Contents
希少性とは何か
「希少性」
これは名著『影響力の武器』や『影響力の正体』にもある強力なルールで、意味は「希少性」という言葉からイメージはわくと思うけど、数が少なければ少ないほど、価値が高まるというもの。
その世界的に代表的なものは絵画などだろう。
世界で最も高額な絵画はレオナルド・ダ・ビンチの『サルバトール・ムンディ』。
キリストの上半身が描かれた作品なのだけど、あれが4億5030万ドル。495億円だと言われた。
2位は334億円でデ・クーニングの『インターチェンジ』
3位は301億円 セザンヌ『カード遊びをする人々』
4位 234億円 ゴーギャン『ナフェア・ファア・イポイポ』
5位 223億円 ポロック『ナンバー17A』
というように、1枚の絵が200億、300億、400億円などということがある。
これこそが、「希少性」の力
実は、これはあなたのビジネスの商品やサービスに用いても効果的で。商品やサービスに、この希少性を組み合わせることで、価値は高まり、高価格で販売することが可能になる。
ただ、実は「希少性」には問題がある。なので、今回はその問題も含めて、話をしていきたい。
高価格で販売できる希少性の使い方
活用事例
まず、活用例からお話していくと、実は僕自身も使っている。
使っているというよりはそうせざるを得ないのだけど。
たとえば、顧問契約やマンツーマンの講座などを提供させていただいているのだけど、これらは比較的高い価格の設定となっている。
理由は簡単で僕自身が対応をさせていただいているので、いくらでも受けられるわけではなく、数が限られているからだ。
なので、クライアント企業の方によっては、(本当はそれなりに高額にも関わらず)、「もっと、高くした方がいいんじゃないですか?」とか「2倍くらいまでなら、お支払しますよ」と心配されたこともある。
こうしたことも、実はクライアントの方にそれに対する「希少性」を感じているからというのがある。だから、高額でも十分に価値を感じ、逆に安く感じる人もでてきてしまうのだ。
希少性の意味1「限られている」
『影響力の正体』では、希少性について、こう説明している。
「ある機会の利用がかぎられているときに、その機会がよりいっそう価値のあるものに思えてくる」
「ある機会の利用が……」などとまどろっこしく説明があるのだけど、シンプルにいえば、「限られている」ってこと。
1つ、ここでトライしてみよう。
世界1高額なレオナルド・ダ・ビンチの『サルバトール・ムンディ』。この作品では、この希少性について、どう考えたらいいだろうか。
これが理解できると、世界一の価値を生み出す力の片鱗を使いこなすことができるようになる。
希少性というと、その商品だったりが限られていることをイメージするだろう。
この場合であれば、『サルバトール・ムンディ』だ。これは確かに限られた1枚なので、希少性が高まる。
さらに希少性があるものがある。それがレオナルド・ダ・ビンチ本人だ。
彼は亡くなっている。もうこの世にいないのだ。作品は1枚しかなく、その作品を生み出すアーティスト自身がこの世に存在しない。
こうなっていることが強力な希少性を生んでいる。
あなたが僕のように、コンサルティングのようなビジネスを展開しているのであれば、提供するサービス自体に希少性があるだけでなく、あなた自身が他の人で持ち得ない技術や経験の持ち主であれば、サービス(商品)及びサービスを提供する「あなた」にも希少性が生まれ、強力な希少性となる。
自分のことを解説するのは、何だか嫌らしいのだけれど、実は僕の希少性はこうして生まれている。
希少性にはこの「限られているものは価値が高い」という意味が基本的にはあるのだけど、それ以外にも実はある。
それが「リアクタンス理論」だ。
希少性の意味2「心理的リアクタンス理論」
心理的リアクタンス理論というのは心理学者ジャック・ブレームが提唱したもの。
これについて、『影響力の正体』ではこう説明している。
「何かを手にできるチャンスが減ると、自由も失われます。……わたしたちは、すでに得ていた自由を失うのが嫌なのです。こうした既得特権を守ろうという思いが中核を成しているのが、“心理的リアクタンス”という理論です」
少しわかりづらいと思うので、説明をすると、あなたが何かを欲しいとして、それが希少性の高いものだとしよう。今なら、買う(手に入れる)ことができる。でも、ここで、それを買うチャンスを失うと、二度と手に入らない。
このように、手にできるチャンスを失うと、自由も失ってしまう。これが嫌だということだ。
「もう、二度と手に入らないのか……。手に入れといた方がいいかな」
というヤツだ。
この感覚は様々な場面で経験をしているはずだ。人が心を動かされてしまうのは、価値を「得る」時ではなく、そのチャンスを失うと思うときのほうが多いとさえ、言われている。
さっきのレオナルド・ダ・ビンチの『サルバトール・ムンディ』もまさにそれだ。
500億円弱というとんでもない数字には、この心理的リアクタンスが働く。
「ここで手に入れなければ、誰かの手に渡り、二度と手に入らないかもしれない」と。
そして、もう1つ、最後に重要な意味がある。
これはレオナルド・ダ・ビンチの『サルバトール・ムンディ』では使うことはできないのだけど、あなたの商品やサービスなら、十分に使うことができる。
希少性の意味3「売れている」
一般的な商品などであれば、多くの商品が売れてしまったから、残りわずか。
つまり、希少性が高いと言える。それを暗に示すことができるのだ。
実際にはこうした意味合いが複雑に絡み合う。
たとえば、僕がデパートにいるとして……。
欲しいジャケットを目にし、店員さんが「残りはそのジャケットだけなんです(残り1つ)」と言ってきたりすると、そんなに売れているのか、と欲しくなるし、ここで買わないと二度と手に入らないかもしれない」と心理的リアクタンスも働く。
オークションのように、価格が高くなることはないけど、自分の頭の中では価値が高いものに変化している。そうして、買ってしまうわけだ。
希少性の問題
希少性の力は極めて有効だ。
でも、実際には希少性の上記のような方法を用いてもうまくいかない、と悩む人はいる。
それはなぜだろうか。
多くの場合、答えはシンプルで、顧客が欲するものではないからだ。顧客が求めてもいない価値がゼロのもの。そうしたものに、いくら希少性を用いても価値が高まることはない。
たとえば、あなたが切った「爪」とか。
もちろん、あなたが有名人か何かでファンがいれば、価値は生まれるけど、全く欲しいと思われてもいないようなものであれば、そこに希少性を加えても価値は生まれない。
なので、あなたの商品に用いる場合は、希少性以前に欲しいと思われる価値があるのか。
それをまず考えることだ。
希少性の演出方法
希少性を広告などで告知する時は限られている、と告知するのであれば
- 数量限定「残り◯◯個」
- 期間限定「◯月◯日まで」
心理的リアクタンスを活用するのであれば、
- 「もう二度と手に入りません」
「売れている」ということを伝えるのであれば、
- 「売れているので、残り2つです」
などとなる。
実際にはこれは基本的な内容で、商品やサービス、提供する人や企業。そうした要素を組み合わせることで、より強力になり、価値の高いものとなっていく。
まとめ
希少性の意味には次の意味がある。
- 「限られている」
- 「心理的リアクタンス」
- 「売れている」
希少性の要素を組み合わせることでより希少性は高まり、価値が高まり、高い価格とすることも可能
あなたへの質問
- あなたの商品やサービスに希少性の力を用いているだろうか。
- 希少性の3つの意味を最大限利用しているだろうか。
- 希少性の要素を組み合わせているだろうか。
- 希少性を用いる商品やサービスはそもそも売れるものだろうか。