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『OKR』
今回、お届けするのは『OKR』。
オーケーアールだ。
副題が『シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』
Amazonをチェックしていたら、ランキング上位にあったので、早速読んでみた。
OKRでピンと来ない人も、やや似ている『MBO(Management by Objectives 目標による管理)』などであれば、ピンと来るかもしれない。
(本題ではないので、ここでは解説しないけれど、より深く知りたい人はGoogleで調べてみてください)。
いずれにしても、企業で目標を達成するために、似たような方法を導入しているはず。
この本の狙いについて、著者はこう述べている。
「本書のねらいは、すべての人や組織がトップクラスと同じような運営をできるよう、手助けすることだ。(中略)
OKRという手法は、6万人の従業員を抱える大企業から、社員わずか3人のスタートアップまで、さまざまな企業で採用され、見事に結果を出してきている。
規模にかかわらず、優秀な人材の採用に心血を注いでいる組織なら、このシステムが社員のポテンシャルを解き放つのに大いに役立つだろう」
つまり、あなたが小規模のビジネスの起業家であっても、十分に役立つということだ。
印象に残ったポイント
OKRとは何か
「OKRは、Objectives and Key Results(目標と主な結果)の略だ。
目標の『O』(Objectives)と主な結果の『KR』(Key Results)を設定する最も注目されているフレームワーク。
大きな目標『O』と具体的な数値目標『KR』を組合せることで、目先の数字に振り回されず、やる気が出て、生産性が断然上がります」
OKRの型
Oは定性的なものをひとつ。KRは定量的なものを3つ設定
「OKRにはある程度標準化された形がある。Oは定性的なものをひとつだけ、KRは定量的なものを3つくらい決める。
これらを使って、グループや個人を大胆なゴールに集中させる」
「Oは一定期間(たいていは四半期)のルールを定める」
「KRは、期間の終わりにOを達成できたかどうかを判定するのに使う」
上記を全社で設定した後、部署ごと、チームごと、そして最後に個人としてのOKRを設定する。
数人の企業の場合、会社で設定したOKRに個人のOKRがより近いものになる。
O(Objectives:目標)の設定条件
- 定性的で人を鼓舞する内容にする
- 時間的な縛りをつくる
- 各チームが独立して実行できるようにする
(数値を入れない方がいいとこの本にはある)
これらの条件をもとに本書での事例では次のように設定している。
「外食産業向け食品納入業者に対して、高級茶プロバイダーとして明確な価値を示す」
上記のようにOの設定は、組織全体がフォーカスできるように、1つのシンプルな目標とし、達成に向けてモチベーションが上がるものとする。
この「モチベーションが上がる」点が重要なカギ。
KR(Key Results)の設定条件
KRでは、感覚的な言葉を定量化(数値化)する。
「どうやってOを満たしたとわかるのだろうか」というシンプルな問いを立てる
KRの基準は、測れるものなら何でも構わない。たとえば、次のようなものだ。
・成長率
・エンゲージメント
・売上
・性能
・品質
ポイントは「数値化」
一定期間経過後、レビューした時にどれだけ達成したのか。測定可能にする。
ただ、達成できる可能性は五分五分でなければならない。「難しいが不可能ではないもの」にする。簡単すぎると意味がない、不可能ではやる気がなくなる
運用方法
- 3カ月単位で運用、でも毎週の振り返りは必ず実施
- 月曜日に進捗をチェックしてコミットする
- 金曜日の「ウィン・セッション」で成果を見せ合う。ほかの人の仕事も理解できるし、来週のやる気にもつながる
ポジティブでワクワク
予算や目標で縛るのとは大きく違う。
「予算1億」とか「1億必達だ」と厳しく言われると、やる気を失ってしまうが、「外食産業向け食品納入業者に対して、高級茶プロバイダーとして明確な価値を示す」などとすると、ワクワクし、やる気がでてくる。
このポジティブでワクワクするエネルギーを生むところが大きく違う。
書籍内容
たった3カ月で、人もチームも生まれ変わる。KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標。業績を評価するカギとなる指標)よりやる気が出て生産性が圧倒的に上がる新しいフレームワーク。
■OKRとは?
OKRは、Objectives and Key Resultsの略。目標の「O」(Objectives)と主な結果の「KR」(Key Results)を設定する最も注目されているフレームワーク。大きな目標「O」と具体的な数値目標「KR」を組合せることで、目先の数字に振り回されず、やる気が出て、生産性が断然上がります。
■前半は物語、後半はノウハウですんなりわかる!
本書の構成
<前半>
シリコンバレーのスタートアップの物語
高級レストランなどに高品質の茶葉を販売するスタートアップ「ティービー」が舞台。資金調達は成功したものの、売上が伸びず、創業者同士がぶつかり、社員の不満が募る。
そのときにエンジェル投資家の勧めで、ティービーに導入されたのがOKRだ。OKRの設定や運営でつまづきまくるが、やがて社内の全員が変わってくる――。
<後半>
OKRの設定から運営まですべてのノウハウを紹介。成功の法則、よくあるOKRの失敗例も紹介。
著者情報
クリスティーナ・ウォドキー
ウォドキー・コンサルティングのプリンシパルとして、企業を洞察段階から実行段階に移行するためのトレーニングを行っている。また、カリフォルニア美術大学とスタンフォード大学夜間講座で、次世代のアントレプレナーを対象に教鞭をとっている。これまで、リンクトイン、マイスペース、ジンガ、ヤフー、ホットスタジオ、イー・グリーティングスなどの企業の再設計と初期製品の販売を主導。さらに、コンサルティングスタートアップを2社、製品スタートアップを1社設立し、デザインを扱うオンラインマガジン、ボックシズ・アンド・アローズを創刊した。インフォメーション・アーキテクチャ・インスティチュートの共同創業者でもある。