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『もうモノは売らない』
今回、ご紹介するのはマーケティングの分野では人気の本。
発売は2017年10月11日。既に4ヶ月ほどが経過しているのだけど、現在もAmazonのマーケティング・セールスのカテゴリーで33位と人気が高い。
ご紹介するのは『もうモノは売らない』。サブタイトルは『「恋をさせる」マーケティングが人を動かす』
恋をさせる、というのがとても気になった 笑
あなたにとってもそうかもしれないけど。
「売らない」とか「売り込まない」などのの類の本は人気がある。売り込まずに売る。それを求める人が多いということだろう。
著者は(この『起業マーケティング』を読む多くの人と同じ、起業家ではなく)元コカ・コーラの全世界統括マーケティング・ディレクターのハビエル・サンチェス・ラメラス。
彼が自身の経験から得たマーケティングを、マネジャーらに学んでもらい、少しでもミスを減らしたい、その想いで作成した資料をベースに作られたのが本書。
サブタイトルにあるように、まさに(顧客に)恋をさせるマーケティングのために何をするのかって内容。
この考えに至ったのはコカ・コーラ特有の問題もあった。
たとえば、P&Gなどは優れた製品の優位性を前面に押し出し、訴求ができる(実際、していた)。ところが、コカ・コーラは違う。(コカ・コーラを売り続けるなど)製品を変えることはできないため、顧客の感情的な面に狙いを定めたマーケティングを展開した。
それでは、印象に残ったポイントをお伝えしたい。
印象に残ったポイント
マーケティング予算のうち、半分は完全にムダに終わる
「マーケティング・プログラムに費やされる予算のうち、半分は完全に無駄に終わる。問題は、どの半分が当たるかを知ることはできないということだ」
『起業マーケティング』でもよく話すように、優秀なメンバーで優秀なチームを組んだとしても、上記のようにムダに終わることは避けられない。失敗は避けることができないのだ(それがコカ・コーラの全世界統括であっても)。
これは僕の持論だけど、失敗をしないではなく、あらかじめ失敗を加味して、成功につなげることが重要になってくる。
マーケティングとはブランドを創造することで製品に恋してもらうプロセス
顧客の感情脳のことを忘れてはいけない。顧客の感情に訴え、共感してもらえないと、自分たちが発するメッセージを聞いてもらえなくなってしまう。
「マーケティングとは人々に、ブランドを創造することで製品やサービスに恋してもらうプロセスだ。つまり、マーケティングとは誘惑なのだ。我々は理性脳に働きかけるのにエネルギーを使いすぎ、感情脳のことを忘れがちだ。感情脳はとても繊細で、無視されることを嫌う。共感してもらえなければ、すぐにそっぽを向く。するとどんなに努力しても、もう会話にも説得にも耳を貸さなくなってしまう」
人はブランドにも恋をする
人が恋するのは人間だけではない。ブランドにも恋をする。ただし、基本は1カテゴリーに1ブランドだけ。
「人は恋をするのと同じように、ブランドにも恋をする。ほとんどの場合、選ばれるのはひとつのカテゴリーにつきひとつのブランドだけだ。そしてそのとき、感情脳は自分が選んだブランドとその他のブランドの差は実際以上に大きいと思っている。また、およそ80パーセントの人が十八歳までに好みのソフトドリンクブランンドを決めてしまう。この傾向は他のカテゴリーでも同様だ」
ブランドに忠実に一貫性を保つこと
一貫性が重要だ、とマーケティングではよく言われるのだけど、それはただ同じことを繰り返すということではない。ブランドに忠実に一貫性を保つことが重要になってくる。
「一貫性とは、退屈な反復とは違う。ブランドの価値に忠実であるということだ」
あなたのマーケティングに関するアクションは、ブランド(の価値)に忠実に一貫性を保っているだろうか。
顧客のことをまず聞くこと
長期的に成果を上げつづけるのであれば、顧客のことをとにかく聞くこと。
(聞き方にはいくつかの課題がある。これは本書とは関係ないので、別途お伝えしたい)
「成功するブランドは現在の消費者ではなく、未来の消費者に話しかける。よい会話のポイントは、まず“聞く”こと、そして“答える”ことだ」
最も効果的で最も効率的な方法を求めること。
「戦略とは目的を達成するための最も効果的で効率的な方法である」
「(マーケティング部門の構築には)マーケティング工場をイメージするといい(中略)暗黙の了解事項まで含めて、すべてのプロセスと主な意思決定者、主要なタスクごとの納期をすべて紙に書き出す……これが終わったら、成果ごとにプロセスを設計する……次のステップは、クオリティをできるだけ保ったまま、作業のやり直しやアウトプットに要する時間を最小化することだ……ここまで行ったらすぐに、部門の構造を設計し、主だった業務内容を明確化しよう」
- 全てのプロセス、主な意思決定者、主要なタスクごとの納期などを紙に書き出す。
- 成果ごとにプロセスを設計
- クオリティをできるだけ保ったまま、効率化(時間を最小化)
- 部門の構造を設計、主要な業務内容も明確化
ブランドに関連したコンテンツを配信
起業家の方を支援していても強く感じるのだけど、これは本当に重要。
「将来のことを考えるなら、自社のメディア・チャンネルを立ち上げ、人々が見てシェアしたくなるような、ブランドに関係した面白いコンテンツを配信すべきだ」
書籍内容
元「コカ・コーラ」全世界統括マーケティング・ディレクターが、これからのマーケティングに必須となる視点を全解説する。《「はじめに」より》
これは本ではない。
あなたが最短距離でマーケティングを学ぶためのマニュアルだ。
これを読めば、成功を最大化し、失敗を最小化するための考え方が身につく。
ここでは、マーケティングはなぜ、どうすればうまくいくのかを説明している。荒れ狂う大海原のような世界を渡っていき、変化を推進するためのガイドとなるだろう。
◉マーケティングの現場で今すぐ使えるアドバイスが充実
・製品の何をアピールすべきか
・アイデアはどこから得るべきか
・広告は誰に向けるべきか
・広告はどこに出すべきか
・消費者調査ではどう質問すべきか
・調査結果を読み間違えないために、何に気をつけるべきか
・競合他社が価格を変えたとき、どう対応すべきか
・プライベートブランドとどう対抗すべきか
◉具体的な事例の成功・失敗の分析も収録
・コカ・コーラは、なぜ味を変えないのか。
・ラテンアメリカでコカ・コーラの売り上げを毎年10%アップさせた戦略。
・洗浄能力を謳ったP&G社とくつろぐ女性のイメージを打ち出したアヤックス社。
台所用洗剤のシェアを伸ばしたのは……。
・著者の青春時代の憧れだったリーバイスのジーンズを、なぜ息子は欲しがらないのか。
・TVCMをやめたレッドブルが、売り上げを伸ばしたのはなぜか。
著者説明
ハビエル・サンチェス・ラメラス
IESEビジネス・スクールでMBAを取得後、マドリードでP&Gに入社し、アテネ、ブリュッセルで勤務。1996年にコカ・コーラ社に入社。東ヨーロッパ地区のマーケティングに携わる。1998年、スペイン・ポルトガルのマーケティング・ディレクターに就任。2000年、北ヨーロッパ地区マーケティング・ディレクター兼バルト諸国エリアマネージャーに就任。2003年、アトランタ本社のマーケティング・ディレクターとして、全世界の「コカ・コーラ」ブランドのマーケティングのトップに立つ。