出資を受けたい起業家
「出資を受けたいのですが、どうしたらいいですか?」
そうご連絡をいただくことがある。外部から資金を調達したい、と。
資金がないのだから、資金を調達したいという気持ちになるのは当然ですが。
今回はそのような検討をしている起業家の方に、その前に検討すべき4つのことを話していきます。
あなたのビジネスは出資が必要か
そもそもあなたのビジネスに出資は必要なのか、を考えることがまず先です。
対応させていただいている範囲でいうと、倉庫が必要だとか、工場が必要だとか。そういうビジネスでは確かに資金が必要で。出資や融資はとても重要な選択肢の1つだけど。
そうでない企業も少なくない。
たとえば、何らかのサービスを販売したり、コンサルやセミナー運営企業、アプリを開発している企業などは工場や倉庫、店舗などは必要なく、当然、一定のコストが必要なものではない。
もちろん、人件費はかかる。でも工場のような大きな資金は必要ないわけです。
あなたのビジネスは本当に多くの資金が必要なのか、それを考える必要がある。
資金があれば成功するのか
広告を展開するなどの資金があれば、何とかなるだろう、などと考えてしまいがちですが実際はそう甘くはない。
これは様々な企業を見てきてもそうだし、17年ほどマーケティングに関わってきた経験で言っても確信できる。
小さな規模で売上、利益を生めないケースでは、それが大規模になったからといって、そう簡単に成功するわけではない。むしろ、一瞬でコストを失う。
広告を展開していない人にはピンと来ないかもしれないけど、10億という資金でさえ、広告などを展開すれば一瞬で失ってしまう。
10億円という資金をつぎこんで成果を出そうとしても、成果が出ないことだって、ある。たとえ経験者でも、だ。
お金があれば、成功するというのは幻想でしかなくて、費用対効果が高いプロモーションを展開することは容易なことではない。
最も重要なことはコントロールを失うこと
外部の資金を入れるということは、コントロールを失う可能性があるということ。
たとえば、僕があなたの企業に出資するとしたら、やはり口は出してしまう。
もちろん、相手に敬意は払うし、やりやすいようには気は遣うけど、あなたが関わる人がそういうタイプの人間じゃない可能性もあるので。ここは慎重になった方がいい。
出資を受けても、比較的自由にやれるケースもなくはない。ただ、最初の数年は全く口を出さない状態だったのが、その後は急変するケースもあるし。
出資した彼らの注文を意識することで、自分たちのやりたいことを曲げなければならない時だってある。
自分のビジネスをやりたいがために起業したはずなのに、自分のビジネスではなくなってしまうことだってある。
そもそも投資するとはどういう意味か
当然のことだけど。お金をプレゼントしているわけではない。
何らかのリターンがあると考え、投資している。
もちろん、1年や2年で回収できなくても、3年、もしくは5年では徐々に回収したいと考えていたりもする。
外部の資金を入れるのはラクなのだけど。
ある程度の資金でも簡単に失ったりもする。そこでまた出資してください、という話になり、その度にさらにコントロールを失ってしまうことになる。
そうなると、頭が上がらなくなる。
特にスタートしたばかりの段階はとても弱い立場なので、この段階で出資を受けてしまうと立場が非常に弱いものになってしまう。
本来だったら、自分たちのビジネスを創るだけ、顧客のことを見るだけでも大変な段階なのに、何をするにしても投資家のことを意識し、打合せしたり説得したりと、随分と遠回りしてしまうことになる。
だからこそ、すぐに出資してもらいたいと考えるのではなく、まずは慎重になることが重要。
僕が支援してきたいくつかの企業も最初はやさしい感じで投資家が対応していたのだけど、徐々にいくつかの指示が入ってきて、状況が変わってきたこともあるので、本当に慎重になった方がいいと考えています。
理想は100%自己資金による起業。
出資者がいない状況でビジネスができるのであれば、それがベスト。完全に自由な経営が可能となるのだから。出資などを検討する時は、特に出資者選びに慎重になることだ。
あなたへの質問
外部から資金を調達したいあなたに最後に質問したい。
- あなたのビジネスは本当にそれだけの資金が必要なビジネスなのか。
- 資金がない現状でも費用対効果の高いプロモーションは可能だろうか。
- 投資/出資を受けるとして、コントロールを失なうリスクを考えているだろうか。