『モチベーション革命』
この本の発売日は2017年9月27日。まだ1ヶ月経っていないけど、書店などでも平積みされていてとても売れている本だと思う。
ただ、表紙の『モチベーション革命』というタイトルだけに惹かれて、本を読んだ人は少し不満を感じるかもしれない。
読み終わると、モチベーションが強固になり、やる気に満ち溢れるという類の本ではない(個人的には、その内容の方が読んでみたかった)。
そうではなく、サブタイトルの「稼ぐために働きたくない世代の解体書」という点がポイント。
稼ぐために働く。そんなことはしたくない、という若者世代のモチベーションについて語るものだ。
そのため、30代後半より上の人たちが「モチベーションを高める」目的には使えない。
自分たちのモチベーションを高める意味よりは、ビジネスで「顧客」として、もしくは「マネジメント」の視点で、彼ら世代を理解する意味で読んだ方がいいだろう。
もちろん、その世代に合致する人たちはそのまま読めばいい。
お金はあまりいらないんですよね
様々な企業の経営者や人事の方などと話していても「若い連中の価値感が以前とは異なる」という話はよく聞く。僕自身もそれは感じる。
これは様々なところで話すのだけど、30代以下の世代は、これまでの世代とは違って満たされた状況にある。色々なものがどこか足りなくて、それを欲していた世代とは明らかに違う。
「お金とか、あまりいらないんですよね」と本気で語る人もいる。強がっているのではなく、彼らは真剣にそう思っているのだ。
もちろん、起業などをしている人の中には、20代などでも今の20代とは違い、お金を欲し、強烈な欲をもつ人もいる。全てではない。でも多くはないのだと思う。そんな一部の例外を除いた、一般的な若者世代のモチベーションについて、書いた本だ。
『モチベーション革命』の3つのポイント
乾けない世代
時代は代わり、今の30代以下は団塊世代とは全く違う価値感を持っている。乾けないのだ。生まれた時にはすでに何もかもが揃ってる。なので、物や地位を欲して頑張れない。
「実は、『なんのために頑張るか』という働くための価値感、つまりモチベーションが、ある世代を境に大きく変わってきています」
「団塊世代より10年以上も上の彼らは、戦後の何もなかったころに、欲望と共に成功に向かって駆け抜けました。
お金を稼ぎたい、広い家を建てたい、いいクルマを買いたい、きれいな女性を抱きたい。欲望への飢餓感と上昇志向と共に成り上がっていきました。
ないものを、いかに埋めるか。それが最大のモチベーションだったのです」
乾けない世代のモチベーションは何か
この本では人間の欲望が次の5つだと述べている。
- 達成
- 快楽
- 意味合い
- 良好な人間関係
- 没頭
「人間の欲望というのは、『達成・快楽・意味合い・良好な人間関係・没頭』の5つからなります」
<団塊世代>
団塊世代は前の2つ。達成、快楽を強く欲していた。
努力し、頑張り、高い目標を「達成」する。そして、美味しい料理を食べ、ワインを飲み、異性を求め、身体的、心理的、社会的な「快楽」を味わう。
<乾けない世代>
ところが、乾けない世代は違う。うしろの3つの意味合い、良好な人間関係、没頭を重視する。何か大きな目標を「達成」するため、「(身体的、心理的、社会的な)快楽」を求めるため、頑張れない。
自分が頑張る意味を持てるもの(意味合い)に自分が好きな人たち(良好な人間関係)ととことんハマること(没頭)を重視する。
未来に近いのは乾けない世代
若い世代を「やる気がない」などと、言葉はわるいけど、価値がないと考える人もいると思う。でも、実際には彼らが時代の中心になっていく。
この本が何もかもが正しいわけではないけど。
努力して、達成する。頑張る、などの時代ではなくなっているのは確かだ。そもそも「頑張る」という言葉時代も以前とは違い、嫌がられている。
そのことについて、こう述べられている。
「若い方を『ゆとり世代』『さとり世代』といって自分の中で理解せずに勝手に価値ゼロと思っていたが、どれだけ可能性に溢れて、未来により近い方々かっていうことに見えてきた」
書籍内容
2作連続Kindle総合一位の著者が贈る。ヒカキン氏、落合陽一氏、石川善樹氏絶賛!
テクノロジーの進化がもたらす未来の形と、それに伴う人間の生き方―。
『ザ・プラットフォーム』『ITビジネスの原理』
Amazon Kindle総合ランキング2作連続 第1位
著者 尾原和啓の最新作!
マッキンゼー、リクルート、Google、TEDxからドコモ、楽天まで13職あらゆるチームで学んだ。輝く若者のモチベーションマネージメント。
なぜ、あなたは稼ぐために頑張れないのか?
あなたは「上の世代」と違い、生まれたころから何もかもが揃っていたので、金や物や地位などのために頑張ることができません。
埋めるべき空白が、そもそもない「乾けない世代」なのです。
しかし、仕事がなくなっていく時代には、この「乾けない世代」こそが希望になります。
(本書「はじめに」より)
好きなことだけで生きていく人生って、考えたことありますか?
遊びを仕事にしたい、そんなあなたにオススメの一冊!
―HIKAKIN
尾原和啓は稀代のサーファーである。
時代の波を使って技を魅せる。
この人、俺より17歳も年上なのに、なんでこんなこと書けるんだろう。
―落合陽一
<著者情報>
IT批評家・藤原投資顧問シニアアドバイザー
1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。阪神・淡路大震災時の避難所ボランティアの経験から、仕組みやプラットフォームに強い興味を抱く。マッキンゼー・アンド・カンパニー、リクルート、Google、楽天などを経て現職。インドネシア・バリ島在住。