『鬼速PDCA』
ご紹介するのは2016年10月に発売になった本。にもかかわらず、ずっと売れている本。
『鬼速PDCA』だ。
もしかしたら、「鬼速」という熱すぎるタイトルに若干ひいてしまう人もいると思うのだけど、いい本なので、ご紹介したいと思う。
「PDCA」とはPLAN、DO、CHECK、ACTIONの4つ。
- PLAN(計画)
- DO(実行)
- CHECK(検証)
- ACTION(調整)※この本では「実行」ではない。
この誰しもが知っている4つについては、あなた自身が今感じているかもしれないけど。
「そんなの知っているよ」
と思うかもしれない。
でも、実際には違う。
少し僕の仕事の話になるのだけど、僕は(大手からベンチャー企業まで)企業に対し、マーケティングの支援をしている。10年以上もの間、いくつもの企業と関わってきているのだけど、そこで感じることの1つはPDCAが回っていないこと。
これは非常に頻繁に起こることで。
実は、急速に成長を遂げているような企業であっても、意外にPDCAが回っていなかったりもする。高い営業力があったり、強烈な人脈があったり、何らかの強みがあり、一気に成長を遂げる。これだけであれば、PDCAが回っていなくてもうまくいくこともある。
そうなると、PDCAなんて不要だという風に感じるかもしれないけど(まさにそう感じてしまいがちなのだけど)。
ところが、そこから先、安定的に成長を遂げていくビジネスでは間違いなく、PDCAが回っている。
きちんとしたPDCAという意味では、1年に1度も回していない企業だってある。逆に1週間に1回、毎週のように回している企業もある。
特に起業家やフリーランスの方のように、資金的にも時間的にも制約があり、失敗を続けてしまうことが致命傷になるような状況にある人にとっては有効で。
間違いを垂れ流して展開していくようなことがなくなり、常に成功を伸ばしていくことができるようになる。
印象に残るポイント
PDCAは前進につながる
PDCAを回すことは前進につながる。高速に回せば、高速で進む。
広告やプロモーションを展開する人たちはスプリット(ABテスト)などで、既に実施していることだと思うけど(知らない人は知らなくても大丈夫)、それを高速で回すイメージだ。
「PDCAが『前進を続けるためのフレームワーク』である限り、それを、高速を超える『鬼速』で回し続けることで、会社、部署、そして個人が圧倒的なスピードで成果を出し続けることができる。さらに、前進していることを実感することで自信が湧き、モチベーションにドライブがかかり、さらにPDCAが早く回る。これが鬼速PDCAの真髄である」
前進を続けるほうが楽しい
前進を続けるほうが楽しい。まさにそのとおり。
「前進を続ける人生のほうが絶対に楽しい」
PDCAは何だかテクニック的なものに感じるかもしれないけど、実際には違う。これを回していくと実際に成功するパターン、失敗してしまうパターンが見えてくる。そうして、前進できる(成功する)道筋が見えてくる。
起業や独立をしている人にとっては、ここは非常に大きいことで。不安な中、成功する道筋が見てくることは非常に大きい。
目的地、計画を明確にする
PDCAを回すうえで失敗するのは計画の段階。目的が明確でなかったり、その目的を実施する因数分解(ロジックで分解する)ことができない。ここができていないと、CHECKやACTIONも機能しなくなっていく。
「目的地のない旅は放浪であり、目的意識のない旅は惰性だ。あらゆるPDCAは、辿り着きたいゴールを決めることから始まる」
振り返りの時間をつくる
振り返りの時間がないというのは、結局はPDCAの価値を大したものでないと価値を感じてないのだろう。
成功したら、成功したで満足して終わりだし、失敗したら、失敗したでそんなことをしている時間はない、という感じだ。でもこの本のとおり、本当に重要だ。
「振り返りの時間がないんですよね」という言い訳もいままで何百回も聞いてきた。
しかし私が営業マンだったころは飲み会などのアポをわざわざ平日に入れて(金曜も気が緩んで深酒してしまうので避けていた)、週末はインプットと振り返りの時間にあてていた。土日を100%、自分の成長のための時間に当てられる人はそう多くはないだろうが、要は覚悟次第で時間はいくらでも作れるということを言いたいのである」
PDCAは1つだけ回すのではなく、複数。そして、常に続ける
PDCAは1つだけでなく複数回していく。
たとえば、売上UPという大きなPDCAの下には、それを実現するための課題の小さなPDCAが必要になってくる。それらを絶えず回し、常に成長し続けるようにしていく。つまり、完了はなく、続けていくものだ。
詳細の技術的なことについては、この本を読むことがオススメだ。
ただ、若干細かすぎる傾向もある。PDCAを回していない人は欲張ってそれをやるときっと続かないので、まずは重要だと思った部分を取り入れ、定期的に少しずつ回すことからはじめる。そんな使い方が良いのではないかと思う。
書籍内容
【10万部突破ベストセラー!!】
3日ごとの振り返りで自分もチームも10倍速で進化する!
野村證券で最年少記録を出し続けた、努力を100%結果に変えるフレームワーク
PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(検証)、ACTION(調整)の4ステップからなるPDCAサイクルは、ビジネスパーソンであれば誰もが知る古典的なフレームワークだ。
しかし、PDCAほどわかっているつもりでわかっていない、そして基本だと言われているのに実践している人が少ないフレームワークも珍しい。
PDCAを極め、「鬼速」で回せるようになると、仕事に一切の迷いや不安がなくなる。そして、常にモチベーションを保ったまま、天井知らずに成果をあげられるのだ。
★個人のあらゆるスキル習得が超スピードになる
かつてのビジネススキルはどんどんコモディティ化(日用化)している。
たとえば英語話者やMBA取得者の数もずいぶんと増えているが、PDCAはこうした個別のビジネススキルとはまったく別の次元にある。
PDCAは、個別のスキルの習得を加速させるためのベースだからだ。
英語やコミュニケーションスキルなど効果が見えやすい実用的なスキルの習得に躍起になるよりも、実はそうしたことに手をつける前にPDCA力を身につけたほうが、中長期的に見ればはるかに大きな効果をもたらす。
★PDCAはチームリーダー・経営者の価値も決める
現在のビジネス環境においてはどれだけ真新しいビジネスモデルやテクノロジーであっても差別化要因にはならない。
瞬時に各国の言語に翻訳され、世界中に広まり、陳腐化してしまう。
ビジネスモデルで企業の価値が測られる時代は終わった。
そうではなく新しい仕組みやサービスを鬼速で生み出し続けられる組織力と、市場の変化に瞬時に対応できる柔軟性を持った企業こそ、激動の時代を勝ち残れる。
★「鬼速PDCA」のしくみ
– 目標へのロードマップの全貌をロジカルに導く「因数分解」
– キャパオーバーを防ぐ「工数棚卸しシート」
– 仕事の先送りがなくなる「半週ミーティング」
– 仕事のモレ・ムダがなくなる「鬼速進捗管理シート」
– 日々の気づきを行動に変える「なるほどシート」
– 自分を成長させる習慣を定着させる「ルーチンチェックシート」
著者情報
冨田和成(とみた・かずまさ)
株式会社ZUU 代表取締役社長 兼 CEO
神奈川県出身。一橋大学卒。大学在学中にIT分野にて起業。
卒業後、野村證券にて数々の営業記録を樹立し、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動。
その後、シンガポールでのビジネススクール留学を経て、タイにてASEAN地域の経営戦略を担当。
2013年、「世界中の誰もが全力で夢に挑戦できる世界を創る」ことをミッションとして株式会社ZUUを設立。
FinTech企業の一角として、月間250万人を集める金融メディア「ZUU online」や、主要なピッチコンテストでも受賞歴のある投資判断ツール「ZUU Signals」で注目を集める。
これまでにシリコンバレーのベンチャーキャピタルを含む総額5.5 億円の資金調達を行なう。
過去にGoogleやFacebookも受賞した世界で最も革新的なテクノロジーベンチャーアワード『Red Herring Asia Top 100 Winners』受賞。
最近は金融機関のFinTech 推進コンサルティングやデジタルマーケティング支援なども行ない、リテール金融のIT 化を推進している。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』(クロスメディア・パブリッシング)がある。