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顧客ロイヤリティ
『顧客満足度を高めることで、売上、利益を高める方法』という記事で、顧客満足度の高め方について、話しました。
でも、顧客満足とは別に「顧客ロイヤリティ」ってありますよね。
「顧客ロイヤリティは顧客満足とどう違うんですか?」
と疑問をもつ人もいるので。今回は
「顧客ロイヤリティ」とは何か。
どのように「顧客ロイヤリティ」を高めていけばいいのか
を話していきます。
大手企業やベンチャー企業まで、マーケティングの支援やリサーチに関わらせていただく中で感じることも一緒に紹介していきます。
さて、まず「顧客ロイヤリティ」とは何か
顧客ロイヤリティとは?
顧客ロイヤリティについては、様々なところで小難しく説明されています。ですが、どれもピンと来ないし、わかりづらいので。僕はこう話しています。
顧客ロイヤリティ=『忠誠』
顧客ロイヤリティっていうのは、企業(自社)や商品(自社製品)に対する顧客の『忠誠』です。
(ちなみに『顧客ロイヤリティ』は「ロイヤルティ』と表記されることもありますが、ここではどちらでもいいです)
顧客があなただとして
「この企業に忠誠を尽くしますよ」
と考える感じです。
非常にわかりやすいのは「Apple信者」。僕もAppleオタクなので、ある意味ではそこに入りますが。あれはまさに顧客ロイヤリティです。
表参道のApple。iPhone6の発売で長い行列。 pic.twitter.com/pa36N0TOJX
— naobumiokamoto (@lifegoesontokyo) 2014年9月19日
今でこそ、ここまでではないですが、iPhone6や5の時など、凄まじかったわけです。
あれはまさに『顧客ロイヤリティ』が非常に高い状態です。
顧客ロイヤリティと顧客満足の違いは
ここは非常に似ているので、あまり深く捉えなくていいです。
ただ「どうしても知りたい!」人にカンタンに話すと、「顧客満足」はまさに顧客の「満足」。満足したかどうか、なんですよ。乱暴にいえば、「受け身」。
顧客ロイヤリティというのは「忠誠」。
もっと「積極的」です。最もわかりやすいのは、他人に「この商品、本当にオススメ!」などと紹介してしまったり、するわけです。
ただ、顧客満足も顧客ロイヤリティも「顧客の満足」と言えます。
そもそもでいえば、1990年頃に「顧客満足」から派生して生まれたのが「顧客ロイヤリティ」なので。顧客満足のようなものなわけです。
ただ、厳密にいえば、「顧客ロイヤリティ」の方がもっと積極的に強く企業や商品と結びついています。
顧客ロイヤリティの代表的な行為は
「顧客ロイヤリティ」は「忠誠」。といっても、ボンヤリとしているので。
顧客ロイヤリティの代表的な行為としては大きく次の4つに集約されます。
- 商品の再購入、企業/店舗への再訪問(「忠誠心」をもつ)
- 長期間自社商品を買い続ける(「忠誠心」をもつ)
- 企業と強い結びつきを得るためにお金や時間の犠牲を払うことを厭わない(「忠誠心」をもつ)
- 積極的に他人への推奨などをする。
カンタンにいえば……。
商品を幾度も幾度も買い続けることはもちろんだけど、それが長期間続く。しかも、その企業や商品のためなら、お金も時間も犠牲にすることは厭わないし、積極的に他人に勧めていくわけです。
まさにApple信者。
特にiPhone5や6の頃。当時はiPhoneが出る度に行列になるし。彼らは長期間買い続けるだけでなく、徹夜したりして、お金も時間も「関係ない」感じ。
しかも、それをTwitterやブログ、リアルでも紹介しまくるわけです。
企業や商品にとっては、「最高の状態」です。
顧客ロイヤルティはどう高めればいいの?
今、あなたも「顧客ロイヤリティを高めたい」と思っているはず。
ここまで話すと、「顧客ロイヤリティが高い、最高の状態を生み出したい」と思いますよね。
少し僕の話になりますが…
今でこそ、僕は企業の顧問などをさせていただいたり、マーケティングの支援やリサーチなどに関らせていただいていますが。
もともとは大手金融機関グループのマーケティング部の管理職でした。そこで非常に多くの優秀な企業や営業マンの営業を約10年ほど受け続けていました。
大手広告代理店や優秀な企業や社員の人たちですからね。その提案(プレゼン)も一般の企業と比べると、優れているわけです。
それでも大抵が「ズレ」ていました。というより、ほぼ全てが「ズレ」ているわけです。
「顧客ロイヤリティ」を高めたい企業のよくある間違い
なので、「顧客ロイヤリティを高めたい」企業が大抵間違えてしまうことは「顧客ロイヤリティを高めようと、自社(自分たち)で考える」ことです。
自分たちで「顧客ロイヤリティを高めよう」などと考えてもなかなか顧客ロイヤルティは高まらない。
そもそも、自分たちが顧客の立場になって考えてほしいのですが……
「オレはあの企業に忠誠を尽くす」
なんて、まず思わないし。思いたくないわけです。
しかも、売り手である企業側と顧客では大きくズレている。
フツウにやっていたら、うまくいきません。
顧客ロイヤリティを高める3つの法則
「顧客ロイヤリティを高める」前にまず知るべきことは、人はどうしたら「忠誠」を尽くすのか、ということです。
ここでヒントになるのが、イタリア・ルネサンス期の偉人、ニッコロ・マキャヴェリの考えです。
「人間というものは、自分を守ってくれなかったり、誤りを正す力もないものに対して、忠誠であることはできない」
ニッコロ・マキャヴェリ
僕がマーケティングの現場で感じるのは、この言葉はかなり「正しい」ということです。
この言葉を逆にして言えば、顧客は「自分を守ってくれたり、誤りを正す」ものに対して、忠誠を尽くします。
では、この言葉を押さえつつ、ここから「顧客ロイヤリティを高める3つの法則」をお話します。
法則1:顧客ロイヤリティを高める前に顧客満足を高める
『顧客満足度を高めることで、売上、利益を高める方法』でも話したとおり、顧客満足を高める方法には次のものがあります。
- 約束を守る
- 小さな約束を守る
- 約束していない約束を守る
- 顧客は「人」だと想う
- 顧客との約束を強化する
- 調査結果をもとに顧客満足度を圧倒的に高める
まずはここからです。この「約束を守る」などを確実にすることが、マキャベリの言葉の「(顧客を)守る」ことのスタートなわけです。
とにかく、顧客を「守る」わけです。
詳しいことは『顧客満足度を高めることで、売上、利益を高める方法』。まずはこの基本を押さえることです。それにより、信頼が高まり、紹介なども生まれてきます。
で、次の法則2と3は顧客満足の先にあるものです。行ってみましょう!
法則2:顧客ロイヤリティを知る
次に取り組むのは現在の「顧客ロイヤリティ」を知ることです。
といっても、「どうやったらいいの?」と考えてしまうと思いますが、次の方法でカンタンに測定できます。
ここでは僕の著書『顧客の「本音」がわかる9つの質問』でもお話したとおり、「NPS(Net Promoter Scoreの略)」というロイヤリティを測定する方法を用います。
細かいことは省きますが。顧客にこう質問します。
「◯◯という商品を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」
……と、このような質問を0(絶対紹介しない)から10(絶対紹介する)の11段階で回答してもらいます。
そして、その回答を次の分類にします。
- 10〜9:『推奨者』。ロイヤリティが高い熱心な顧客
- 8〜7:『中立者』。満足しているけど、それほど熱心でない顧客(他社に行く可能性もある)
- 6〜0:『批判者』不満な顧客。
つまり、(企業や商品を)推奨する人、中立な人、批判する人の3つの分類にする。で、このように分類したら、次の式で計算すると、NPSスコアが出ます。これが現在の『顧客ロイヤリティ』といえます。
推奨者の割合ー批判者の割合=NPSスコア
たとえば、推奨者の割合が40%で、批判者の割合が20%であれば、NPSスコアは20%というわけです。
この推移で『顧客ロイヤリティ』の現状を把握し、その変化を見ていくわけです。
現状がどうなのか。
顧客ロイヤリティが高まった時はどのような状況にあるのか。
逆に低くなった時はどのような状況にあるのか。
そうしたことが見えてくるようになります。
僕がマーケティングに関らせていただいている企業の多くで、NPSは見ています。
やはり売上が大きく伸びている、成長企業については、このNPSは高く出ます。なので、かなり信憑性が高い方法です。
法則3:自社に巻き込む
顧客ロイヤリティを高めるため、最後にご紹介するのはとても強力な方法で。
「自社に巻き込む」ことです。
ニッコロ・マキャヴェリの言葉をここで思い出してください。
「人間というものは、自分を守ってくれなかったり、誤りを正す力もないものに対して、忠誠であることはできない」
ここで注目すべきは「誤りを正す力のないものには忠誠であることはできない」という点です。
逆にいうと、「誤りを正す力のあるものには忠誠を尽くす」わけです。
そこでやるべきことは「顧客を(まるで)社内の人間と同様に対応する」ことです。
社内の情報などをどこよりも早く伝えたり、情報をオープンにする、など。まるで社内の人間と同様に対応していくわけです。
また、「うちのサービスのどこが問題ですか……」などと意見を聞き、そうした問題がある(誤りのある)意見にもいち早く対処していくわけです。
これは僕が扱ったケースでも、非常に効果が上がる方法です。
顧客からすると「自分は特別扱いをされている」と感じます。
意見を言えば、いち早く対処してくれるし。「ここが違うんじゃないの」と話すと、それにもすぐに対処してくれる。
こうなると、顧客は自身を社内の人間のような気持ちになってくる。そして「忠誠心」が生まれるわけです。
現場でも、かなり効果が上がる方法です。
まとめ
今回は『顧客ロイヤリティ』を高める方法を紹介しました。
綺麗ごとのように捉える人もいると思うけど。実際に効果が上がる方法の1つ。
ここでお話する目的の1つでもあるのですが。こうした記事で、少しでもあなたのビジネスを本気で良いものにしてほしいと思っています。
「顧客ロイヤリティ」を高めるのは非常に大切なことです。
何より、顧客ロイヤリティが高い企業は本当にビジネスがやりやすい。
商品を出せば、売れるし、顧客は自ら率先して、紹介してくれる。
こんなにやりやすい状況はない。
ぜひ、あなたのビジネスに取り入れてみてください。
それ以外にもいくつもの効果が上がる方法があります。『顧客ロイヤリティを高めたい』という企業さま、経営者の方、担当者の方は遠慮なく、お問合せください。
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