『クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST』
正式なタイトルは
『クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST “君がつくるべきもの”をつくれるようになるために』
この本は東京駅近くにある丸善で表紙をよく見ていた本。
何だろう、ととても気にはなっていたのだけど、中身が軽そうだったので、読まずにいたのだけど。ある日「やっぱり読もう!」と読んでみた本。
素晴らしい本だった。
もちろん、専門書などと比べると、文字は少ないのだけど。その内容はまるで「名言」を読んでいるかのように濃い。
何かを創る仕事をしているような人。本を書いたり、コンテンツを創ったりする人には本当にオススメで、きっと何らかのものは得られると思う。
読み始めると次の言葉が書いてある。
昔の僕へ
僕はいつもこう考えている。
人はアドバイスするとき、過去の自分に語りかけているんだと。この本は、僕がいままでの自分に語りかけているものだ。どうすれば作品が生み出せるのか。この本には、その答えを10年近く探しつづけてきた僕のアドバイスが詰まっている。
でも、それを人に伝えはじめたとき、面白いことに気づいた。僕のアドバイスは、アーティストだけじゃなく、誰にでも当てはまるんだと。
これから紹介するアイデアは、人生や仕事をちょっぴりクリエイティブにしたいと思っている人なら、誰でも取り入れられる(そう、つまり全員だ)。
一言でいえば、この本は君のためにある。君が誰なのか、何を作っているのかは関係ない。さあ、始めよう
……と誰にでも取り入れられるとあるのだけど。クリエイティブな仕事をしている人には強く刺さると思う。
では、この本で印象に残ったポイントについて、話していきたい。
印象に残ったポイント
目次がポイント
この本のポイントは目次を読めば、大枠はわかる。次のとおりだ。
- アーティストのように盗め!
- 自分探しは後回し
- 自分の読みたい本を書こう
- 手を使おう
- 本業以外も大切に
- いいものつくって、みんなと共有
- 場所にこだわらない
- 他人には親切に(世界は小さな町だ)
- 平凡に生きよう(仕事がはかどる唯一の道だ)
- 創造力は引き算だ
オリジナルなんてない
「一流のアーティストなら、無から生まれるものなんて何もないと知っている。創作作品には必ずベースがある。100%“オリジナル”なものなんてないんだ」
ゴミからはゴミしかつくれない
「アーティストは収集家だ。でも、ためこみ屋じゃない。何が違うのかって?ためこみ屋は何でもかんでも集める。アーティストは取捨選択して集める。『これこそ』と思うものだけを集めるんだ」
できるまではできるフリ
「この世はすべて舞台だ。男も女もみな役者にすぎない。退場もあれば登場もある。そして1人1人が一生に何役も演じる」
知っていることではなく、好きなことを書く
「映画『ジュラシック・パーク』が公開されたのは、僕の10歳の誕生日だった。熱狂した。映画館を出た瞬間から、続きが見たくてたまらくなった。次の日、僕は古いパソコンの前に座って、続編を書きはじめた。
(中略)当時は知らなかったが、僕が書いていたのは『ファン・フィクション』って呼ばれるものだ。つまり、既存の登場人物をもとに作ったフィクションだ」
無名を力にする
「いったん注目を浴びれば、そしていったん給料を受け取ってしまえば、もう好きには出来ない。無名を存分に楽しもう、無名を力にしよう」
友をつくって敵は無視
「友を作って、敵は無視。僕がここにいる理由はただ一つ。友達をつくるため」
「インターネット上で敵を打ち負かすいちばんの策は?無視することだ。ネットで友達を作るいちばんの策は?ほめることだ」
ケンカしてるヒマがあるなら何かを作る
「他人の作ったソフトウェアに文句を言ういちばんの方法は、自分でソフトウェアを作る事だ」アンドレトレズ (ソフトウェア開発者)
捨てるものを決める
「情報過多な現代社会で成功するのは、どんな人だろうか?それは、何を捨てるかを見極め、自分にとって本当に大事なものだけに集中できる人だろう。人は可能性が無限にあると、身動きが取れなくなる。何をしてもいいと言われると、足がすくんでしまうんだ」
束縛を楽しめ
「創造力のスランプを乗り越える簡単な方法があるー自分に制約を課すことだ。矛盾して聞こえるかもしれない。でも、創作では、制約は自由でもある。昼休み中に一曲作る。1色だけで絵を描く。開業資金なしで会社を始める」
10のまとめ
- アーティストのように盗め!
どんな新しいアイデアも今までのアイデアの組み合わせや組み替えでできているから、なんでもGoogleで検索して、いつもノートとペンを持ち歩いてネタ帳を作っておこう。- 自分探しは後回し
できるまではできるフリをして、憧れる人をコピーして、その人の世界観を自分の一分にしよう。上っ面ではなく本質をコピーしよう。- 自分の読みたい本を書こう
知っていることではなく、好きなことを書こう。自分のしたい仕事をしよう。- 手を使おう
パソコンとにらめっこばかりしていないで、アナログスペースで紙に落書きをして切り貼りしよう。アイデアがまとまったら、パソコンに戻って、また熱が下がったらアナログスペースへ。- 本業以外も大切に
たくさんの仕事を同時進行させて、こっちの仕事に飽きたらあっちへ、あっちの仕事に飽きたらこっちへ。楽しみはひとつに絞らず、全て人生に残しておこう。- いいものつくって、みんなと共有
無名のうちは無名を存分に楽しもう。無名を力にしよう。有名になるには、いいものつくってみんなと共有(シェア)。- 場所にこだわらない
自分の世界をつくろう。インターネット(TwitterやGoogleリーダー)だってある。個性的な人と過ごすのも手だ。- 他人には親切に(世界は小さな町だ)
友をつくって敵は無視、君の限界は君の周りにいる人間によって決まる。- 平凡に生きよう(仕事がはかどる唯一の道だ)
借金しない、定職を持つ、いい相手と結ばれる。作品の制作やキャリアの構築には小さな努力をコツコツ積み重ねることが必要、仕事を終えたらカレンダーに×印を付けて、×鎖を断ち切らないようにしよう。- 創造力は引き算だ
可能性が無限にあると身動きがとれなくなるから、自分に制約を課そう。今ある時間、スペース、材料だけで、何かを作ってみよう。今すぐに。
よい盗み方と悪い盗み方
よい盗み方
- 敬意を払う
- 本質を学び取る
- 大勢から盗む
権利を守る- 作り替え
- リミックス
悪い盗み方
- 作品を汚す
- 表面をかすみ取る
- 1人から盗む
- 権利を侵す
- ものまね
- パクリ
……と一部だけでもインパクトがある内容。オススメの本。
書籍内容
本書は、「新聞を黒塗りして詩を綴る」という斬新な手法で
世界中から注目を浴びている著者がまとめた、クリエイティブに生きるための人生のヒント集です。
ユーモア、ウィット、示唆に富む著者自身からのメッセージのあいだに、デヴィッド・ボウイ、ジェイ・Z、ジム・ジャームッシュ、山本耀司、ブライアン・イーノ、スティーブ・ジョブズ、…といった、一流のアーティストやクリエイターの言葉が織りこまれ、コンパクトでありながらインパクトあふれる1冊に仕上がっています。正方形でビジュアル要素満載のオシャレな本です。
何かをつくったり生み出したりしたい若者、そんな若者を子どもにもつ親御さん、創作や企画について学んでいる人、企画系の仕事をしているビジネスパーソン、そんな方々にぜひ手に取っていただきたい1冊です。
著者説明
オースティン・クレオン(Austin Kleon)
作家、アーティスト、講演家。
新聞記事の黒塗りで作った詩集『Newspaper Blackout』の作者として知られ、作品は「ウォール・ストリート・ジャーナル」をはじめ、各種媒体で取り上げられている。また、本書の原書『STEAL LIKE AN ARTIST』は「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーリストにランクインした。テキサス州オースティン在住。