『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』
今回、ご紹介するのはこの本。
『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』
現在、Amazonのランキング上位の本で。
総合だと395位だけど。ビジネス・経済カテゴリーだと2018年1月30日現在で83位と100位以内には入っている。
正直にいえば、タイトルがあまり響かなくて、読む気がしなかったのだけど。
著者のプロフィールを見て、読もうと思ったのがこの本。
(タイトルを変更すれば、もっと売れていたはず)
著者の方は2001年にAmazonジャパン立ち上げに参画。そこから10年実際に仕事をしていたということ。
なので、外から見たAmazonではなく、具体的に中から見たAmazonについて、描かれている。ここが最大のポイントだと思う。
印象に残ったポイント
内部から見たAmazonという組織のことなど、具体的なことが描かれているので参考になる。
企業理念の2つを実現させるため、妥協せず、常識に縛られず、施策を打つ
「アマゾンの企業理念は、『地球上で最も豊富な品揃え』そして、『地球上で最もお客様を大切にできる企業であること』の2つです。この2つを実現するために、妥協せず、常識に縛られず、様々な施策を打っているのがアマゾンという会社です」
この言葉は本当に様々なところで見る。
たとえば、新卒採用にはもちろん、こう書かれているし。本当に徹底している。
「『地球上で最も豊富な品揃え』そして、『地球上で最もお客様を大切にできる企業であること』という企業理念に共感できる大学生・大学院生を募集しています」
物流とテクノロジーにかける投資が大きい
「業績を見てみるとわかりますが、売上は順調に拡大しているものの、利益については非常に小さくなっています。これは物流とテクノロジーにかける投資が大きいためです」
「(創業者)ベゾスは、アマゾンが取引品目を増やし、物流システムを構築して、規模を拡大していくことで、流通イノベーションを起こせると確信していたのでしょう」
「結果的に失敗をすることもありますが、綿密な計算と分析にもとづいて、これと見定めた目標を達成するために様々な投資をしているのです」
長期的な視点で、同じ理念のもとに何年も続ける
「アマゾンが物流に大きく投資をするのは、そこを改善していくことで、顧客満足度を上げることができ、生産性を上げることもできるからです。つまり、長期的な視点で、未来を見据えて、物流への莫大な投資を行ってきているわけです。それを、同じ理念のもとに何年も続けてきています」
物流への投資は、人材面でも違う。最高の人材、MBAなど
「一般的な企業においては、物流部門というのはそれほど重要視されません。(中略)そこに配置される人材については、それほど気にしていないと思います。
しかし、アマゾンは物流システムを重要視する中で、最高の人材を配置するようにしています。倉庫管理者の多くは、MBAを取っている人間です」
wikiを作る習慣が根付いていて、ナレッジが蓄積されていく
「アマゾンでは、何かナレッジベースとして残しておきたいことがあったら、Wiki を作る習慣が根付いているのです」
「決してノルマがあるわけではないのですが、皆積極的に Wiki を作り、ナレッジベースを充実させていきます」
「まずは自分で Wiki を検索し、できるだけのことをします。同じような問題が発生することは多いので、その段階で解決できることも多くあります」
書籍内容
「速く・確実に・高品質のモノが届く」現代社会のインフラとも呼べる存在アマゾンは、どうしてそんなに速くモノを届けられるのか。一体、どんな人間が、どんな仕組みで、どんな仕事をしているのか。本書では、今まで謎に包まれてきたアマゾンの実態について解き明かしていきます!
・次々と新サービスを打ち出す、アマゾンの「本当の強さ」とは
アマゾンプライムナウやアマゾンエコーなど、様々な新サービスを展開するアマゾン。こうした施策が可能なのは一体なぜか。アマゾン立ち上げメンバーで、サプライチェーン部門マネージャを務めた著者が、アマゾンの「本当の強さ」について、内部から解明します。
・世界No1の物流戦略は一体どこが違うのか
物流への桁外れな巨額投資や、製造業並のサプライチェーン管理など、「物流」の捉え方が他の企業とは全く違う、アマゾン独自の物流戦略を紹介。なぜアマゾンはここまで物流にこだわるのか、そして成功して来たのか、その謎を紐解きます。
・アマゾンの物流を支えるロジカル経営
様々なサービスや施策、最先端の物流戦略を考え、実行できるアマゾンの内部構造はどうなっているのか。緻密なデータに基づき、徹底的にロジカルな判断を下すアマゾンの経営手法や文化、一流の人間だけが集まる人材戦略について公開します。
「アマゾン一強時代」と言われるなかで、果たして日本企業は太刀打ちできるのか。アマゾンの強さの真の理由を知ることで、対抗するヒントが見つかるでしょう。
著者情報
林部健二
米系ラグジュアリーブランドにてMDを経験後、2001年アマゾンジャパン立ち上げへ参画。サプライチェーン部門、テクニカルサポート部門責任者を歴任し、立ち上げからの約10年間アマゾンジャパンの成長に貢献する。その後、大日本印刷、ドコモが出資するオンラインベンチャー企業及び大手ワイン会社にてEC部門を統括。2014年株式会社鶴を設立。欧米企業のEC事業管理手法をベースに、数々の企業にて日本のオンラインマーケットにあったEC事業運営を構築、コンサルティングを行う。