『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』
今回、ご紹介する本は2014年9月に発売された本。
もう、そんなに経つのかと思ってしまうけど。この本を目にした時のことはとても覚えている。有楽町近くにあるマルイがあって、その8階あたりに当時はTSUTAYA併設のstarbucksがあって(今はない)、そこで見つけた本だ。
オレンジ色の表紙に『ZERO to ONE』とあった。ゼロからイチという意味だ。僕はまさにゼロからイチを行う起業家のマーケティングの支援も行っていたので、すぐに手に取って購入した。
読んでいくと、隠れた真実という言葉が出てくるのだけど。そうした表現にも惹かれた。とても優れた本だと思う。
著者はピーター・ティール。1998年にPayPalを共同創業して会長兼CEO に就任し、2002年に15億ドルでeBayに売却で有名な人物。
では、印象に残ったポイントを話していきたい。
印象に残ったポイント
新たなテクノロジーを生むのはベンチャー
新しいテクノロジーを生み出すのはベンチャー企業。大組織の中で新しいものは開発しづらく、独りでは更に難しいからだ。
正しい原則は90年代からの教訓ではなく逆の原則
90年代からの教訓は次のものだったが……。
- 少しずつ段階的に前進する
- 無駄無く柔軟である
- ライバルのものを改良
- 販売ではなくプロダクトに集中する
「正しい原則
・小さな違いを追いかけるより大胆にかけた方が良い
・出来の悪い計画でも、ないよりはいい
・競争の激しい市場では収益が消失する
・販売はプロダクトと同じくらい大事だ」
10年存続するのか
「自問すべき最も重要な問いは『このビジネスは10年後も存続しているか』」
独占企業はカネ以外のことを考えられる
- 競争的なビジネス
競争的なビジネスには、利益が出ないことよりも大きな問題がある。同じようなビジネスが数多くある中で、必死に闘わなければ生き残れない。 - 独占企業
グーグルのような独占企業は違う。ライバルを気にする必要がないため、社員やプロダクトや広い社会への影響を考える余裕がある。
グーグルのモットーは「邪悪になるな」だ。
それはブランディングの一種だとはいえ、潰れることなど考えずに論理について真剣に考える余裕があるという証でもある。
「カネのことしか考えられない企業と、カネ以外のことも考えられる企業とでは、ものすごい違いがある」
独占企業の特徴
- 10倍優れている根本的な優位性
それがあれば自社のサービスは模倣されない。
2番手より10倍は優れていないといけない。10倍優れるには全く新しいものを作るほうが早い - ネットワーク効果
利用者の数が増えるにつれ、より利便性が高まるのがネットワーク効果 - 規模の経済
規模が拡大するとさらに強くなる - ブランディング
強いブランディングは独占への強力な手段となる
慎重に市場を選び、拡大する
「ブランド、規模、ネットワーク効果、そしてテクノロジーのいくつかを組み合わせることが、独占につながる。ただし、それを成功させるには、慎重に市場を選び、じっくりと順を追って拡大しなければならない」
独占企業を作る4つのポイント
- 小さく始めて独占する
いかなるスタートアップも非常に小さな市場からスタートするべき。失敗しても小さくすむし、小さいほうが大きいよりも支配しやすい。理想の市場は少数の特定ユーザーが集中していながらライバルがいない市場 - 関連する市場に規模を拡大していく
ニッチ市場を創造し支配したら次は関連する少し大きな市場に徐々に拡大 - 破壊しない
- ラストムーバーになる
特定の市場で一番最後に大きく発展してその先何年何十年も独占利益を受ける方がいい
一握りのスタートアップが大きなリターン
一握りのスタートアップがその他全てを大幅に上回るリターンをたたき出す
隠れた真実を探す
「賛成する人がほとんどいない大切な真実は何か?」
他にだれも見ていない場所に秘密が存在する。完全に常識として通用するもので無い限り、みんなに打ち明けるのは賢いやり方ではない。会社の人間(共犯者)だけに伝えるべき
優秀な人材を集めるには
「偉大な使命」と「ここにいる人たちと一緒に働きたいと思わせること」
固いつながり
- ペイパルは最初から固いつながりのある場所にしようと考えた。
絆が強いほど、居心地がよく仕事もはかどるし、それ以降のキャリアもうまくいくと考える。才能ももちろん必要だが、それより、ほかでもない僕たちと働くことに興奮してくれる(楽しんでくれる)人を採用した。 - 役割をはっきりさせる
役割をはっきりさせると対立が減った。社員が同じ仕事を競うときに争いが起きる。社内の平和こそがスタートアップの生き残りに必要なものだ。
(スタートアップの失敗を聞くとライバルに負けたに違いないと思われがちだが、実は内部闘争によって失敗することが多い)
将来必要な仕事
- 人間を元気付ける仕事がこれから価値が出てくる
- 機械は人間を補完するものであって超えることはできない
答えるべき7つの質問
- エンジニアリング
段階的改善ではなくブレークスルーとなる技術を開発できるか - タイミング
このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか - 独占
大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか - 人材
正しいチーム作りができているか - 販売
プロダクトを作るだけではなく、それを届ける方法があるか - 永続性
この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか - 隠れた真実
他社が気付いていない、独自のチャンスを見つけているか
人生は宝くじではない
「完璧な準備が勝利につながる」
書籍内容
空飛ぶ車が欲しかったのに、手にしたのは140 文字だ
「もし本気で長期的な人類の発展を望むなら、ただの140 文字や“永遠の15 分” を超えた未来について考えなければならない。ZERO to ONE はシリコンバレーを教科書に、難題を克服してこれまで存在し得なかった偉大な物事を築きあげるための本だ」 by Peter Thiel
たとえば、日本が「失われた20年」と言われている間に、世界のイノベーションを引っ張っているのはアメリカ、特に西海岸のシリコンバレーだ。アップルやフェイスブックといった名前がすぐに思い浮かぶけれど、数多のスタートアップが起業しては消えていく世界でもある。
そんな中、次々と成功する企業を立ち上げる起業家集団がある。
オンライン決済サービス・ペイパルの初期メンバーとして繋がりが深く、現在もシリコンバレーで絶大な影響力を持つことから「ペイパル・マフィア」とも呼ばれる彼らは、ご存知ユーチューブ(YouTube)をはじめ、電気自動車のテスラ・モーターズや民間宇宙開発のスペースXからイェルプ(Yelp!)、ヤマー(Yammer)といったネットサービスまで、そうそうたる企業を立ち上げてきた。
本書はそのペイパル・マフィアの雄、ピーター・ティールが、母校スタンフォード大学で行った待望の起業講義録である。
著者説明
ピーター・ティール/ Peter Thiel
シリコンバレーで現在もっとも注目される起業家、投資家のひとり。1998年にPayPalを共同創業して会長兼CEO に就任し、2002年に15億ドルでeBayに売却。初期のPayPalメンバーはその後ペイパル・マフィアと呼ばれシリコンバレーで現在も絶大な影響力を持つ。情報解析サービスのパランティアを共同創業したほか、ヘッジファンドのクラリアム・キャピタル・マネジメントと、ベンチャーファンドのファウンダーズ・ファンドを設立。Facebook初の外部投資家となったほか、航空宇宙、人工知能、先進コンピュータ、エネルギー、健康、インターネットといった分野で革新的なテクノロジーを持つスタートアップに投資している。
マスターズ,ブレイク
法律調査と分析のためのツールを作成するテック系スタートアップJudicataの共同創業者