AIDMA
AIDMAというのは、米国のローランド・ホールが提唱した消費者の購買行動プロセスです。
「AIDMA」「AIDMAの法則」「アイドマ」「アイドマの法則」などと読まれたり、書かれたりします。どれも一緒です。
シンプルにいえば、消費者が商品やサービスなどを知り、「買う」に至るまで消費者の心理がどう動き、行動するのかという流れについて説明したもので。
マーケティングの基本といえるものです。
AIDMAは次の5つの略です
- A:Attention(注意)
- I:Interest(興味、関心)
- D:Desire(欲求)
- M:Memory(記憶)
- A:Action(行動)
上記の頭文字を並べて「AIDMA」としているわけです。
そして、消費者はこの流れで動きますよ、と説明しています。
注意→興味(関心)→欲求→記憶→行動
このAIDMAを3段階で見る場合もあって、次の3つの段階で見ることがあります。
- 認知段階(Attention)
- 感情段階(Interest、Desire、Memory)
- 行動段階(Action)
この場合はまず認知(段階)と行動(段階)を押さえれば、わかりやすいです。
認知は五感で注意、注目してしまうものです。目で見る場合もあれば、耳で聞く場合も注目しますよね。
そして、行動は買うこと。簡単です。
真ん中の感情(段階)は知覚したことを、実際に脳で興味をもち、欲しいと思ったり、記憶したりしてしまうこと。なので、感情というより、脳の段階ともいえます。
ちなみにこのAIDMAに似ているもので、AISASというものがあります。
参考まで、次のものです。
AISAS
AISASは電通が提唱したもので、こちらも購買行動のプロセス(過程)を説明しているモデルです。
AISASは次の5つの略です。
- A:Attention(注意)
- I:Interest(関心)
- S:Search(検索)
- A:Action(購買)
- S:Share(情報共有)
消費者購買行動のプロセスだと、圧倒的にAIDMAが有名でした。
ただ、インターネットが普及して「多くの人が検索して」購買をするし、その後「シェアするでしょ」という感じで。
AISASという考え方が出てきたわけです。
AIDMAからAISASになったのか
AIDMAよりもAISASの方が新しいこともあって、「AIDMAからAISASになったんです」などと説明する人も少なくないのですが。
実際にはそんなことはないです。
僕はリサーチの本を出版したりするほど、数多くの商品、サービスのリサーチをしてきましたが。全ての人が同じような行動をとるわけではないです。
現在でも、特定の広告を偶然見て、検索しないで、その場で買ってしまう人はいるし。
シェア(共有)だってしない人はいます。
そもそも、あなた自身、振り返ってみれば、あなたが買った商品やサービス全てのことについて、誰かにシェアしているわけではないでしょう。
自分たちの生活を振り返れば、そんなに安易ではないことがわかると思います。
その意味で、AIDMAも使えますし。AISASも使える。その両軸から見ていくことが必要になってきます。
ただ、実は、この2つを使う上で押さえておくべきことがあります。この2つに共通することです。
AIDMAとAISASに共通すること
実はこの2つには共通することがあります。
- A:Attention(注意)
- I:Interest(関心)
上記のAとIの2つです。
特に重要なのが「注意」です。
AIDMAでもAISASでも言えることですが、顧客の注意を喚起することができなければ、ビジネスが始まらないからです。
なので、AIDMAで考えていくにしても、AISASで考えていくにしても、最も重要なのは「Attention(注意)」です。
特に現在は「注意/注目」が重要
特に現在は情報の洪水といえるほど、情報量が多い。世の中に氾濫している状況です。
スマートフォン、様々なSNS。
それだけでも世界中で、世界中の人々が四六時中、twitterで何かをツイートしたり、Facebookに何かを投稿したり、Instagramで写真をアップしたりしているわけです。
それ以外にもYouTubeもあるし、ブログもある。
ネットワークも高度化やIoTの実現により、物理空間とデジタル空間の融合が加速もしている。
そうして、ますます情報が増えていく。実際、総務省発表の情報量の推移などを見ていても、急激に伸びています。
さらに情報量が増えているだけでなく、国内のインターネットの広告費は1.5兆円規模で。しかも毎年2ケタ成長が続いています。
要は情報は半端なく増え、しかもネット広告も年々増えている。こうした中で、自分たちの商品の情報を伝えようにも、顧客の注目を集めることができないわけです。
顧客の注目を集める5つのポイント
というわけで、ここから顧客の注目を集めるために何ができるのかについて、説明していきます。
もちろん、有名企業だったり、有名商品を扱っていたり、ランキング上位だったりすれば、顧客の注目を集めることはできます。
ただ、問題はそうではない有名ではない企業。
もっといえば、無名の企業や起業家の方はどうすればいいのかってことです。
自分たちの商品やサービスなどの情報を伝えていく場合に注意すべき5つのポイントをご紹介します。
1.自分たちの情報を発信してはいけない
まず、とても重要な話ですが、自分たちの情報を先に発信してはダメです。
顧客の注意を喚起したいのであれば、当然ですが、自分たちの情報ではなく、顧客が注目する情報をまず発信することです。
もちろん、有名な企業や有名な商品、サービスをもっているところであれば、別です(その有名な商品やサービスを求めている顧客がいるからです)。
ですが、無名の企業や商品などの場合、そうした情報を先に発信しても注目は集まらないわけです。
2.顧客が注目する情報を発信する
というわけで顧客の情報を発信してください。
顧客が注目する情報をまず発信し、そこから自分たちの情報につなぐことが重要になってきます。
3.役立つことを伝える
顧客が注目する情報を発信していくのですが。ここで重要なのは
「顧客にとって役立つこと」
何か情報を発信する時はまず、それが顧客にとって役立つものなのか、を確認することです。
中でもオススメなのは顧客が常に悩んでいる「痛み(問題など)」や、常に求めている「快楽」にあたるものがオススメです。
たとえば、「痛み」であれば。顧客が目にしたら、すぐに注目してしまうような痛み(問題)を取り上げ、それを解決するような役立つことを伝えていくわけです。
顧客自身が心底悩んでいることについて、適切な解決策などを伝える情報が現れると、どうしたって、そこから逃れることはできなくなっていきます。
4.謎を提供する
基本的には3の「役立つことを伝える」でも適切な情報を発信していけば、十分に注目を集めることはできますが、それに加えて、「謎」を提供することです。
「謎」を創り、そのつづきが知りたくなるようにしていく。
その意味では、物語も一種の謎です。続きはどうなるのかな、という謎になります。
5.顧客との関係が強化されるように、注目を持続させる
謎を提供し、教えたりしていくと、次第に顧客との関係が創られる。
「顧客との関係」を高めていくためにも、ここですぐに教えるのをやめないことです。
短い期間で教えることなどをやめてしまうと、せっかく創られた関係が次第に弱まります。継続的に教えていくことです。
読み手である顧客が毎日のように見続けることで、関係は次第に強固になっていきます。
まとめ
- 情報が氾濫しているため、顧客の注意(注目)を喚起する力がとても重要。価値が高いものになっている。
- 顧客の注目を集める5つのポイント
- 自分たちの情報を発信してはいけない
- 顧客が注目する情報を発信する
- 役立つことを伝える
- 謎を提供する
- 顧客との関係が強化されるように、顧客の注目を持続させる。
あなたへの質問
顧客の注目を集めるために次の質問に答えてほしい。
- あなたは顧客の注意(注目)を喚起する力を重要視しているだろうか。
- 顧客の注目を集める5つのポイントを押さえているだろうか。