売り込みを強めると、共感からズレていく
セールスでもWEBなどでのプロモーションでも同じだけれど、顧客に共感してもらうことが非常に重要だ。
でも共感してもらうのはそう簡単ではない。何だか、顧客に伝わっていない、共感してもらえていない、と感じたことはあなたにもあるハズだ。
そもそも「何か」を売り込むというのは顧客の土俵(世界)に入り込むこと。大抵の場合、顧客が求めてもいない商品やサービスを売り込むのだ。当然、「共感」の状態からズレていく。
ましてや、売り手の一方的なものだと余計にそうした共感は得られなくなっていく。
あなたが営業マンであれば、自分たちの商品やサービスを顧客に売り込むだろう。「売り込み」と思われないようにする、という人だって、提案という形で何かを買ってくれ、と説得するようにしている。
営業的でない人であれば、それらを論理で固めて、とにかく顧客に買ってもらおうとする。でも、いずれにしても、その時の最大の問題点は、「共感」から外れていくということだ(論理だけではうまくいかない)。
顧客が欲しいものを提供しているというのは稀
顧客が「こういうモノがとても欲しいのですが」と強く訴え、それに対してあなた(営業マン)が「あなたのために『それ』を探し、お届けします」と伝える。
これなら、顧客は「本当ですか?本当にそれを届けて頂けますか」と嬉しがり、「共感」を得ながら、商品やサービスを提供できるのだけど、こんな状態は稀だ。
実際はそうではなく、共感からズレる
実際はそうではなく、顧客は「欲しい……」という状態ではない。
何一つ「ほしい」というサインを送っていないのに、そこに販売のために入り込む。当然、均衡は崩れてしまう。つまり、次のようになっている。
- 顧客:買いたくない状況(欲しくない状況)
- あなた:「売ろう」とする。
これを見れば、一目瞭然だろう。「共感」からズレている。
「顧客の抵抗」を溶かしてしまう1つの方法
この「共感」からズレた状態で生まれてくるのが「抵抗」だ。
営業マンなど、売り手が売ろうとすればするほど、そのバランスを崩そうとすればするほど、それを防ごうとする「抵抗感」が生まれる。
「この人は売り込もうとしている、イヤだな」などの抵抗感が生まれてくる。
いいことばかりアピールする営業マンに対しては、「この人はいいことばかり、言って、本当に胡散臭い」などと思ってしまうことだってあるだろう。
次々に抵抗が生まれてくる。
決済権者だった時も同様に感じていた
この起業マーケティングでよく触れているように、独立前の僕はある企業のマーケティング部の管理職であり、決済権者。非常に多くの営業マンの売り込みを受けていたのだけど、まさに同様に考えていた。
「売り込んでばかりだな……」
「信用できないな……」
「早く終わってほしいな……」
などと、強い抵抗感が心の中に生まれてくる。
でも営業マンは顧客の頭の中で大きくなっていく抵抗感に気づいていないのか、必死になって売り込みを強めていく。そしてますます「共感」から離れていく。こうなったら、発注する(買う)わけがない。
顧客はその売り込みから逃れたくて仕方がなくなるのだから。
僕が顧客だったら、「すみません……。次の予定があるので……」などとやんわりと断り、その打合せを早めに切り上げてしまうかもしれない。
抵抗を溶かしてしまえ
では、そうした時はどうすればいいのだろうか。
シンプルにいえば、「共感に近づける」ことだ。
あなたなら、「共感に近づける」ために何をするだろうか。
顧客が
「売り込んでいる……」
「信用できない……」
などと思っている時に、あなたはどうすればいいのだろうか。
解決策はシンプルで、顧客の頭の中にある「それ」を利用すればいい。
「売り込んでいると思われるかもしれませんが……」とか、「信用できないと思われているかもしれませんが……」などと、一言を話し、そこから徐々に自分の伝えたいことに軌道修正をしていく。
そうなると、顧客の頭の中にある「抵抗」そのものなので、相手に対する抵抗が薄れ、好感度が少しずつ高まる。
顧客の抵抗感がまさに「共感」へとつながっていく。
(「共感」が何一つない状況だったのだけれど)そこで共感が得られるようになれば、前進していく。
新規のアプローチの時や、高額の商品を販売するような時、そうした時に非常に使える方法だ。
この1つを押さえることで、顧客に抵抗感が生まれることを恐れる必要がなくなる。抵抗感が生まれたら、それを共感に用いればいいのだから。ぜひ、試してほしい。
まとめ
- 顧客に売り込みをしていくと、抵抗感が生まれる
- その抵抗感を共感につなげばいい
- 顧客の抵抗感を恐れる必要はない
あなたへの質問
- あなたが顧客に売り込みをしていった時、抵抗感は生まれているだろうか。その抵抗感に気づいているだろうか
- 抵抗感をどのようにしているだろうか。共感につないでいるだろうか
- 顧客の抵抗感を必要以上に恐れてはいないだろうか