『革命のファンファーレ』
クラウドファンディングで1億円を調達し、『えんとつ街のプペル』を32万部売った西野亮廣の『革命のファンファーレ』を読んでみた。
相当なプロモーションを仕掛けているらしく、「きっとインパクトのある平積みかな……」と思ったのだけど。
丸の内の丸善に入ると、平積みだったけど、想像していたほどのスペースではなかった。きっと、本格的に書店営業をしたりして、スペースは大きくなっていくかもしれないけど。
今日は10月3日
正式には4日が発売日のようだけど、Twitterを見る限り、「ゲットしました」とか「書店で買いました」などと早速、ツイートが上がっている。
これから読む人も多いはずなので、あまりネタバレにならないようにするけど。
ポイントを知りたい人は目次を見ればすぐにわかる。目次がまさにポイントになっている感じなので、ざっと見ただけで内容がわかる。
文字も少ない本なのでわずかな時間で読める内容で僕も少し前に読みはじめて、すぐに読み終わった。
本を読んだ感想
ベストセラーを狙った本だからなのか。そこまで専門的ではない。
マーケティングやビジネスに詳しい人には本の内容の多くは知っているかもしれない。
無料での提供の「フリーミアム戦略(フリーミアムモデル)」や、Amazonなどを例にした「ロングテール」の話、口コミや信用が重要だ、などは知っているよ、と語る人も少なくないだろう。
それでも『えんとつ街のプペル』で実際に取り組んだ具体的な話を、ここまでオープンに語っているのは素晴らしい。
実際に効果があったと語られている内容はきっと参考になるはず。今、効果的な展開は何かを知る意味では非常に有益な本だと思う。
印象に残った3つのポイント
書籍の流れとは違うが、気になった順は次のとおり。
行動するのに勇気は必要ない
行動するのに臆病になってしまう人もいると思う。でも、この本はそれについて、こう述べている。
「行動することに、勇気は必要ない。
子供の頃に一人で乗れなかった電車に、今、あなたが一人で乗れるようになったのは、あなたが勇気を手にいれたからではない。
『電車の乗り方』という『情報』を手にいれたからだ。……(中略)……
一歩踏み出すために必要なのは、ポジティブシンキングではなく、ロジカルシンキングだ」
需要を事前に知れ
顧客の需要を操作することは難しい。心を変える行為でもあるからだ。でも「これはできるだろ」というのが「需要」についての言葉。
「需要を操作するのは難しいけれど、需要を事前に知り、必要な分だけを作ることはできる」
本書ではクラウドファンディングが可能になったのだから、それを絡めればいいだろ、と語られている。クラウドファンディングほど確定的な需要だけでなく、可能性が高い需要を知る方法は他にもいくらでもある。基本的なところでは「キーワードツール」など、需要を事前に知ることはできる。
口コミが最強
口コミが何より最強だという話。自分のビジネス、WEBサイトなどで顧客の声などを使っている人も少なくないと思うけど、吉本興行と友人との比較で説明しているので、わかりやすい。
「現代の宣伝力は、つまり信用力だ。信用が担保されない広告に、広告効果などない。口コミが最強である」
「『オススメ』に利益が絡んでいる吉本興行と、利益が絡んでいない友人とでは、信用度が違う。広告担当者の顔が見えない吉本興行と、個人情報を晒している友人とでは、信用度が違う。現代の宣伝力は、つまり信用力だ。信用が担保されない広告に、広告効果などない。
口コミが最強である」
最も印象に残ったこと
実は、上記3つ以外に最も印象に残ったことがある。それがコレ。
自社の製品やサービスのプロモーションを仕掛け、自社の売上、利益を伸ばすのはほぼ全ての企業がそうだと思うけど、次のことはそう多くはないはず。
ライバルの作家の売上にも貢献
自分の売上を高めることに努力するのはもちろんだけど、ライバルの作品の売上にも貢献する。
「『えんとつ街のプペル』の売り上げのことは無視できない」
「ライバルの作家の作品がヒットすれば、より多くの人に本屋に足を運んでもらえるようになり、自分の本を見つけてもらえる機会も増える。最終的に、自分の作品のスタッフやその家族にもお金が落ちる。なので、戦略を公開し、(ライバルにも)共有する」
書籍内容
クラウドファンディングで国内歴代最高となる総額1億円を個人で調達し、絵本『えんとつ町のプペル』を作り、30万部突破のメガヒットへと導いた天才クリエイターが語る、”現代のお金の作り方と使い方”と最強の広告戦略、そして、これからの時代の働き方。
<著者について>
西野亮廣
1980年兵庫県生まれ。芸人。
著書に、絵本『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』『えんとつ町のプペル』、小説『グッド・コマーシャル』、ビジネス書『魔法のコンパス』があり、全作ベストセラーとなっている。