で
「かまどで炊いたようなお米が、家で食べられるのか」
という気持ちになってくる。
映像では実際に炊いたごはんを食べるシーンを流し、出演者は「何ともいえないほど、美味しい」などと語っていきます。
さらに、かまどを扱う専門家なども「これは凄い」「懐かしい、カマの味がします」「カマで炊いたのと同じ」などという声が続いていく。
この段階まで来ると、顧客の中でさらに炊飯器の価値は高まっていき……。
「一体、いくらなんだろう。そこまで特別な炊飯器なら、5万円くらいするのかな」
となってくるわけです。
ここで……
「38,380円です」
などと価格を発表します。
文章にすると、少しわかりづらいかもしれませんが、この流れは非常にスムースで映像、音声が加わると、顧客の頭の中での価値は相当高まっているので、「これなら、お買い得だ」などと思ってしまうわけです。
ところがここで終わりません。
ここからが「ザッツ・ノット・オール・テクニック」です。
ステップ2:さらにおまけや特典をつけて「(さらに)すごくお買い得」と感じさせる。
ここでさらに躊躇せずに次の提案をしていきます。
「それだけじゃありません。今なら、不要になる炊飯器を10,000円で下取りします」
「下取りする場合、28,380円なんです」
38,380円でも安いと思っていたのに、不要になる炊飯器を10,000円で下取りしてくれ、実質28,380円で買えるのか、「これは安い!」と思ってしまうわけです。
ただ、ここでも止まりません。
さらに「ザッツ・ノット・オール・テクニック」です。
「15回払いで月々2,100円での支払いが可能(初回のみ2,762円)。金利、手数料は弊社が負担)」
ジャパネットの場合であれば、「15回分割金利・手数料はジャパネットが負担」と訴求してきます。
高田(元)社長なら、今度はベネフィットを強めていく。
「毎日食べるでしょ。1日に3食。
1年365日。
10年使ったら、3650日。
美味しいお米が食べられます」
さらに
「今なら、1,000名様にのみ、豪華8点セットをつけます」
と希少性を用いて、フライパンや鍋などの豪華セットが特典だと伝えてくる。
そうして美味しいお米と、フライパンを使った料理をみんなで食べているのを見せ、「もう絶対に買わないといけない」と思わせるわけです。
ここで最後に商品の説明のまとめを見せていきます。
こんな流れで、「ザッツ・ノット・オール・テクニック」のオンパレードなわけです。
ここでも次のことがポイントです。
- 「お買い得」から「すごくお買い得」にすることで、顧客に圧倒的に高い価値を感じさせてしまうこと。
- 「返報性の法則」の一種ですが、売り手がオマケや特典をつけてくれて、譲歩してくれたのだから、こちら(顧客)も何か(申込や購入)で返さないと、と思わせる。
- オマケや特典を「今なら無料で」とつけてくれたのだから、と「無料」や「希少性(タイミング)」を顧客が感じてしまうこと。
注意事項
『33 psychological Influence Techniques in Advertising』には大切なこととして、こう書かれています。
「大事なのは、あとからつけ足すこと。最初に両方の条件を同時に提示するより、はるかに威力がある。
実験では、『マフィン1個』と『クッキー2個』を75セントで売る場合、両方で75セントにして売った時より、『マフィン1個』を75セントにし、クッキー2個をおまけにつけた時のほうが多く売れたという。
さらに、『マフィン1個』の価格75セントを、定価1ドルを値下げしたように表示した時には、最初から75セントの表示にした時よりもよく売れたという」
まとめ
「ザッツ・ノット・オール・テクニック」は次の2つのステップです。
- ステップ1:商品(の価格)を「お買い得」だと感じさせる(商品の価値を高く感じさせる)
- ステップ2:さらにオマケや特典をつけて「(さらに)すごくお買い得」と感じさせる。
あなたへの質問
- 商品を「お買い得」と感じさせるまで、最大限価値を高めているだろうか。
- さらにオマケや特典をつけて、「お買い得」から「すごくお買い得」と感じさせるレベルまで引き上げているだろうか。
- ジャパネットたかたなどテレビ通販の売り方などを参考にし、応用できないだろうか。