起業でうまくいかない考え
起業や独立をし、真剣に準備をして、何らかのビジネスを展開する。
でも、結果は思った通りにはならず、うまくいかない。「なぜ、うまくいかないんだろう。おかしい……」そう思いながら、また時間をかけ、次の商品を販売してもまたうまくいかない。
ご相談に来る企業や人の中にはそういう方が時々いる。
おそらく、起業や独立をしたばかりの時はもっと自信があったはずなのに、いつの間にか、その自信さえも失われていく。何をすればいいのかが見えなくなっている。
そして、失敗する度に「新しいこと」を次々に手をつけていくこともある。「今度こそは……」という気分だろう。
うまくいっている企業や人
うまくいっている人からすると、「そんなにずっと立て続けにうまくいかないことがあるんですか?」と思っていたりするようだけど、実際に失敗が続く人がいる。
うまくいかない人や企業には問題がいくつかあるのだけど、その中の1つでとても重要なことは……、
「頭で考えてしまっていること」
頭で考えてしまって、うまくいっていない人というのが少なくない。こういう人たちは会社員時代に資料を作ったりすることなどがうまくて、社内ではそれなりに評価されていたりするケースもある。でも頭で考えてしっていることが問題になったりする。
「なぜ、頭で考えちゃいけないのか……」
もちろん、考えること自体は大切だ。
次から次へと何一つ考えもせず、次々と行動していたら、うまくいかない。
相手は人間という動物
問題なのは相手は人間という動物だ、ということ。
多くの人は何かを判断するとき、多くの場合で直感的に「感情的」に判断する。
僕自身、様々な企業のマーケティング支援のため、多くの顧客調査に携わってきたけど、顧客調査に携わるとそのことを常に強く感じる。
彼ら顧客自身が自分たちの「思考(考えていること)」と「行動」が食い違っている。
具体的にいうと、調査での顧客の回答(顧客自身が頭で考えた答え)は、実際の彼らの行動(反応)とは異なる。
理由はシンプルで、顧客は調査になると「論理的」に回答してしまうのだけど、行動は「論理的」なものではないからだ。
人間はそんなものなのだ。
一時の欲や感情、直感的なことが行動に強い影響を与える。
たとえば、あなたが受験生なら、勉強しなくてはいけないのに、スマホでゲームをしたり、アニメを見たりしてしまう。
論理的に考えれば、
「今、オレは受験生だ。だから、受験勉強をしなくてはならない」
という、誰にでもわかる論理なのに、そのように行動はしない。そんなことより、「欲」「感情」が勝ってしまう。
先日、コンビニにいたら、男性が女性に声をかけはじめた(女性は魅力的だったけど、
気も強く、一瞬で玉砕していた……)。
これも論理的に考えたら、行動すべきところでないところで、感情が勝ってしまったのだろう。
そして、その感情に理由(論理)をつける。
感情に理由(論理)をつける
たとえば、受験生は「いやぁ、息抜きも必要だよな。受験生にも」と。
さっきの男性は「いやぁ、一度しかない人生なのだからな。一期一会だし……」などと言って。
強引な論理を組み立て、正当化してしまう。
だから……、売り手は「論理だけ」で考えている時点で誤りなのだ。
「受験生は受験勉強するものだし、この製品が必要でしょう……」などと、一見、正しそうな論理では、うまくいかない。
「感情から入って、論理で後づけする」などということはマーケティングなどやっていない人にもよく知られていることだけど、問題は信じられないほど、その程度が大きいこと。
顧客は論理的な行動をしているわけではない。
そのため、彼らは論理だけでは読み解けない。
その論理だけでは読み解けない顧客を読み解く必要がある。そのことを強く意識し、それに対応していくことだ。