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『これからの世界をつくる仲間たちへ』
書店に行くと、落合陽一の本をほんとうによく目にする。
帯の写真がどうしても印象に残るのか、本当に「よく見るよな……」という気になってしまう。今回、ご紹介するのはまさにその一冊。
『これからの世界をつくる仲間たちへ』。
この本は2016年3月28日発売。
なのでまだ2年は経っていないけど。ざっくりいえば、2年ほどが経過している。それでも未だに売れている人気の本。
帯にはこうある。
『戦いのルールは、変わり始めている。』
しかも、本を開くと、プロローグにはこうある。
「『魔法をかける人』になるか、『魔法をかけられる人』になるか」
どうだろう。気になってきたのでは。
この『起業マーケティング』を読んでくれている独立や起業をしている人たちのために話すと。
この本は起業家のために書かれた本ではない。だけど、そもそも起業家は世の中に何らかの魔法をかける人になりたいはずなので、そうした視点で読むととても参考になる。
内容自体はコンピュータ(人工知能など)の進化に対し、人間はどのように生きていくべきかという本で。目の前のことではないし。どうしても情報として知っておこう、という感じになりがちなのだけど。
起業している人にとっては、そうした未来像を1つの参考とすることで、今後、どのようなビジネスを創るべきかの1つのヒントにはなる。
また、好きなことをビジネスにしたい、という人たちにもきっと参考になる。今、Amazonでもランキング上位の本だし、興味がある人はぜひ読んでほしい。
印象に残ったポイント
ホワイトカラーの仕事はコンピュータに奪われる
「少なくとも、処理能力のスピードや正確さで勝負する分野では、人間はコンピュータに太刀打ちできない。ざっくり言うと、いまの世界で『ホワイトカラー』が担っているような仕事は、ほとんどコンピュータに持って行かれるのです」
「誰かのビジネスモデルの上で働く企業のホワイトカラーには、それがありません。ホワイトカラーは何かを効率よく処理するための『歯車』です。そして、処理能力の高い『歯車』はいずれコンピュータに居場所を奪われてしまいます」
人間にあるのはモチベーション
「コンピュータに負けないために持つべきなのは、根性やガッツではありません。コンピュータになくて人間にあるのは、『モチベーション』です。
コンピュータには『これがやりたい』という動機がありません。目的を与えれば人間には太刀打ちできないスピードと精度でそれを処理しますが、それは『やりたくてやっている』わけではないでしょう。いまのところ、人間社会をどうしたいか、何を実現したいかといったようなモチベーションは、常に人間の側にある」
「モチベーションを持ってコンピュータを下僕のように使う『魔法をかける人』になれるか、あるいは『魔法をかけられている人』のままになるのか。そこに大きな違いが生まれます」
「モチベーションのない人間はやがて発達したコンピュータに飲み込まれる。逆にモチベーションのある人間は、コンピュータが手助けしてくれる」
「『ガッツはレッドオーシャンだから、そこで勝負しても無駄だよ』ガッツがあるのは当然の前提だから、それをアピールしても人材としての市場価値はないのです」
クリエイティブが重視される
「コンサルティングにしろ金融にしろ外資系企業はブランドイメージが良く、給料も高いでしょう。でも、だからといって社会的なステータスも高いとはかぎらない。10年前ならそうだったかもしれませんし、日本ではいまでも相変わらずチヤホヤされるかもしれませんが、すでに米国では、サンフランシスコあたりで活動している若い起業家たちのほうが『自立的でかっこいい』と思っている人が多いコミュニティもあるのです」
「(中略)それは、起業する人たちが『コンピュータで代用できない専門性』や『無二のカリスマ性』を身につけているからです」
「コンピュータが発達したいま、ホワイトカラー的な処理能力は『誰も持っていないリソース』にはなり得ません」
「このクリエイティブ・クラスがホワイトカラーの上位に位置している。彼らには『知的な独占的リソース』があるので、株式や石油などの物理的な資本を持っていなくても、資本主義社会で大きな成功を収めることができるのです」
クリエイティブクラスは唯一無二。マネ出来ない
「多くの大人たちは、しばしば子供たちに成功者の存在を教えて、『この人みたいになりなさい』とロールモデルを提示します。(中略)しかし大事なのは、成功したクリエイティブ・クラスをそのまま目標にすることではなく、その人が『なぜ、いまの時代に価値を持っているのか』を考えることです」
新しい問題を発見し、解決すること
「新しい問題を発見して解決するのは、『勉強』ではなく『研究』です。
勉強と研究の違いを知ることは、21世紀をクリエイティブ・クラスとして生きていく上できわめて重要なキーワードだと思います」
好きなこと、やりたいことを見つける方法
「大人から『好きなことを見つけろ』『やりたいことを探せ』と言われると、『僕は何が好きなんだろう』と自分の内面に目を向ける人が多いでしょう。そこからいわゆる『自分探しの旅』みたいなものが始まるわけですが、これは袋小路に行き当たってしまうことが少なくありません。
しかし『自分が解決したいと思う小さな問題を探せ』と言われたら、どうでしょう。意識は外の世界に向かうはずです。そうやって探したときに、なぜか自分には気になって仕方がない問題があれば、それが『好きなこと』『やりたいこと』ではないでしょうか」
自分のしたいことが本当に価値があるか、確認する方法
次の5つで確認すること。
- それによって誰が幸せになるのか。
- なぜいま、その問題なのか。なぜ先人たちはそれができなかったのか。
- 過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか。
- どこに行けばそれができるのか。
- 実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか。
「解決したい問題を発見し、『5つの問い』に答える形でそこに文脈をつけることができれば、その時点で問題の70%ぐらいは解けていると思っていいでしょう」
書籍内容
人気ドキュメンタリー「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット)の出演
(2017年11月19日放送予定)でも話題!
これから世界がどう変わるのか、教えよう
著者・落合陽一氏は、28歳という若さにして、世界的にも「社会を変える」と見られている最先端の研究者だ。
2015年には、米the WTNが技術分野の世界的研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」を受賞する快挙を成し遂げた。
月刊『文藝春秋』(2016年2月号)では「日本を元気にする逸材125人」に選ばれた。「現代の魔法使い」と称され、「嵐にしやがれ」「サンデー・ジャポン」などメディアにも数多く出演、メディアアーティストとしても活躍している。
落合氏は、コンピュータが人間の生き方に根本的な変革を迫っているという。
世の中のすべてが変わる。
たとえば、これまでのホワイトカラーの仕事は、何もかもコンピュータに持っていかれる。
勉強していくら知識を得ても何の役にも立たない時代になる。
そんな世界で生き抜くためにどうすればいいのか。
落合氏は若者たちに熱く語る。
「魔法をかけられる側になってはいけない。魔法をかける人間になれ」と――。
著者情報
落合陽一
1987年生まれ。筑波大助教。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定スーパークリエータ。超音波を使って物体を宙に浮かせ、三次元的に自由自在に動かすことができる「三次元音響浮揚(ピクシーダスト)」で、経済産業省「Innovative Technologies賞」を受賞。2015年には、米the WTNが世界最先端の研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」(ITハードウェア部門)において、日本からただひとり、最も優秀な研究者として選ばれた。