顧客と長く関係を築き、
売上を上げ、成長する方法
数日前、都内のある企業で研修を行っていた。研修の中盤あたりだろうか。僕はこう話し始めた。
「長期間、(顧客との)取引を続けることが非常に重要なんです」
これはよく言われることだけど。
本当の意味でここを意識し、徹底している企業は非常に少ない。これまで、様々な企業を支援をしているのだけど、僕の立場、感覚ではかなり少なくて、そこは「本当に残念だ。もったいない」と感じてしまう。
でも、ここが対応できると、ビジネスは成長を遂げ、安定してくる。これは大げさではなく、かなり控えめに言っても、事実です。
なので、今回はそれについて、語っていきます。
10年ほどの顧客(発注者)経験
この話は『SELPRO』や僕の記事を幾度となく読んだ人には「またかよ」という話だと思うけど。初めての人もいると思うので、話すと。僕は独立前は10年ほど、ある企業のマーケティング部の管理職をしていて、そこで、非常に多くの予算(コスト)をもつ、顧客(発注者/決裁権者)の立場でもあったわけです。
そこで、幾度となく強く感じたのが「長期間、取引を続ける」ことの重要性です。
たとえば、初回、新規で100万円ほどの発注をした場合(商品などを買った場合)、こちら側(発注者側)は少し不安を感じながら、試しているわけです。
「取引実績がないし、やや不安な面もあるけど、任せてみるか」と。
ここは長期間取引があるところと、初回の取引は明らかに違います。大丈夫かな、という面が大きいわけです。それでも可能性を探るために任せます。
なので、売り手(営業)側がその契約や申し込みを得て、そこで「やった!」と満足し、気を抜くと、大抵が終わります。なぜなら、契約や申し込みをとることが目的になってしまっているからです。
でも、実は本来はそこからが勝負で。そこから真摯に対応していくと、それが数億円、いやさらに大きくなる場合もある。実際に期待どおり、もしくは期待以上の仕事をしていただいた方(企業)にはやはり取引を増やしていきます。ここは重要なポイントです。
調査結果では
現在、僕はさまざまなリサーチをすることが多く、BtoB顧客の発注者、決裁権者の人たちに
調査をすることも多いのだけど。そこでもそれは強く感じます。彼ら彼女らはこう語ります。
「いい企業だと思ったら、取引を増やしていく」
ほぼ一様にそう語ります。
じゃあ、どうすればいいのか
ただ、問題は
「じゃあ、どうしたら、それだけ長い期間、顧客との関係が継続するのか」
ってことで。これはまさに質問を受けるのだけど。
テクニック的なことは明確にあるのだけど。
でも、本質的なところは「人間性」というのが非常に重要になってくる。
そもそも長期間取引をするというのは、期間でいうと、5年、場合によっては10年と
取引をすることになる。
5年、10年です。それだけ長期間やりとりをすると、どうしたって、上辺のテクニックやごまかしは通用しなくなってくる。多くが取り除かれ、むき出しの状況になっていきます。
結局はその人やその企業本来の姿になっていく。口で綺麗事を言っていても、バレますしね。
それは僕だけの考えではなく、BtoBの発注者の人たちに「なぜ、彼らと長期間取引を
しているんですか」などと聞くと。
「あの会社の人たちはいい人たちなんですよね」
「満足していない部分もあるけど、信頼できるんですよね」
などと、理由が「いい人」とか「信頼できる」などとなってしまうことが多いのは、まさにそういうことなのだと思う。
仕事の基準をクリアしているのはもちろん重要なのだけど。それだけではなく、特に大きいのは「人間性」。厳密にいえば、「信頼できる人間性」。
こういう声を聞く度に強く感じるのだけど、結局は仕事関係も人間関係。人間社会と同じで。人として信頼されているか、などが重要になってくる。
最後にもう1つ言いたいことは…
あの10年で長期間やりとりをした人たちとは今でも付き合いが深く、ずっと続いている。
それは僕自身が彼らを強く信じているからだろうし、彼らも僕のことを信じてくれているからだろうと思う。
もちろん、こちらも信頼されている人であり続けなければならないのだけど。
その「信頼される人間性をもつ」というのは自分にとっては人生の、いや永遠の課題だと思う。