『こういう時に人は動く 影響力5つの原理』
「人を動かす」系の本。
この類の本で代表的な本は『影響力の武器』。『影響力の武器』は多くの人、特にマーケティングに関わる人などの基本書だと思います。
なので、この類の本を見ると「あー、『影響力の武器』に似ているな」と感じてしまう。
ただ、この本に注目してしまったのは、まさに『影響力の武器』の著者チャルディーニの名が帯に入っていることでした。
『こういう時に人は動く 影響力5つの原理』
『影響力の武器』チャルディーニ、推薦!などとあります。
本を少し開いて読んでみると、著者ボブ・バーグの言葉で、この5つの原理を実践すると次のようなことが起きるとある。
「実践すれば、人々から好かれ、尊敬され、人を動かすことができる」
さらにこうある。
「本書は成功に不可欠な技術を完全習得するための本である。
それは『人間関係』だ。実際、これこそが『凡人』と『偉大な成功者』をわける決定的要因である」
「私が見たところ、人生の成功は1割が専門技術で、9割が人間関係である。
たしかに専門技術はたいへん重要だ。実際、才能や能力は成功を収めるうえで大きな役割を果たす。しかし、それはあくまでも土台であり、ようやく出発点に立てたという程度だ。非凡な才能の持ち主であるにもかかわらず、人を動かす技術を身につけていないために平凡な結果しか出せていない人は大勢いる」
こういう時に人は動く 影響力5つの原理 印象に残ったポイント
人間関係において必要な5つの原理
- 自分の感情をコントロールする
- お互いの信念の違いを理解する
- 相手のプライドを尊重する
- 適切な雰囲気をつくる
- 共感を示して気配りを心がける
1.自分の感情をコントロール
私たちは感情をもとに決定をもとに決定をくだし、論理によって正当化している。
しかし、感情にもとづいて自分を正当化すると、なかなか人を動かすことはできなくなる。
自分の感情をうまくコントロールし、相手の感情を大切にすることで、人を動かす力は飛躍的に伸びる。
「ほとんどの人は自分が論理的だと思っているが、私たちはたいがい感情にもとづいて行動している。
私たちは感情をもとに決定をくだし、感情的な決定を論理によって正当化しているにすぎない。正当化とは『合理的なウソ』をつくることというう意味だ。つまり、たいていの場合、私たちは感情的に決定をくだし、自分に合理的なウソをついてそれを支持する」
POINT
- 感情的にならない
- 「反応」するな、「対応」せよ
- 一瞬考えてから口を開く
- 説得の限界を考えたら議論を打ち切る
2.お互いの信念の違いを理解
誰もが全く違う人生だし、経験も違う。当然、独自の世界観を持っている。
つまり、誰もが独自の信念体系(もののとらえ方)をもち、独自の世界観をもっているのだ。
ここで問題なのは「他のすべての人が自分と同じような世界観を持っていると思い込んでいて、本人はそれにまったく気がついていない」ことだ。
そのため、自分の信念体系に照らし合わせて、他人の言動を解釈する。こうして、お互いに理解し合うことはできなくなり、誤解が生じていく。
ここで重要なのは次のことだ。
「だからといって、必ずしも相手の信念体系を理解する必要はない。まず、相手の信念体系が自分の信念体系と大きく異なっているという事実を認識することからはじめよう」
POINT
- 信念と真実の違いを意識する
- まず相手を理解し、次に自分を理解してもらう
- 自分と相手の信念が衝突していることに気づく
- 相手の振る舞いを好意的に解釈する
- 憶測をまじえて答えない
- 相手のものの見方を学ぶ
- 自分の信念を柔軟にコントロールする
3.相手のプライドを尊重
誰もがプライドを持っている。そのプライドを傷つけると、まず相手を味方につけることが難しくなる。
「相手を味方につけることができるかどうかは、95%の確率で相手のプライドをどれだけ尊重するかにかかっている」
POINT
- 相手のプライドを尊重する
- 相手に恥をかかせない
- 相手に勝とうとしない
- まず「そうですね」と同意する
- 相手を「重要な人」として扱う
- 手書きの感謝状を出す
- 人前で相手をほめる
- 反論するときは相手への敬意を忘れない
- 利害関係のない人にこそ丁寧に接する
- 良い振る舞いはすかさず称賛する
- 「ありがとう」だけでなく、気の利いた短い言葉を添える
4.適切な雰囲気をつくる
適切な雰囲気をつくることは、人を動かす達人になるために重要なステップ。
著書では、買い物をしているところでお店にクレームを伝える状況が説明されているのだけど、それだけではなく、あらゆる人間関係で、適切な雰囲気をつくるかが重要になってくる。
ここで問題なのは、どちらが主導権を握って雰囲気をつくるかだ。
「あらゆる人間関係で、どちらが主導権を握って雰囲気をつくるかが問題になる。もし相手に主導権を握られたら、相手が適切な雰囲気をつくってくれることに賭けるしかない。(中略)もしあなたが主導権を握るなら、積極的に適切な雰囲気をつくって建設的な話し合いをはじめることができる」
POINT
- 笑顔で相手の協力を引き出す
- 自分が緊張していることを知らせる
- 「あなたの意見に賛成だ」と言ってから自分の意見を伝える
- 自分ではなく相手の利益を優先しているという姿勢を見せる
- 敵対的な相手には「どうすれば力になれるか?」とたずねる
- 相手の言い分をまず認める
5.共感を気配りを心がける
気配りとは、「相手の抵抗をやわらげて考えを受け入れやすくするような方法で何かを言う能力」のこと。
共感を示して気配りを心がければ、相手はあなたの提案を素直に受け入れて、それにもとづいて行動してくれる可能性が高くなる。
「同じことでも適切な伝え方をすれば、魔法のような結果をもたらす」
レストランで出された料理に注文をつける場合は次のような例になる。
「素晴らしい料理でとても満足していますが、肉の焼き方が少し足りないような気がします。シェフに私が料理を気にいっていることを伝えて、肉をもう少し焼いてもらえるかどうかたずねてもらえませんか?」
POINT
- いやなことを言われたら視点を変える
- プライドを傷つけないように叱る
- 「同情」ではなく「共感」せよ
- 批判者を称賛して攻撃をかわす
- 交渉の最中でも相手への気配りを忘れない
- 相手のために逃げ道をつくっておく
- 人の話をさえぎらない、自分の話をさえぎらせない
- 怒らせた相手には誠意を込めて謝罪する
- 相手との共通点を見つけて、さりげなくアピールする
- 不機嫌な相手には、気分をやわらげるような態度でアピールする
その他
その他で印象に残ったポイントは次のとおり
- 人を励まして自信を与える
- 自分より有能な人を集めて強いチームをつくる
- 一貫性を持ってつねに最善を尽くす
- 自分の間違いを認める
こういう時に人は動く 影響力5つの原理 書籍内容
(Amazon内容紹介)
人が動く条件を知っている人だけが、人生のすべてにおいて、成功します。
『影響力の武器』チャルディーニ、『7つの習慣』コヴィー推薦!
〈ロングセラー『敵を味方に変える技術』改訂版〉
「21世紀のデール・カーネギー」と呼ばれる人気コンサルタントが明かす、職場、学校、家庭で今日から使える驚異の技術。
「人生の成功の9割は人間関係にかかっている」と著者は言う。専門的な技術や知識も重要だが、人間関係には遠く及ばない。
非凡な才能の持ち主であるにもかかわらず、人を動かす技術がないために、残念な結果に終わっている人は世の中に大勢いるのだ。
とはいえ、どのようにすれば、人間関係を向上させ、人生を成功に導くことができるのか。そのために必要な原理は5つあると著者は説く。
1. 自分の感情をコントロールする
2. お互いの信念の違いを理解する
3. 相手のプライドを尊重する
4. 適切な雰囲気をつくる
5. 共感を示して気配りを心がける
本書ではこの5つの原理について豊富な実例と具体的な技術を示し、誰でも今日から実践できるようにしている。
職場で、学校で、家庭で、ぜひ試してみてほしい。すぐにあなたは自分の人間関係が改善していくのを感じることだろう。
こういう時に人は動く 影響力5つの原理 著者情報
ボブ・バーグ Bob Burg
アメリカの経営コンサルタント。影響力の行使に関する第一人者で、30年以上のキャリアを持つ大ベテラン。講演家としても人気を博し、全米の企業や団体を中心に活動をおこない、公私ともに役立つ人間関係の技術を伝授する。主なクライアントはゼネラル・エレクトリック、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、全米不動産協会。「人生の成功は専門技術が1割、人間関係が9割」が持論で、「21世紀のデール・カーネギー」の異名をとる。著作は世界21か国語に翻訳され、発行部数は累計100万部を超える。著書は『ひとを動かす技術』(大和書房)、『あたえる人があたえられる』(海と月社)。