小さな習慣
かわいい。そのかわいさからか、内容は軽めなんじゃないかって疑ってしまうような表紙。
そこには
「目標はばかばかしいぐらい小さくしろ!」
「筋トレも読書もダイエットも!ウソみたいに続けられる」
……とあります。
本当なんだろうか。そう思ってしまいがちな表紙なのですが。これがかなり中身がしっかりした内容で。シンプルなことをこの本は述べています。
「毎日これだけはやると決めて必ず実行する」という習慣化の本で、とにかく「小さすぎて失敗すらできない」ほど小さいことを毎日実行しろということです。
習慣の本は有名な『7つの習慣』など、その他の本も様々読んできましたが、この本ほどシンプルに実行しやすいものはないと思います。
そう思ってしまうくらい、実用的な本です。
コレもやれ、アレもやれ、と様々なことが書かれていて、結局、習慣化できないという本が数多くある中、それとは一線を画すもの。
興味がある人はぜひ読んでみてください。
小さな習慣の著者「ずっと変わらなかった」
あなたもそうかもしれませんが。
著者は「自分の生活を変えよう」と新たな習慣を身に着けようとしてもなかなかうまくいかなかったそうです。
「小さな習慣にたどり着くまでの10年間、私は自分の生活を変えようとあれこれ試しては、いつも失敗していました。最初の小さな習慣を始めたのは偶然からでしたが、自分で起こしたその変化が長続きしていると気づいたとき、それまで頼っていた方法がどれも間違いだったとわかりました」
小さな習慣を始めたのは偶然だったとあるが、それがまさに「小さいことを実行する」というものでした。
小さな習慣 3つのポイント
今回、印象に残った3つのポイントをお話していきます。
小さな行動を必ず実行する
小さな習慣では「毎日これだけはやると決めたことを必ず実行する」。その小ささは通常イメージするものとは明らかに違う小ささだ。
「小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動です。
”小さすぎて失敗すらできない”ものなので、気軽に取り組むことができ、それでいてびっくりするほど効果があるため、新しい習慣を身につけるには最適な方法といえます。
小さな習慣を使えば、世界中の誰よりも、あなたの人生を変えるチャンスが高まります」
目標はとにかく小さくする。
小さいからこそ、抵抗を感じず、始められる。
「どんなプランでも、目標を小さく殴定することが困難の感じ方を小さくするいちばんの方法です。
いったん始めてしまえば、続けるかどうかはあなた次第です。
始めるという最も大変な部分はすでにクリアしているので、その安心感も手伝い、自覚される困難はずっと小さくなるでしょう。
物理の法則と同じで、自分を動かすのがいちばん大変なのは、動き始める前の段階です。いったん動きに入ってしまえば、勢いがついて何もかもが楽になります(同時にモチべーションも上がります)」
小さな行動の例として、この本を2ページずつ読むことを勧めている。2ページ程度のこと。それが小さな行動だ。
「小さな習慣をひとつ始めてみましょう。
この本を毎日最低2ページずつ、最後まで読み続けてください。もっと多くのページを読むのはかまいませんが、少ないのはだめです。
2ページだけならたいした時間も努力も必要ありませんから、できないという言い訳は通用しませんよね。
これであなたは小さな習慣がどんなものかを実際に試しながら、この本を読み進められるわけです」
抵抗をとにかく小さく
やる気になれないような抵抗のようなものを感じたら、小さくすることだ。
「感じる抵抗が最小限になるまで、やるべき課題をどんどん小さくして脳に示しましょう。
もしあなたの目標がジムで運動することなら、それをもっと小さくしてジムまで行くことを目標にしてもいいでしょう。
本当に調子が悪いときには、洋服ダンスの引き出しを開けるだけで精いっぱいかもしれません。それができたら、今度はトレーニングウェアを取り出して着ることを目標にします。
これがばかげて聞こえるとしたら、小さなステップとして成功です!
ばかげて聞こえるのは、あなたの脳がゴーサインを出している証拠なのです。こうした”ばかばかしいほど小さい“ステップは、腕利きの泥棒が宝石店で監視力メラやセンサーを避けるように、脳のレーダーをかいくぐります」
モチベーションが絶対に必要だと考えるのは危険です。
「行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。モチベーションを上げたいと思うこと自体は問題ではないのですが、それがないと何もできないと考えるのは問題です」
「モチベーションが信頼できないのは、それが感情に基づいたものだからです。ずっと昔から、人間の感情は変わりやすく予測できないもの」
感情に影響を受けるので、モチベーションを上げるのは簡単ではない。
「狙いどおりにモチべーションを上げるのは簡単ではありません(ほぼ不可能という場合もあります)。……疲れているとき、病気のとき、頭が痛いとき、何だか”不調”なとき、あるいはもっと楽しい何かをしたくてたまらないときに、モチべーションを上げるのはむずかしいはずです。
……思考によって感情を変えるのはむずかしいのです」
多くを求めないこと
多くを自分に求めない。弱気になる要素はいらない。
「小さな習慣をごまかす方法はいくつかあります。
まず、最もよくあるのは『一日に腕立て伏せ1回』などの小さな習慣を選んでおきながら、こっそりもっと多くの回数を自分に求めることです。
これだけは絶対にしないように本当に注意してください。目標以上の成果を自分に課すたびに、それを達成するための意志の力が必要になるからです。
他の習慣づくりや自己啓発の方法と違って、小さな習慣では弱気になるような要素ははとんどありません」
それでももっとやりたくなったら…。
「最低限の課題をこなしたあとで、もっとやりたいと思ったときには、小さなステップに分けて進むように心がけてください。
ただし、いつも目標以上をやろうとは思わないこと。これまで説明してきたように、この方法で課題をつねに小さくしているのは、たくさんの理由があってのことなのです!
あなただって目先の利益のために将来のもっと大きな成功を危険にさらしたくはないはずです。
……あなたがすっかり怖気づいて、いつも小さなステップだけで終わらせるようにはなってほしくないので、これだけは言っておきましょう。自分に課す小さな習慣が、紙の上で、そして心の中でも小さく見えるなら、あなたの小さな習慣計画はうまくいっています」
小さな習慣 書籍内容
【小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動。この方法を使えば、すべてのことは、習慣化し、目標を達成でき、夢を叶え、人生を変えることができる。何しろ「小さ過ぎて失敗しようがない」のですから】
とってもかわいい装丁の『小さな習慣』ですが、中身は実にしっかりとした内容の骨太な自己啓発本です。
科学的に実証されたデータを引用し、脳の仕組みからなぜ人は「はじめたことを続けられないのか」を説明し、「小さな習慣」こそが「大きな変化」をもたらすことを説く、潜在意識の法則の本質を解明する本です。
なぜ、「小さな習慣」がすぐれているかというと「脳には新しい変化を嫌い、同じ行動の繰り返しを好む」、という傾向があります。私たちの毎日の行動のほとんどは「習慣化」=「何も考えずにやっている」ことで、脳は「習慣化された行動」が大好きなのです。
習慣化されていない行動をするときには、モチベーションや意志の力が必要となるのですが、これが「何かをするとき」に大きな障害になります。モチベーションは感情に左右されるし、意志の力には決断などさまざまな要素が必要になり、それはとても不安定なものだからです。
それに対し「小さな行動」はモチベーションも意志の力も必要としないし、とても簡単な「目標」なので失敗することなく、「成功」体験を感じることができ、その「小さな行動による成功の繰り返し」が自己肯定感を生み、それが自信となり、繰り返し行うことで習慣となっていきます。習慣化された行動が大好きな脳はこうしてやっと「新しい変化」を受け入れます。
「脳は変化を嫌う」ということは潜在意識の法則本ではよく見るフレーズですが、なぜ嫌うのか?についてとってもわかりやすく解説した1冊です。
小さな習慣 著者説明
スティーヴン・ガイズ
2004年より、自己成長ストラテジーの調査と執筆を行っている。2011年にブログ「ディープ・イグジスタンス」を立ち上げ、ホワイト・ダヴ・ブックスによって2012年の自己啓発ブログ第1位に選ばれた。