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『小さくても勝てます』
帰宅する途中に寄った書店の入り口付近に置いてあった本。『起業マーケティング』を読んでいる人にも興味があるはずなので、ご紹介したいと思う。
タイトルは『小さくても勝てます』
しかも……
「小さな組織に必要なのはお金やなくて考え方なんや!」
とデカデカと表紙に載っている。
この本がとても気になったのは「実話」だということ。
内容は西新宿の小さな理容室で『ザンギリ』というお店が行列店に変わっていく実話に基づく物語。
内容としては脚色ももちろんあると思う。それでも学んでいくことで、どんどん成長していく状況はビジネス書として読まなくても、純粋に面白いと思う。
特に理容室や美容院などを経営されている方はグッと来るものがあるはず。
印象に残ったポイント
個性を活かせ
個性を活かして勝てる分野を探し、非合理な「志」を合理的に追いかけること。
「自分の個性を活かして勝てる分野を探したほうが絶対にええんや」
「世の中の新しい職業は、いつも自分で名乗ることからしか始まらない」
「非合理的に決めた志を、合理的に追いかけた者だけが、志を達成する」
一番になれ
一番になれないものは切り捨てて、何に集中し、どの順番でやるのかを決める。
そして、相手の動きを利かなくする戦略的発想が重要。
「ビジネスは『構造』『制約』『仕組み』で理解する」
「一番になれないものは切り捨てる」
「経営というのは結局、何に集中し、どの順番でやるのか。それを決めることが肝心なんや」
「まず相手の動きを利かなくすることこそが『戦略的発想』」
「『手法』は新しい対象を求め、『新しい考え方』を生み出す。それをいち早く察知して対応する者が、生き残るのである」
情報
情報は個性や専門性と何かを掛け合わせて創ること
「情報というのは『個性もしくは専門性』と『何か』の掛け算で作れるんや」
価格
価格を下げなくても需要が存在するなら、高い価格でも買う人がいる
「みんな、安い商品やサービスが出てくると、『価格を下げないと競争に負ける』と思いがちだが、実際にはそうではない。需要曲線が存在するということは『高い価格でもお金を払ってくれる人がいる』ということだ」
顧客
顧客を徹底的に把握する。数字でも。
そうして、お客のためになるサービスを徹底的にやる。「ネヨカの法則」
「今のお客さんを徹底的に把握しろ、数字で把握しろ」
「コストをかけずに、お客さんが喜んでくれる、お客さんのためになるサービスを積極的にやることが大切だ」
「営業マンが目指すべきは『なんでも相談してもらえる信頼関係の構築』」
ネヨカの法則
「<ネヨカの法則>ってのがあるよ」と親父は即座に言った。
「お客さん、肩こってますネ」
「うち最近、タイ式マッサージ始めたんですヨ」
「1回、やってみませんカ」」
企業にアプローチする時
「企業はいつも3つのことしか考えていない。それは『メリットは何か?(いくら儲かるのか?)』『コストはどのぐらいか?』『リスクは何か?』なんや。だから、企業にアプローチする時はこの3つの疑問に応えられる要素を用意するのが秘訣や」
書籍内容
理容室「ザンギリ」二代目のオレは、理容組合のコンペでグランドチャンピオンになるほどの腕前を持っているが、店では閑古鳥が鳴いている。
さらに、「10分1000円」の低料金の店の台頭や若者の美容室への移行で、理容業界全体が青息吐息の状態。理容師の数も激減し、昔ながらの理容室は次々と姿を消している。
そんな状況ではあるが、幼い頃から理容を愛してやまないオレは、なんとか「ザンギリ」を繁盛する理容室にしたい。だけど、何をどうすればいいのかわからない。
将来への不安に押しつぶされそうになっているそんなオレの前に、ある日、関西弁でまくしたてる元経営コンサルタントで自称映画監督の役仁立三という男が客として現れる。
一見、胡散臭そうだが、理容業界の現状を分析する洞察力には驚かされる。
そこでオレは、自分の悩みを打ち明けたうえで、調髪料を無料にする代わりに、理容室を繁盛させるためのアドバイスを頼んだ。
ところが、来店するたびに立三が指示する内容は、業界の常識を覆すような非常識なものばかりで……。
西新宿に実在する理容店を舞台に、経営コンサルタントと理容師が「行列のできる理容室」を作り上げる軌跡を描いた実話に基づくストーリー。
著者情報
さかはら あつし
作家、映画監督、経営コンサルタント。1966年、京都生まれ。京都大学経済学部卒業。(株)電通を経て渡米し、カリフォルニア大学バークレー校の経営大学院にて修士号(MBA)取得。シリコンバレーで音声認識技術を用いた言語能力試験などを行うベンチャー企業に参加。大学院在学中にアソシエートプロデューサーとして参加した短編映画『おはぎ』が、2001年カンヌ国際映画祭短編部門でパルムドール(最高賞)受賞。帰国後、経営コンサルティング会社を経て、(株)Good Peopleを設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)