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顧客価値を高める
「(商品などを)売れるようにしたいんです」
あなたはそう思っているかもしれません。確かに独立起業だけでなく、ビジネスをしているなら、売れるようにしたい。
でも、なかなか売れない!売上が上がらない!
そんな問題を抱えているあなたのために、17年間のマーケティングの現場での実体験をベースに売るために必要な「顧客価値」について、まとめました。
マーケティング初心者から上級者の方まで顧客価値が必ず上がる方法をまとめています。
ステップ順に実践すれば、確実に売上は上がっていきます。
現状のあなたのビジネスに合わせた方法を実践してみてください。
……とその前に「顧客価値」って何でしょうか?
まず、そのことについて、具体的に知ることです!
顧客価値とは何か
「顧客価値」の話をすると、結構悩まれる企業が多くて、こう答えられたりします。
「うちの『顧客価値』は◯◯(商品の特徴)です」
でも、これは間違いです。「顧客価値」というのは商品の特徴ではないんですね。
顧客価値という言葉のとおり。
顧客価値=顧客の価値
もっとわかりやすくいえば、「顧客にとっての価値」なんです。
顧客価値の具体例
たとえば、あなたがスタバでカフェラテを買ったら、ラテだけを提供してもらったわけではないんです。お店の雰囲気はもちろんですが。店員とのやり取りが好きでそのお店を利用しているかもしれないし、お気に入りの店員だっているかもしれない。
価値は「カフェラテ」という商品に限ってはいないわけです。
米スターバックスのCEOだったハワード・シュルツはこう語っています。
「スターバックスは、お客様との絆によって成り立つビジネスなのです。
単にコーヒーを売っているだけではありません。スターバックスというブランドの価値は、地域の人々や出来事との結びつきにあります。……わたしたちは、人間は他の人や地域社会との結びつきを求めていることを忘れないようにしています。そうしたものが消費者の嗜好を決める新しい強力な力となるからです。スターバックスが提供する環境は、コーヒーそのものと同じくらい重要になっています」
まさに「人との結びつき」「環境」も重要だということです。
というわけで、「顧客価値」というのは「顧客にとっての価値」。それは商品の特徴ではないし、商品に限ったことでもないということを押さえてください。
顧客価値をさらに具体的に見たい人に
「でも、もう少し具体的に知りたい」っていう人に知っていてほしいのは「顧客価値」というのは企業から(顧客が)提供される価値。
その企業側から提供される価値(顧客価値)から、顧客が負担を感じるコスト(顧客コスト)を差し引いて、顧客はその商品やサービスを「買う」かどうかを決めます。
顧客価値ー顧客コスト=買うかどうかを決定
こんな感じです。
具体的に「顧客価値」「顧客コスト」に該当するものを深掘りすると、次のようなものがあります。
顧客価値
まず、「顧客価値」はこんな感じ。
- ブランドの価値
企業/商品のブランドの価値 - 商品/サービスの価値
商品やサービスが提供できる価値 - 問題解決の価値
顧客の問題を解決できる価値 - 時間的価値
時間的タイミングが合っている、とか時間を省略できるなどの価値 - 担当価値
担当してくれる人(たとえば、営業マンなど)に感じる価値
これらの「顧客にとっての価値」です。この顧客価値から次の顧客コストを差し引いて、購買を決定するわけです。
顧客コスト
「顧客コスト」は次の3つのとおり。
- 価格コスト
これはわかりやすいですよね。商品/サービスを購入するために支払う金額 - 時間コスト
商品/サービスを購入するのにかかる時間など - 労力コスト
商品/サービスを購入するのにかかる労力(手間)など
以上が「顧客コスト」です。
色々と話しましたが、最低でも顧客価値は「顧客にとっての価値」だと押さえてくれればOKです。
ここで本題に入る前に……。
僕を知らない人のために(本題に入る前に)
顧客としての経験は10年
現在、マーケティングのコンサルタントとして、大手企業やベンチャー企業などの顧問などをさせていただいていますが。会社員時代は大手金融機関グループのある事業のマーケティングの責任者(課長)をしていました。
期間にして約10年。マーケティングの部署にいて膨大な予算(コスト)を管理していたこともあり、多くの優秀な企業、営業マンを相手にしていたわけです。
ずっと「顧客(発注者)」をやってきたわけです。そこでの経験からも「顧客価値」をお話しています。
マーケティング経験は17年
マーケティング経験は17年(独立後も含め)。マーケティングの中で特に大切にしているのは顧客への「リサーチ(調査)」で。
17年もの間、ひたすらに顧客のことを分析し続けてきました。
『リサーチ』については書籍を出していています。『顧客の「本音」がわかる9つの質問』という本で、Amazonのマーケティング部門で1位なども獲得していました。
(売り切れの時などは、中古本でもプレミアが付くときもあり、10,195円などで売られていることもある本です)
そして、現在は大手企業からベンチャー企業の顧問などをさせていただき、商品開発やプロモーションなどで「顧客価値」を高めるためにも、リサーチや分析を続けています。
顧客価値の中で重要なのは何か
大手企業や有名企業のように、ブランド力の高い企業や商品はともかく、通常の企業、もしくは独立起業をした人たちにとって、重要なのは、(先の例でいうと)次のものです。
ブランドの価値- 商品/サービスの価値★★★★★
- 問題解決の価値★★★★★
- 時間的価値★★★
- 担当価値★★★
ブランド力が高くはないので、基本は「商品/サービスの価値」「問題解決の価値」「時間的価値」「担当価値」だけでまずOKです。
中でも特に重要なのは「商品/サービスの価値」「問題解決の価値」。
まず、そこから取り組んでみてください。
顧客価値でよくある間違い
顧客価値自体は、多くの企業で考えられているのだけど、間違いはとても多くて。通常、次の2つの間違いがあります。
顧客価値の間違い1:
顧客価値を商品の特徴と勘違い
冒頭でもお話しましたよね。
「うちの『顧客価値』は◯◯(商品の特徴)です」
と答える人や企業が多いと。
つまり、顧客価値を商品特徴などと勘違いする。これは本当に多いです。
「そんなの間違えないだろ……」と今考えている人でさえも、そこを間違えたりします。
で、問題なのは売れなくなることです。商品の特徴を顧客価値だと考えてしまうと、それだけで売れにくくなります。
なので、顧客価値は「顧客としての価値」だということを(幾度も話していますが)確実に間違えないようにしてください。
顧客価値の間違い2:
商品の範囲で顧客価値を考える
顧客価値を商品の範囲で考えてしまうのも、残念な間違いです。
「うちの商品で、どんな顧客価値が提供できるだろう……」
などという感じで、商品の範囲でしか、顧客価値を考えないわけです。でも、顧客価値には次のものがありましたよね。
- ブランドの価値
- 商品/サービスの価値
- 問題解決の価値
- 時間的価値
- 担当価値
商品だけで考えるのではなく、もっと広く考えられるわけです。
では、次から顧客価値を高める7つのステップをお話していきます。
プロが教える『顧客価値』を高める7つのステップ
顧客価値を高めるステップ1:
顧客を愛し、本気になる
そうそう、まずはこれから説明しないといけません。
僕が企業などのマーケティングの支援をしていて、強く感じるのは、うまくいっていない企業は自分たちの商品やサービスにフォーカスしているんですね。
さっきの顧客価値の話と同じです。
顧客価値を考えるのではなく、商品の特徴を考えてしまうわけです。
だから、この状況を変える必要があります。
「商品にフォーカス」ではなく「顧客にフォーカス」する。
もっというと……
顧客を愛し、本気になって取り組むことです。
ただ、ここで注意が必要なのは、売り手は買い手(顧客)の立場になって、物事を考えることはできません。
これについては記事『顧客とは何か、そんなことは知っていると思っていませんか』の「顧客のことはわかるのか」でも話しました。詳しいことはそちらをチェックしてみてください。
顧客を愛し、本気になって取り組む。
自分たちが顧客の立場になったつもりになるのではなく、リサーチ(調査)や分析などを通して、本当に顧客の視点から物事を見ていくわけです。
難しい人はまず「顧客にフォーカス。そして、顧客を愛し、本気になって取り組む」。これを意識してください。
……ここで余談ですが、顧客が「愛」を感じると、より多くのお金を支払います。
著書『影響力の武器 戦略編』では次のようなことが述べられています。
「(チップの増額に)強く関係していたのは、勘定書きの上に載せたプレートの形でした。客が知るよしもありませんが、プレートの形は3種類用意されていました。円形、四角形、そしてハート型です。プレートがハート型だと、円形だった場合より17パーセント、四角形だった場合より15パーセント、チップが多くなりました」
純粋な「愛」ではありませんが。
「愛」を感じさせるハートのプレートを使うことで、円形の17%、四角形の15%チップが多くなったわけです。
顧客価値を高めるステップ2:
価値を見つけること
事業が明確に成功を遂げる時は、提供すべき顧客価値が何か、をきちんと理解しています。
直近で僕が支援してケースでいえば、わずか半年で月商が344.6%と、3.4倍近くの月商になっているケースもあるし、同様に成長を遂げている企業がありますが。
そうしたケースではほとんど全てのケースで自分たちの顧客価値が何かを理解しています。
まずはそれを知ろうとすることです。
ここを確認したい場合もオススメなのは僕の著書『顧客の「本音」がわかる9つの質問』です。まずはこれを活用してみてください。大手上場企業などでもご利用いただいていて、とても評判の高い一冊です。
そして、商品だけでなく、広く考えていくことです。
価値は広いんです。
起業家の多くが読んでいる一冊『はじめの一歩を踏み出そう』でマイケル・E・ガーバーはこう語っています。
『価値とは、店のドアを出るどきに顧客がつぶやく言葉かもしれない。
価値とは、顧客のもとに突然届けられるプレゼントかもしれない。
価値とは、仕事を覚えた新入社員に対しての褒め言葉かもしれない。……価値とは、事業にとっても、そしてあなたが事業から満足感を得るためにも、必要不可欠なものである」
顧客価値を高めるステップ3:
ベターを積み上げる
「顧客価値」を見つける時に注意してほしいのは。
顧客価値を見つけたら、すぐに顧客価値が高くなるようなことはないってことです。
ホームランではなく、ヒットを刻んでいくわけです。イチローのように、です。
言い換えると……
ベストではなく、ベターを狙う
僕がマーケティングの現場にいるのは17年になりますが、大きなホームランというのはほとんどない。
そんなホームランを狙うことに執着してしまうと、多くのヒット(チャンス)を失うことになってしまいます。
多くのチャンスを見逃さないためにも、ヒット(ベター)を重ね、積み上げて、ビジネスをより良いものにしていくわけです。
独立起業する人はホームラン(ベスト)を狙わないようにしてください。
ヒット(ベター)を数多く積み上げれば、ホームランを優に超える結果を生み出すことができます。
本当です。僕はそれを幾度も幾度も見てきました。
顧客価値を高めるステップ4:
広く価値を追求
『顧客価値』の『間違い2:商品の範囲で顧客価値を考える』でも話しましたが、商品の狭い範囲だけで考えないことです。チャンスが絞られてしまいます。
もっと広い範囲に視野を向け、顧客価値を広く追求していくわけです。
それだけで一気にヒット(ベター)の数が増えます。
顧客価値はより高まっていくわけです。
結果、売上、利益だって、増えていきます。
その時に重要なのは自分(たち)の「限界」を取っ払うことです。自分(たち)には無限の能力があると思って、考えていくわけです。
どうしても自分(たち)ができること、やってきたことの範囲で考えてしまいがちなんです。「限界」の範囲で考えてしまう。
でも、それだと何も変わらない。
「限界」なんて、自分の頭の中にあるものだし、幻想でしかないんです。
まずは自分たちの能力など無視して、理想を考えることです。そのあとでどうやって実現させるのか、を考えていくわけです。
顧客価値を高めるステップ5:
小さく試す
ステップ4までやると「価値」は次々に見つかってきます。
それで小さくヒットを打っていく。
すばやく展開し、実際の顧客の反応や意見などから、その顧客価値が意味のあるものかを選択していくわけです(場合によっては改善する)。
小さな価値なので、1つの価値を展開するのに、1年も2年もかけないことです。
小さな価値を次々に小さく試していくことです。
ここで重要なのは「スピード」です。素早く試していくことです。
顧客価値を高めるステップ6:
改善を掛け合わせる
「顧客価値」が見つかったあなたは
「確かに顧客にとっての価値はあるけど、今1つ、インパクトのない価値だな……」
などと思うかもしれない。
でも、1つひとつの価値は小さくでもいいです。
それらを掛け合わせれば、本当に大きな顧客価値になっていきます。
他の記事でもご紹介しましたが、半年で月商を3倍以上にしたある顧問先企業の事例では、まさに3つほどの要素(顧客価値の改善)を掛け合わせることで、とても大きな売上になりました。
掛け合わせるものが多くなればなるほど、1つひとつが小さな価値であっても、大きな顧客価値になるわけです。
1つひとつの要素を20%改善したら、どうなるか。
仮に10の要素があって、それら1つひとつを20%改善すると、それだけで6倍ほどになります。
1つひとつの価値は小さくてもいい。それを掛け合わせることで、一気に大きな顧客価値となります。
顧客価値を高めるステップ7:
顧客が生涯で得る価値
ステップ6まで取り組んだあなたの顧客価値はかなりのものになっているはずです。
ここでは最後に。「顧客価値」を顧客の生涯価値で考えていきます。
ここで間違えやすいのは、いわゆる「LTV」です。つまり、Life Time Value(ライフタイムバリュー)とは違います。ライフタイムバリューというのは日本語だと、顧客生涯価値といいます。
これは顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のことで、企業側の利益なんですね。
そうではなく、ここで考えてほしいのは顧客側の価値なのです。顧客が生涯で得る価値のことを考えるわけです。
顧客の人生の中でどんな価値を提供できるのかを考える。生涯や人生と考えるのが難しい人は少しでも長い期間で考えることです。
よくあるのが、1回売っておしまい、というものですが。
そうではなく、顧客の生涯でどんな価値が提供できるのか、と考えると色々とあるわけです。
場合によっては(その商品をより強力にする)次のアップセル(追加商品)なども考えられます(これを考えることで、顧客単価を倍以上にすることなどが容易になります)。
顧客にとっての価値を長期で見て、より強力にするわけです。
顧客価値を高めるステップ
「まとめ」
ここで最後にまとめます。
「顧客価値」というのは「顧客にとっての価値」だということ。
これが大事です。
そして、顧客価値を高めるには7つのステップがありました。
- ステップ1:顧客を愛し、本気になる
- ステップ2:価値を見つけること
- ステップ3:ベターを積み上げる
- ステップ4:広く価値を追求
- ステップ5:小さく試す
- ステップ6:改善を掛け合わせる
- ステップ7:顧客が生涯で得る価値
ぜひ、この7つに取り組んでみてください。
まずはステップ1が第一歩。
顧客を愛し、本気になることです。綺麗ごとのように聞こえるかもしれないけど、それだけでも変わってきます!
この記事を読んでくれたあなたのビジネスの顧客価値が高まることを願っています!
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