『博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ』書評/まとめ

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『博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ』

「要は何を言いたいんだろ……」

僕が会社員だった時、決裁権者だったこともあり、非常に多くの営業マンからの営業を受けていた。その時に常に頭に浮かんだのがこの言葉。

「この営業マン、要は何を言いたいんだろ……」

会社案内や商品の話をしてくるのだけど、今一つわからない。そういったことがよくある。要点だけ、話してほしいな、と。

では、Twitterのツイートのように、要点だけ提案をされたらどうなのか、というと。文字数が少なすぎるのも、受け手には響かないし、発注(購入)まではまずいかない。

要点のような幹で。しかも相手に響く幹で話し続ける必要があるのだ。

『博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ』はまさにそのヒントの一つになるはずだ。

本書の冒頭にはこうある。

「これまでにも『要点』をまとめるための本は、たくさん出ています。
しかし、その多くは、短くまとめた結果、つまらない文章になっています。正しいけれど、つまらない。機会的に短くするならば、今やAIにまかせたほうが正確な文章になる時代です。
しかし、つまらなければせっかく書いた文章を読んでもらうことはできません」

情報が氾濫していて、時間もないような世の中。だからこそ、次のような文章を目指すべきなのだ。

「短くなっても、面白い。つい読んでみたくなる、人に話したくなるような文章です」

企画書や提案書にも使えるだろうし、商品のPR文や、SNSなどの投稿にも活かせるはず。それでは印象に残ったポイントについて、紹介していきたい。

印象に残ったポイント

枝葉を切って、幹を語る

要点を面白く語ることが重要。そのひとつの理想形は小泉進次郎。

「スピーチ上手の小泉進次郎さんは、自らのスピーチを『枝葉を切って、幹を語る』と言っています。『』はまさに『要点』の部分です。(中略)(小泉さんは)人の心をつかみ、揺さぶる力があります。『要点を面白く語る』、ひとつの理想形です」

3つの中のベストワン

3つの中のベストワンを設定することで、文章の密度を高めることができる

「パラパラと選び出された要点を3つに絞り込む。これだけなら多くの『ハウツー本』に書かれています。しかし、大切なのはその先です。3つを比較検討すること。そして、その中から最も重要なベストワンを選び出すこと
3つの中からベストワンを選ぶことで、残りの2つがベストワンの理由を肉づけする材料になってくれる」

建前と本音、ジキル文とハイド文

1ページから1ヶ所、要点を探して、それを3つに絞り、その中からベストワンを探す。これだけでも書く力は上がる。でも、そこに加えてほしいのがジキル文とハイド文。

建前がジキル文、本音をハイド文として分ける。人から愛される文章は、このジキル文とハイド文のさじ加減で決まる。

要点から逃げない

要点から逃げると、わかりにくい文章になる(言いたいことから逃げ、要点をぼかすと、文章は長くなる)。

「トイレに、こんな張り紙がありました。

『ペーパーハンドタオルが床に置かれたままですと、誤ってほかの人がトイレに流してしまう詰まりにより使用ができなくなります。
次の方のためにも、皆様、ご協力をお願いします』

わかりにくい文章ですね。何を『ご協力』すればいいのでしょう。なぜ、こういう表現になってしまうのでしょう。

『使用済みのペーパーハンドタオルは、所定のゴミ箱に捨ててください』と簡潔に書けます。そのほうがずっとわかりやすいはずです」

誰もが間違いなく行動できる文章を書く必要がある。

「言葉がボーダレス化していく中で生き残っていくには、『ネット翻訳』にも堪えうるほど明快で簡潔で、誰もが間違いなく行動できる文章を書く必要があります」

「が」に注意

「あまり時間がないですが、挑戦してみます」などと、簡単に「~が」でつなげてしまうことを禁止とする。

「あまり時間がありません。でも挑戦してみます」

「あまり時間がありません。だから挑戦してみます」

「あまり時間がありません。それゆえ挑戦してみます」

接続する言葉を換えるだけで、あなたの挑戦する本音がより伝わるようになります

まずは「いつ」から

「人間の心理は、どこで起きたのかよりも、いつ起きたのかを先に知りたいもの」

早い話が何かを先に伝える

「コピーライターの仲畑貴志さんが、『「早い話が」と言ってからコピーを書け』と書いていました」

「『とにかく大変だった』とまずこう書きたまえ。その後へ、君の目に入った、あるいは君が心に強く感じたものを書きたまえ」
(『桃太郎の教訓 減速経済時代を生き抜く』扇谷正造著・PHP研究所)

書籍内容

「何から書いていいのかわからない」「どう書けば伝わるのかわからない」という、文章に関する悩みを解決するコツが満載!

企画書、提案書、メール、エントリーシート、SNS……。仕事でも、プライベートでも短い文章を書く機会は多いもの。

しかし、限られた字数のなかで読み手に伝わる文章を書くのはなかなか難しいものです。

また、SNSが発達するにつれ、炎上、クレーム、批判を恐れるあまり、あえて言いたいことをぼかし、曖昧に伝える文章も増えています。

こういった迷いが生じると、文章は長くなり、どんどん伝わりにくくなってしまいます。

本書は、博報堂でスピーチライター、コピーライターとして活躍するかたわら、大学などで「言葉の持つ力」について教えている、言葉のスペシャリストが、短くても伝わる、そして読み手に「面白い! 」と思わせる文章の書き方を、ていねいに解説していきます。

著者情報

ひきた/よしあき
博報堂スピーチライター、クリエイティブプロデューサー。1984年、早稲田大学法学部卒。学生時代より「早稲田文学」学生編集委員。1984年、博報堂に入社し、CMプランナー、クリエイティブディレクターとして、数々のCM作品を手がける。その後、おもに行政の仕事を担当するようになり、政治、行政、大手企業などのスピーチライターを務めている。また、大学で講義や講演を行うほか、「朝日小学生新聞」に長年コラムを寄稿するなど、若者に日本語の潜在能力や素晴らしさ、コミュニケーションの重要性を伝えている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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運営責任者:橋本哲児

売れるマーケティングの専門家 主にダイレクトマーケティング、WEBマーケティングの世界で17年間活躍。 東京都港区在住、兵庫県西宮市出身。 1999年、大手保険グループの生命保険事業のダイレクトマーケティングに取り組む。当初は成果がでない苦悩の日々が続く。 しかし、いくつかの独自の方法を開発することで成果が出始め、そこから全てが変わり、ネットマーケティングでは「国内トップクラスの担当者」などと評価されるようになる(ダイレクトマーケティング部課長兼インターネットビジネス総責任者に従事)。 2008年に独立。大手上場企業や起業家(中小企業)などの顧問を歴任。 現在はリサーチや分析、商品開発、セールスコピー(ライティング)、ブランディングなどを通じて、効果的なマーケティング展開をコンサルティングする。ライフワークとしてスティーブ・ジョブズなど偉大な業績をあげた人物の研究を続けている。著書に『逆境を乗り越える ジョブズ 魂の言葉 』『顧客の「本音」がわかる9つの質問』『世界を変える「自分」になる19の法則』がある。

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