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プラットフォームの経済学
アンドリュー・マカフィーとエリック・ブリニョルフソンの『プラットフォームの経済学』。
この2人は『機械と競争』というベストセラーを書いたコンビ。
表紙に『プラットフォーム』のタイトルが目に入ってくるので、プラットフォームに興味がある人は否が応でも手に取ってしまうはず。
もちろん、直接的に興味がなくとも、そこからビジネスのヒントを得たい人にも参考になると思います。
帯を見ると、次のようなコピーがある。
「急速に能力を拡大する『マシン』に仕事を奪われる人間、巨大『プラットフォーム』に席巻される企業」
「機械は人と企業の未来をどう変える?」
……という感じで、マシンに仕事を奪われたり、巨大プラットフォームに席巻されたり、とひどく未来が厳しいものだ、という内容だと感じさせるのだけど、実際に読んでみると印象は違う。
可能性も感じさせてくれる内容だ。
印象に残ったポイント
運命を決めるのは私たち
帯の「マシンに仕事を奪われたり」などとコピーがあるので、悲観的な記述が多いのかな、と思ってしまうのだけれど、そんなことはない。
仕事を奪われたり、運命を奪われたりするわけではない。私たちが運命を決めるのだ。
「大きな技術革新は、これからどうすればいいのか、これまでとはちがうどんなことができるのかを人々に深く考えさせる。いま私たちは、まさにその時を迎えている。
テクノロジーはたしかに多くの仕事を奪ってきたが、しかし同時に、多くの仕事を生み出してきた。これからどんな仕事を作るのか、決めるのは私たちだ。
そう、問うべきは、テクノロジーが私たちに何をするかではなくて、私たちがテクノロジーを使って何をするか、ということである」
「ロボットがアメリカ中の雇用をすっかり奪ってしまうといった見方は、根本的に間違っている。テクノロジーそれ自体は道具であって、運命ではない。運命を決めるのは私たちだ」
マシンにはできないこと
マシンにはできないこと
- 創造的に考える
- 正しい問いを発する
- ソーシャルスキルを備える
- チームで働く
「人間には、創造的に考えること、正しい問いを発すること、ソーシャルスキルを備えること、チームで働くことができる。これらはマシンにはできない」
マシン、プラットフォーム、クラウド
この本を読む上で注意してほしいことはこの本は「プラットフォーム」についてのみ語っているものではないこと(『プラットフォーム』と表紙にはあるけれど)
本は3部構成で。
第1部は「人間とマシン」
AIやロボットについてなどの話が中心。人間にあってコンピュータにないものなども語られる。
AIが凄まじいという話だけではなく、僕ら人間はAIとどう関わっていくのかを説明している。また、企業であれば、AIの進化に対し組織の編成をスピーディーに適切に行えるかがポイントだとも語っている。
第2部は「物理的なモノやサービスとプラットフォーム」
ここでは成功するプラットフォームの特徴などが語られる。
また、プラットフォームが席巻するなかで、伝統的なビジネスが生き残る場所はどこか、などの興味深い話もある。
無料で顧客を集め、広告で収益を上げていく、などの超基本的な内容から、オンラインとオフラインをつなぐのが近年のトレンドで。オフラインのリアルのビジネス含め、すべての産業が「ネットビジネス」になっていくという話をわかりやすく説明している。
第3部は「クラウドとコア」
ビットコイン、ブロックチェーンなどが語られる。
また、そうした中で、企業は過去の異物となるのかについても答えている。
より多くの一般の大衆(群衆)の思考や行動が重要な役割をもつようになってくる。そうした状況に対し、ビジネスをいかに考えていくかの参考にもなるはず。
つまり、本1冊で次のことを語っている。
- マシン:アルファ碁が代表する自己学習的コンピュータ、AIの進歩
- プラットフォーム:Amazon、Facebook、Google、Uber、Airbnb、アリババ、テンセントなどが構築した物理的なモノやサービスを提供するしくみと場
- クラウド(Crowd):大勢の人からアイデアや資金を募る流れ。
この本について、Googleの元CEOエリック・シュミットは次のように語っている。
「今日の変化のスピードと拡がりには、シリコンバレーでさえ驚いている。この変化の波に乗り、先頭に立つためには、多くの混乱が起きる中でも変わることのない原理を理解しなければならない。本書はそうした原理を解き明かす最高の解説書である」
書籍内容
『機械との競争』と『ザ・セカンド・、マシン・エイジ』の著者で、「テクノロジー失業」到来を訴えて反響を呼んだMIT(マサチューセッツ工科大学)のコンビが、新たにテクノロジーによる「企業消滅」に挑んだ意欲作。
ビジネスを大きく変革する3つのトレンドーー。
- マシン:アルファ碁が代表する自己学習的コンピュータ、AIの進歩
- プラットフォーム:Amazon、Facebook、Google、Uber、Airbnb、アリババ、テンセントなどが構築した物理的なモノやサービスを提供するしくみと場
- クラウド(Crowd):大勢の人からアイデアや資金を募る流れ。
マシンは人間の頭脳、プラットフォームはプロダクト、クラウドはコアと呼ばれる企業の製造プロセスやサプライチェーンとペアをなす。
デジタル技術の大変革期を生き延びるためには、この3つのペアのバランスを再考することが急務、と著者たちは訴える。
さあ、あなたの企業は生き延びられる?
著者情報
アンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee)
マサチューセッツ工科大学デジタル・ビジネス・センター首席リサーチ・サイエンティト。
著書に『機械との競争』、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』(共著、以上日経BP社)“Enterprise 2.0″。
エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院教授。
著書に『機械との競争』、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』(共著、以上日経BP社)、『インタンジブル・アセット』(ダイヤモンド社)、『ディジタルエコノミーを制する知恵』(東洋経済新報社)