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『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』
最近、書店によく平積みされている本。著者はオイシックスドット大地株式会社執行役員の方。
『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』
オイシックスの役員で、実際にデジタルマーケティングに取り組んできた実務家。
なので、変に複雑には書かれていなくて、しかも全体を俯瞰している。入門用としては非常に良い本だと思います。
目次を見ると、著者の考え方がある程度見えてきます。
1章 デジタルでマーケティングは何が変わったか
2章 顧客と売上を「新規」と「リピート」に分解する
3章 「F2」の壁を超えるには
4章 CRMは心理学である
5章 「広告費は売上の10%」は正しいか
6章 優先度の高い広告をやり切る
7章 サイト改善とKPI
8章 選ばれるブランドになるには
9章 社内調整とチームづくり
まさにこの本は、2章にある「新規とリピート」の視点から顧客を多面的に分析し、継続顧客、さらにロイヤルカスタマーをどう生み出していくのかについて、書かれています。
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法 印象に残ったポイント
デジタルマーケティングで最も重要なこと
デジタルマーケティングで最も重要なことは「売れる仕組みづくり」。
『起業マーケティング』でもよく伝えていることだけど、本当に重要。
厳密にいえば、「売れ続ける仕組みづくり」が重要になってくる。
「マーケティングというのは『売れる仕組みづくり』と考えることができます。
デジタルの接点や手法が増えたことによって、会員登録、商品購入、資料請求、SNSのID連携やアプリのインストールなどをきっかけに、お客様と継続的にコミュニケーションしやすい環境になりました。
「購入」という点で捉えるのではなく、接触から初期購入、リピートといった売れる仕組み、さらには『売れ続ける仕組み』をどのようにしたら構築できるのかをまずは考えます。この仕組みの構築こそが、最初にやるべき最も重要なことです」
デジタルマーケティングの特性
オフラインと大きく異るデジタルマーケティングの特性は「検索性」「双方向性」「即時性」
「PCでブラウザを利用していた時代のウェブマーケティングから、スマートフォンが主流の時代になり、位置情報やSNSなど多様なデータを利用したデジタルマーケティングへ範囲は広がりつつあります。
オフラインのマーケティングと大きく異る特性として『検索性(情報を検索して比較検討できる)』、『双方向性(企業だけでなくユーザーも情報発信できる)』『即時性(リアルタイムにコミュニケーションできる)』があります」
顧客構造を理解する
売れる仕組みを構築するには、自社の売上がどのような顧客で構成されているかを知る必要がある。
「まずやるべきなのは『新規顧客』と『継続顧客』に分けること。新規顧客はどのくらいのコストをかけて獲得しているのか、どのくらいの割合で新規顧客が継続顧客に転換しているのか、継続顧客が離脱する時期や割合などをしっかり見ていきます。
このとき、通販で使われている『階段図』などの表を使って分析するとよいでしょう。(中略)まずはこの構造を理解して、正しい施策、やるべき施策にフォーカスしていきます」
顧客との関係を維持するリテンションはF2を見る
顧客との関係性を維持する「リテンション」は顧客全体を平均で見てはいけない。2回目の購入に至る割合(F2転換率)がどのくらいあるかを重視する。
「お客さまとの関係性を維持する『リテンション』では、顧客全体を見るのではなく、特に『2回目』の購入に至る割合(F2転換率)がどのくらいあるかを重視します。初回が有料での購入の場合は30〜40%、初回が無料サンプルの場合は10〜20%くらいの数字が必要です。3回目以降の転換率はどちらも60〜70%となります」
優先度の高い広告から実施する
まずは顕在化しているユーザーにアプローチするSEM、アフィリエイト、SEOなどをしっかりやり切ることが大切。
「まずは顕在化しているユーザーにアプローチするSEM、アフィリエイト、SEOなどをしっかりやり切ることが大切です。その後、潜在ユーザーにアプローチしやすいSNS広告やディスプレイネットワーク広告などを選択します」
広告費は回収期間を考えて設計
広告費は広告費の回収期間と顧客が利用してくれる期間を把握して決める。
「広告費は『売上全体の◯%まで』という考え方ではなく、広告費の回収期間とお客様が利用してくれる期間を把握して決めます。平均利用年数が1年間の場合、広告の投資回収の目安は6ヶ月から8ヶ月となります」
「商品がニッチでなくなるほど、自社サービスが拡大するほど、新規獲得の獲得効率は悪くなります」
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法 その他のポイント
CRMは恋愛
マーケターは顧客をデータで見がちだが、長期的に顧客と関係を築くCRMでは、付き合いの長さや深さによってコミュニケーションを変えることが重要。
「付き合いの浅いお客様には頻度を高く、自社を理解してもらうためのコミュニケーションを行う。付き合いが深いお客様にはしつこく自社をアピールせずに、特別な顧客であることを感じてもらえるよう記念日やロイヤルティプログラムなどを企画し、長期的に利用していただけるような関係性を構築しましょう」
サイト改善ではKPIが重要
サイトの売上をどう作るかを考えるときは、見るべき数字とノイズとして排除すべき数字に分けることが大切。
「ECを例にすると、サイトの売上は『セッション(訪問者)数✕コンバージョン率✕注文単価』という計算式で考えることができます。しかし、予期せぬかたちでトラフィックが増えたり減ったりすることがあるため、数字を評価できない場合もあります。(中略)大きくは『直接(ブラウザのお気に入りなどからの流入)』『SEO(指名/一般)』『SEM(指名/一般)』『メルマガ』などに絞って、それぞれKPIを年間で計画していくと、サイト改善がやりやすくなります」
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法 書籍内容
企業と顧客が「直接」対話する時代の「デジタルマーケティング」に本当に必要なこと
新規顧客と継続顧客の育て方、デジタルコミュニケーションの基本が1冊になりました!
売上は顧客がもたらすもの。
しかし、一言で「顧客」といっても、
- はじめて買ってくれた人
- 一度買ったきり、関係性が途切れた人
- 何年も継続して買ってくれている人
……など、顧客状態や関係性はさまざまです。
本書は、いわゆる「新規とリピート」の観点から顧客について多角的に分析。
デジタル時代における、新規顧客と継続顧客、さらにはロイヤルカスタマーをどのように生み出し、デジタルの接点を通じてコミュニケーションし、強固な売上の土台を築いていくか、その基本的な考え方をまとめました。
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法 著者情報
西井敏恭
オイシックスドット大地株式会社執行役員、CMT(チーフマーケティングテクノロジスト)。株式会社シンクロ代表取締役社長。1975年5月福井県生まれ。