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好きなことを仕事にする人が失敗する理由
今回の話は多くの起業家が失敗する理由の1つ。
「好きなこと」を仕事にしていること、というものです。少し別の言い方をすると、自分の想いを優先していることですね。
その失敗の理由を知らないと、起業は失敗し、悲惨な状況に陥るので、失敗したくない人はぜひ読んでください。
逆に「失敗なんてどうでもいいんだ」という人は読む必要はないです。
では、覚悟はいいですか。話を始めていきます。
失敗し、悲惨な状況に陥って、毎晩飲みながら、愚痴を言わないようにするための大切な話です。
フィギュアスケートと起業家
運営しているメディア『MOTIV』では羽生結弦の記事が人気です。
アスリート関連の記事の中でもフィギュアスケートの記事は人気は圧倒的で。
あの人気は本物だと思います。あまりよく知らない人には信じられないかもしれないけど。反響を見る限り、その人気は野球やサッカーに匹敵します。
ただ、フィギュアスケートの選手を観ていて感じるのは、とにかく若くして引退してしまうこと。20代後半はもう引退の時期で、あの浅田真央も26歳でした。
会社員であれば、26歳なんて、まだまだ若手なのに、です。
ここから、そのフィギュアスケートに絡め、起業家の間違いについて、話していきます。
多くの起業家の間違い
僕のところには起業家の方からの問合せが日々届きます。
この(起業家のためのメディア)『SELPRO』を運営したり、商品を創る『商品開発実践講座』を運営したり、大手企業やベンチャー企業の顧問をしたり、紹介を受けたり……と色々やっているので、当然、相談は多いです。
ただ、相談を受けていて感じるのは……。
うまくいっていない起業家の特徴の1つは、自分(たち)の現状(現実)が見えていないことです。
「現状(現実)」を見ず、自分たちの誤った思考で、ビジネスや物事を考えてしまう。だから、うまくいかない。本当に悲しいくらいに、見ていないです。
まるで、失敗すべくして、失敗するように、です。
現状とは何か。なぜ、うまくいかないのか
うまくいかない起業家が見ていないのは「自分たちの置かれている現状(現実)」ですが。特に見ていないのが「顧客」です。
「自分たちの置かれている現状(現実)も見ず、顧客も見ない。当然、その世界や顧客に何を提供すべきかわからないし、うまくいかない」
橋本哲児
その間違いを生む原因の1つが「好き」という感情です。
この感情をよく考えてほしいのですが。
これって、自分たちの現状や現実、顧客を見たものじゃないです。
単に「好き」ってことで、何1つ自分たちの置かれている現状を見ていない。
この感情が不要ってわけじゃないですが。この感情を優先しても、まずうまくいかないです。
今からフィギュアスケートの選手になれるか
今、あなたの年齢がたとえば、35歳だとして。
テレビで羽生結弦を観て、こう考えるとします。
「あー、フィギュアスケートの選手になりたい。私はフィギュアスケートが何より好きだし。誰よりも好きな自信もある。だから、フィギュアスケートをやって、金メダルを獲る」
そう決断したとします。
狙うのは自由です。ただ、不可能という言葉は好きではないですが。まず、不可能です。
3歳など、本当に幼い頃から、来る日も来る日も練習して努力して、その人たちの中でたった1人が頂点となる金メダルを獲る世界です。
何もやってきていない35歳の素人にはまず不可能です。
これが自分たちの置かれている状況であり、「現実」です。
こうした現実を無視して、自分たちの「好き」という感情だけではうまくいかない。
「フィギュアスケート選手になって金メダルを獲得」はまず無理なわけです。
「夢を否定する人は無視すればいい」とか「(たとえば、親が止めたら)親は夢を食いつぶす」とか、「諦めたら、ダメだ。いつかは叶う」と努力するのはいいけど。
それをやると、本当に人生がまるで地獄のような状況になってしまいます。
ここで1点話したいのは、「この世の中の誰一人にも評価されなくても、フィギュアスケートができれば、幸せ」という人はいいです。そのまま、突き進めばいい。
でも「人から評価されたい」「それで稼いで食べていきたい」という人は「好き」という感情だけではダメなんです。
当然だけど、評価されないといけない。
実はこの当たり前のことを押さえていないケースが本当に多いわけです。
では、どうすればいいのか
ここで大切なことがあります。
あなたもそうだと思うけど。
多くの人の「好き」という感情は、とても弱いもので。その「好き」だけで生きていきたいわけじゃないんです。
たとえば、「小説を書くのが好き」だとして。小説を書き続けていれば、誰に評価されなくても、お金が全く入ってこなくても、書き続けるだけで幸せというレベルの「好き」じゃないんです。
やっぱり、評価されたい。
評価されて、お金がほしい。
生活はきちんとしていきたい。
他の誰にも評価されなくても、心の底から「好き」という感情ではないわけです。
だったら、これが重要になります。
「他人から評価されるものから、好きなものを選ばないと、多くの人の真の欲求は満たされない」
橋本哲児
(なぜ、名言っぽく紹介するのかはわからないけど 笑)
ビジネスは全て。顧客から生まれます。
顧客がお金を持ち、顧客が買うと決断するです。
顧客こそが全てです。
当然、自分ではなく、顧客を優先することです。
顧客。言い換えると、他人(顧客)が求めるものがまず先で。その中で、自分が「好き」だと思うものを選ぶことです。
「好き」という情熱を活かすこと自体はいいのですが。情熱を活かすにはその順番を正しくすることです。間違えると、人生がひどい状況に陥ります。
膨大なプロモーションを展開してきました…
僕はこれまで膨大なプロモーションを展開してきました(プロモーションとは販売促進のことで、広告などの展開です)。
会社員時代でも、1ヶ月に100以上は展開してきたし。さらにその1つひとつで膨大なコピー(売れる文章)で展開してきたわけです。
つまり、1ヶ月に数百。年間数千。10年で数万もの展開を会社員時代だけでもしてきたわけです。
その間、大手企業などから「マーケティングを見てください」と依頼も受けてきたので、一般的にはかなり成功していると言えますが。
自分としては、全てが成功しているとはとても言えず、ほんのわずかな成功を見つけ、それを拡大して、高い成果を上げていったわけです。
そこで、僕が強く確信したことは顧客を見ずに自分たちが考えたビジネスは「ほぼ全て」がズレるということです。まず、ほとんどが売れません。
(少し例外なのは。スティーブ・ジョブズのように神がかったように「人を見抜く」能力をもち、しかも、純粋に顧客の視点でモノを見ることができる能力をもつ場合は例外です。ここは微妙な話なので、読み飛ばして下さい)
断言できるのは、「好き」という感情を優先しても、ほぼ100%に近いくらい失敗するということです。自分の感情を見て、顧客を見ていないわけです。そんなのは完全な博打です。
そんなものに人生をかけてはいけない。
成果が出るものを選択するとどうなるのか
本人の了解を得ていないので、名前を伏せて、ある成功した女性のことを書きます。
業界やビジネスは言いません。
彼女は好きなことを頑張ってきました。そのために常に時間を費やし。10年以上はかけました。ですが、まったくうまく行かなかった。
そこで、その道を諦め、違う方向に進むことに決めました。
好きなことではなく、他人に求められていること。そして、そのために支援してくれる人を選び、体制を創り、やってみたのです。
結果は驚くほどでした。スルスルっと、うまくいきました。
彼女は驚いたように語っていましたが、これまでと違って、信じられないくらい、スムースに行くようになった。
以前の彼女は現実を見ず、顧客を見ず、自分の想いだけで必死に歯を食いしばって努力していた。その彼女は誰にも必要とされなかった。でも道を変えた彼女は本当にスムースに行ったわけです。
成果を生むのに最も必要だったのは「感情(好き)」ではなく、成果を生む「強み」が重要だったわけです。
それも、自分の思い込みの「強み」ではなく、顧客が求める「強み」です。
僕も例外ではないです
僕は自分のことを話すのはあまり好きではないのですが。大切なことなので、話します。
僕は独立当初1年目から大手上場企業の顧問になり、高額な年間報酬をいただきました。それは僕が凄いのでも何でもなく、市場が僕に求めたものと一致していたからです。
僕の強みが活きていたわけです。
- 会社員時代、マーケティング部署の責任者(管理職)で大規模に展開していたこと
- 10年以上のマーケティング経験があったこと
- 国内トップクラスの担当者と一部の広告代理店などから評価されていたこと
- 独立当初、既に様々な企業のマーケティングに携わっていたこと
- (MBAなどで)体系的に学んでいたこと……など
広告代理店の人なども世の中には数多くいますが、実際に売る側(広告主側)で僕と同じ条件の人はまずいません。
マーケティング部署の管理職の人はいるけど、地位は高く安定しているので独立などしないし。MBAを全ての人が取るわけではない。ましてや、自分の会社以外の大手企業のマーケティングを見た経験もまずないわけです。
でも、その僕が「個人」の不特定多数に対し、ビジネスをしていたら、スムースにはうまくいかなかったかもしれない。僕の
広告主としての経験の価値も、マーケティング部の管理職としての価値も。僕の評判も。僕の話すことも一般の顧客が価値として感じるものではないからです。せいぜい、MBAくらいです。
何を強みとするかによって、結果は大きく変化します。成功を得られるか、得られないかも、どの「強み」を選ぶかに決まってくるわけです。
自分の感情という現実を見ないものを優先するのではなく、顧客や市場に求められる「強み」を第1にすることです。その上で「好き」という感情、情熱をかけられるものを選ぶ。それがとても大切なことなのです。
言い換えると、成果が既に生まれているもの(人が「オマエのここは凄いよな」と言っているもの。実績があるもの)のうちで、自分が好きなもの、情熱をかけられるものを選ぶわけです!
大谷翔平はこう語っています。
「野球を始めた頃から、他の子どもよりもボールが速い自覚があった」
大谷翔平
また、高等小学校卒で、総理にまで上りつめた田中角栄はこう語っていました。
「自分が今のところまで来たのは、自分から求めるよりも、周りから支えられたものに忠実だったから、と云った方が当たっている。与えられた仕事に全力を尽くすことが、新しい場面を開く結果になるものだ」
田中角栄
まさにコレです。少なくとも、今からフィギュアスケートで金メダルを狙うのはやめてください。全く世の中や現状に反した成果が生まれない努力ではなく、成果が生まれる努力を選ぶことです。
「成果が生まれる努力をする。そのためには『現実』を見ることです」
橋本哲児