ある企業の驚き
先日、ある企業で、リサーチ結果の報告をさせていただいた。すると、その企業の方々が分析資料を見ながら、驚いていた。
「こんな商品も競合なんですね……」
具体的にいえば、その企業は「顧客が比較するのは自分たち業界のもの」と想定していたのだけど、それが業界以外の商品にも及んでいたことだった。
……ただ、実は、ここに顧客を感動させる時にとても注意すべき1つのことがある。今回はそのことについて、語りたいと思います。
特別なことではない
ただ、その「感動させる方法」の前に少し話を戻すと。
実は、これは特別なことではなく、よくあることです。
あなた自身も思い当たるはずです。
たとえば、Amazonなどを見ていて、「何か買おうかな……」と魅力的な商品を探し始めたとする。すると、最初にBluetoothのスピーカーが気になった。
でも、色々と見ていたら、今度はスピーカーと全く違う、コードレスの掃除機が安かった。
「これもいいな。手軽に掃除できそうだし……」
こんな感じで、Bluetoothのスピーカーを買うか、コードレスの掃除機を買うか、考えてしまうわけです。
スピーカーと掃除機。一見、全く違うもの。
でも、現実にはそれらが比較対象になっているわけです。特にwebの世界はそうで、瞬時に別のサイトに行けてしまうので、こうしたことが日常的に行われているわけです。
アプリなどでも…
これはさまざまなものに言えていて。
アプリ開発などでも同じです。
ある特定のビジネス系アプリを開発するとしても、その分野のアプリだけが競合ではない。
人気ゲームの『Fate』とか『モンスターストライク』『白猫テニス』などと比較されているかもしれないし。
映画や海外ドラマ好きのユーザーには『Netflix』や『Hulu』と潜在的には比較されているかもしれない。
「なんか、このアプリ、面白くないな」というのは、ユーザーが普段使っているアプリと比べ、面白くないというわけです。
BtoBビジネスでも同じ
これはwebやアプリだけでなく。BtoB(企業向け)のビジネスであっても同様で、顧客が比較するのはその業界だけのものではないです。
最近、BtoBのマーケティングの支援をお手伝いすることも増えていますが、実際には同業界だけでなく、他業界の営業マンと(顧客は何となく)比較していたり、もっといえば、プライベートで日常的に接している、お店などの接客とも潜在的には比較されていたりします。
だから、逆にいえば、あなたのビジネスがBtoBだとしても、実はBtoCでの優れた対応を活かせたりもします。
この世界は全てつながっているので。
制限をかけないこと
制限をかけないことです。
どうしても自分の中だけで人は考えがちです。
でも、優れた人は自分以外の他の力も活かします。
感動を生み出そうとしても、必死に考えても難しいです。
なので、自分の頭だけで考えたり、自分たちだけで考えたりせず。
もちろん、業界内だけでもなく。全ての場面での様々な営業や接客、サービスなど、あらゆる感動を活かすようにするわけです。
具体的に一例をあげると、僕はBtoCのサービスで感動するような優れたサービスを見つけたら、それを常にもっているノートに控えています。
人生の中で、数多くのサービスを受けてくると、新鮮さは失われ、そんなに感動しなくなってきます。でも、逆にいえば、その中でも感動したサービスというのは本当に貴重です。
その感動を別のビジネスに活かすわけです。BtoCのサービスでもBtoBに活かすことだって可能です。
……実際、どうなのか。
きちんと適用させれば、確実に顧客に喜ばれ、売上は上がります。上がらなくてもやめればいいだけです(プロモーションなどであれば、ABテストなどをすればいいだけ)。
それに精神的にもいい。
日常の感動的なサービスにフォーカスすることで、自分自身、精神的にも常に楽しい気持ちになるし。
その感動を別の形で新たな顧客に提供することで、その新たな顧客が感動していく。
これはめちゃくちゃ楽しいことです。
自分の中だけで考えてもそれは限界があります。
世界に目を向け、その中で感動を見つけ、感動を手渡すイメージですが。
それが本当に楽しいわけです。
「制限をかけず、自分の制限を外し、世界に目を向け、その中で感動を見つけ、その感動を他の場面に活かす」
橋本哲児