『差異力 知らないことは武器になる』
有楽町の三省堂書店で見つけた1冊『差異力』
10月18日に発売されたばかりなので、まだ1ヶ月ほど。
サッカーの本田圭佑が「推薦」などと帯にあったし、サブタイトルが「知らないことは武器になる」だ。どうしたって、気になる。
著者はタイで生まれ育ち、米国で大学を卒業し、一度はタイで働き、また米国でMBAを取得している。その後は大手を転々とし、その後、起業した。
その経歴からいえるのは、日本で生まれ、日本で育ち、日本で就職するような、全て日本という人とは明らかに違う。その違いが何を書くのか、それが気になって、手に取った。
特に気になったのは冒頭の「はじめに」にある一節。
「……気づいたことがある。彼らは、自身の人生に違和感を思えたときに、舵を切った人たちだ。幼馴染の友人は大富豪になりながら、『夢を叶えたい』とすべてを棄てた。大学時代の友人も日本で働きづつけていただら、安定した生活だっただろう。だが、夢を追った。なにか違和感があったのだろう。いや、きっと違和感に呑み込まれなかったのだろうなと思う。
違和感は直感であり、肌感覚でもある。
『何かが違う』『何かしっくりこない』『いやだ』
そういう直感を妥協せずに信じて、『違ってもいいんだ』と意識することが大切だ。それが発想力と行動力につながる。それが差異力になる』」
これを読んだ時、とても懐かしいことを思い出した。
僕自身もまさにそうだった。
10年ほど前に会社を辞めたのだけど、会社の居心地が悪かったわけではなかった。とても居心地は良かったし、いい職場で、辞める必要などなかった。
でも、何かが違うと感じた。
続けてこう書かれていた。
「自分が感じた違和感を忘れてはいけない。その感覚こそが、あなたを助ける『気づき』になるのだから」
この本の3つのポイント
特に印象に残ったポイントを3つあげたい。
1.予測不能の時代であり、変化は拒めない
これからの時代は予測不能の時代であり、VUCAの時代。
VUCAとは次のこと。
- Volatility:変動
- Uncertainty:不確実性
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧
要はグチャグチャで予測できないということ。世界中で何が起こるのかは予測できない時代に入り、もはや変化を拒むことはリスクなる。
2.変化すること
VUCAの時代だからこそ、変化することが重要だ。
常識に囚われ、とどまっていてはいけない。変化だ。
特に次のようなことを意識すること。
「コンフォートゾーンを抜け出す」
「異なる視点で見る習慣を身につける」
「常識を当てはめるのではなく、AI時代に残る仕事を選ぶ」
「時代に合わせて持ち変えることができる武器を持つ」
「『できない』という思い込みを打破し、スピードをポイントに」
「目の前のチャンスを逃さない」
「人生の分岐点はいつも目の前にある」
「一本足より四本足をめざす」
特に印象に残ったのが「3年を目途に仕事を変えてみる」ということ。
「『石の上にも3年』という言葉がある。これは『どんなところでも、3年は腰を据えて頑張れ』というのが一般的な意味だ。ただ私は違う意味で考える。3年を目処に違う仕事をしていくのだ。理想を言えば3年ごとに違う仕事にチャレンジしていく」
「仕事のスキルに幅を持とう。それが自分自身を守ることになる」
変化し、選択肢を常に増やし、スピードを意識することが重要になってくる。
3.シミュレーションをする
そして、シミュレーションを徹底することだ。
その他
差異力とは
差異力というのは、自分自身の違いを示すけれど、同じ場所で戦うこと(この点が差別化とは違う)。
「『差異化』は違う。自分自身の違いは示すけれど、土俵を割らない。共に仕事をしていくために『分かれない』。だから差別化ではなく、差異化なのだ」
その他、「コミュニケーション能力を高める」ことや「最後は自分の心の声に従え」ということについても述べられている。
書籍内容
本田圭佑(プロサッカー選手、経営者、投資家)推薦!
「これからの時代を生き抜くために大事なことが、すべて書かれている」
コカ・コーラ、デル、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、ハイアールなど、錚々たる外資系企業で圧倒的な結果を出し続けてきた伊藤嘉明氏が説く、これからの時代を生き抜くための必須のスキル、それが「差異力」!
いま、働いていて、生活していて、“違和感”はないだろうか。
仕事で上司が言うことに素直に「はい」と言えない。自分がこのまま働き続けて、未来の姿を想像できない。
なにか、嫌だ。しっくりこない。何かが違う気がする。
その感覚は大切にした方がいい。
終身雇用、年功序列が崩れさり、ずっと安泰だと思われていた大企業が傾く。明日のことが判らない、予測不能の時代に、自分自身の人生を切り拓いていくためには、その「違和感」を忘れてはいけない。
違和感は「差異力」の源だ。本書は違和感を抱く人のために、それを差異力に変えるヒントを届ける。
著者情報
伊藤嘉明(いとう・よしあき)
X-TANK コンサルティング株式会社 代表取締役社長兼CEO
世界のヘッドハンターが常にその動向を注視するプロ経営者。2015年「日経ビジネス」の「次代を創る100人」に選ばれる。
2016年X-TANKコンサルティングを設立、代表取締役社長に就任。「自己覚醒、日本覚醒、アジア覚醒」をテーマに、規模や業種を問わず、日本企業の再生に取り組んでいる。
1969年タイ・バンコク生まれ。アメリカ・オレゴン州コンサーディア大学マーケティング学部を卒業後、タイへ帰国し、オートテクニックタイランドへ入社。
サーブ自動車の総輸入元として高級車の企画・販売・営業全般に携わった後、渡米し、サンダーバード国際経営大学院ビジネススクールにてMBA(経営学修士号)を取得。
以後、外資系企業の本社及び日本法人にて要職を歴任する。