『諸葛孔明 人間力を伸ばす7つの教え』
『三国志』を好きな人は多いと思う。僕も好きで、吉川英治の『三国志』全8巻を学生時代、幾度となく読み返したし、横山光輝のマンガ『三国志』も王欣太のマンガ『蒼天航路』も読んだ。
どれも長編なので読みはじめは億劫なのだけど、読んでしまうと、その面白さに一気に読めてしまう。ちなみにいうと、ドラマ『三国志 threekingdoms』もかなりオススメ。
こうして書くと、様々な形で三国志を読んだり、観たりしてきたのだけど。
その登場人物で好きだったのは諸葛孔明と曹操。今でこそ、曹操が好きなのだけど、最初に読んだ当初は圧倒的に諸葛孔明が好きで。あんな風に軍師のような仕事をしたいと思ったことが今につながっているようにも思う。
その諸葛孔明の知恵について、書いた本で、2005年に発売された後、長期にわたって売れ続けている本がある。それが『諸葛孔明 人間力を伸ばす7つの教え』という作品。
基本的な考え方を確実に押さえたいという本にオススメなので、三国志好きな人はぜひ読んでみてほしい。
印象に残ったポイント
「冷静」さは全ての基本。欲にも淡白であれ
「冷静さは、万事の基本。成功を願うのであれば、まず心を静めて人生の目標を定めよ。人生の目標を深く考えることで周囲の喧騒や自身の動揺に惑わされることなく、冷静な行動が取れる」
「欲に淡白でなければ意思を貫くことはできない。冷静でなくては高い目標は達成できない」
「富や名誉にこだわらなければ、意思はゆるぎなくまっすぐつき通すことができる」
「才能」は学習の結果、得られる。その学習したことを実践で活かすことが重要。
「才能とは生まれつきのものではなく、学習の結果、得られるもの」
「学習とは勤勉に思考し、身につけた知識を実践に生かすことを目標として行うことが重要。しかし根を詰んで学んだ後はしばし立ち止まって、その学んだことがどう役に立っているかを見つめてみること」
「知恵は使うことで、さらに知恵となる」
「一日一章の読書をして読み終わったら要点をまとめる。生活のなかで気づいたことを書き留めていく。こういったことを毎日長く続けていけば、いつしか自分の財産になっていく」
「倹約」が成功をつくる
「倹約が国をつくり、ぜいたくが国を滅ぼす」
「たとえ万貫の金を持っていても成功を手にする保証はない。質朴こそ、成功の心を奪い立たせる良薬となる」
「行動」が重要。時間を管理し、努力し続けること
時間を管理すること。
「一人の人間の時間は有限である」
「時間は管理するものである。決して、時間に管理されてはならない。時間の過ぎるままにその身を任せてはならない」
「若い時分から時の大切さを理解しておかないと、年老いたときに時分に残されたわずかな時間を虚しく数えることになる」
即行動する。
「好成績をあげてる人は、活力と忍耐力があり、どんなことにも興味を示して熱中し、思い立ったが吉日といわんばかりに実行する」
潜在能力を引き出す努力を続けることで夢は実現する。
「潜在能力とは、理想を現実に変える力。潜在能力を引き出す努力さえ怠らなければ、夢を実現できる。なりたい自分になれる」
「人間の潜在能力は無限である。人間の能力の違いとは、潜在能力を掘り出す力の違い」
成功は心の中で生まれる。そこから努力を続ける。
失敗は恐れる必要がない。ただ、失敗し続けることを恐れろ。
「成功とは心の中で生まれる。努力を怠りさえさえしなければいずれ収穫する時期がやってくる。成功の果実の甘い味を想像するだけで何の行動も起こさなければ、いずれ成功の果実の木は枯れてしまう」
「失敗そのものを恐れる必要はない。恐ろしいのは、原因がわからぬまま失敗し続けることである」
大きな問題ほど複雑。
客観的に分析し、単純化することで具体的行動が見えてくる。
「問題課題は大きくなるほど複雑な要因が絡み合ってくる。解決も困難になるのだが、それを客観的に分析し、単純化することで具体的な行動計画が見えてくる」
絶望の前で本来の力が発揮できる。
「人間は絶望を前にして、その本来の力を発揮する。絶体絶命の危機を脱しようともがくことで、人間本来の力に火がつくのだ」
改革は王の主導の下、改革を指示する有能な者と実行しろ。
「臣下というものは保守的です。必ず改革に抵抗してきます。 ですから、王の主導の下、改革を支持する有能な者と実行するのです」
「意志」、志をもつこと
「結果が見えてこなくても、努力し続けることが大事である。なぜなら成功をつかむという決意を放棄しては、そもそも成功など得ることはできないのだから」
「『学ぶことで高い志が芽生える』『高い志がなければ学ぶ意欲はわいてこない』」
「忍耐力のある人はたいてい度量も広い。取るに足らないことにこだわらず、度量を広げる努力を続ければ、いずれは信用に身がつき成功が近づいてくる」
「丞相(じょうしょう)は隆中(りゅうちゅう)の抱膝亭(ほうしつてい)という庵で
『自分とは何か?』『自分の存在は世の中にどんな意義があるのか?』と自問する毎日をおくった」
「計画」すること。成功には才能に加え、好機が必要
「成功には才能の他に好機が必要になる」
困難を前にしても愉快な気持ちで対処すること。
「困難を直視しつつも気楽に愉快な気持ちで対処することが重要となろう」
「何事も笑いを持って対処すれば、大らかで楽しい性格を育むことにもなるし、それが成功を呼びこむことになる」
「人脈」。感謝の心をもち、周囲の人の力を借りる
「感謝の心をもって人に接すれば、他人との間に親しみや調和を生み出せる」
「大事を成すには、周囲の人や組織の力、自然の力などを必要とすることが多い。『力を借りる』こと」
「人間関係を築くのは、成功を手にするための近道である。だが、それ以上に、さまざまな人たちとの交流を大切にすることで、人間として健全な人生を送ることができる」
書籍内容
諸葛孔明は、約1800年前に活躍した偉人です。
政治および軍事の天才として知られていますが、その人間性や仕事の方法、リーダーシップの取り方など、われわれ現代人に啓発を与え続けているのは周知のとおりです。諸葛孔明の知恵は、問題解決や部下の動機づけ、業績評価などに活用されていることがそのことを立証しています。
本書は、成功を目指すビジネスパーソンに必要とされる要件は何か、そしてその要件を身につけるにはどうすればよいかを、諸葛孔明の遺志を受け継いで北伐を続けた忠臣、姜維(きょうい)が孔明から学んだ七つの教え――「冷静」「学習」「倹約」「行動」「意志」「計画「人脈」をもとに説いていきます。
著者説明
姚磊
1971年、中国安徽省安慶生まれ。1993年遼寧大学中国文学部卒業、1997年北京師範大学教育学大学院修了後、同年より中国大手企業のトレーニングコンサルタントをはじめる。とくに、諸葛孔明の知恵を織り込んだ社員研修には定評がある。