『世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと』
この本は書店で表紙を見た途端、ずっと興味をもっていた本だった。何より、「生産性バカ」という言葉がインパクトがありすぎ。
でもまさに著者クリス・ベイリーは「生産性」に狂っているバカだった(良い意味で)。
クリスの大学卒業時に(給与も高く、将来のキャリアも約束されていた)2社から内定をもらったのに、それを辞退し、「生産性」の探求のために1年費やし、研究しようと考えた。
それが「生産性の一年」。
ア・イヤー・オブ・プロダクティビティで。
略してAYOPという、そのプロジェクトをスタートさせた。実際に次のことに取り組んだらしい。
「AYOPの内容はいたって単純。丸々一年間、生産性についてなんでも貪欲に取り入れて、自分のウェブサイトに知り得たことを書き込む。AYOPの365日間で次のことを行った。
・生産性に関する書籍や学術誌の記事を片っぱしから読んだ。名の知れた研究は深く掘り下げた。
・生産性の専門家に取材し、彼らがどのように生産的な毎日を送っているか確かめてみた」
「この本は、ぼくの1年間にわたる真剣な調査と実験の集大成だ」
この冒頭を読んだだけでも、興味がわいてくると思う。机上の空論ではなく、偏ってはいるかもしれないが、彼が1年費やした内容なのだから。
この本のポイント
生産性で最も重要なことは時間、集中力、活力をコントロールすること
生産性というと、時間管理だけに注目してしまいがちだけど。そではなく、時間、集中力、活力をコントロールすることだと語っている。
「誰よりも生産的に働く人たちは時間だけでなく、集中力と活力もコントロールしている。
この3つの要素はきわめて重要だ。上手に時間を使わなければ、活力にあふれ、集中力が高まっていても、1日に多くの成果をあげられないだろう。
活力が十分だったとしても、集中できなければ生産的にはなれないだろう。
活力をうまく維持できなければ、時間や集中力をコントロールできたとしても、その日の目標を達成するのに十分な燃料を確保できないことになる。
つまり、時間、集中力、活力をしっかりとコントロールすることがもっとも重要なのだ」
4つの基本をおさえて、生産性を高める
その上で、生産性を高めるには、基本となるのは4つ。
自分にとって「価値」あるものを明確にし、重要な「タスク」を見極め、その上で「3つのタスク」に絞り、「時間、集中力、活力」のバランスを意識し、生産性を高めていく。
1.自分にとって価値あるものを見きわめよう
2.すべてのタスクが重要なわけではない
3.毎日3つのタスクを書きとめよう
4.『時間』『集中力』『活力』を支配する
1.自分にとって価値あるものを見きわめよう。
「もっと生産的になりたい、人生に前向きな変化を与えたいと誰もが思うことだろう。だが、実際にこのふたつを実現するのは難しい。生産的になりたい確固たる理由を持つことが、その意欲を持ちつづける支えとなるはずだ」
2.すべてのタスクが重要なわけではない。
「すべてのタスクが重要なわけではない。時間をかけるだけ目標達成に導いてくれるタスクがある。仕事から一歩引いてみると、重要なタスクを見きわめることができる。時間、集中力、活力を注ぎこむこともできる」
3.毎日3つのタスクを書きとめよう
「<3の法則>は、じっくりと考え、目的を持って働くための最良のテクニックだ。やり方はいたって簡単。毎日仕事に取りかかる前に、その日にやりとげたい三つのことを決める。週のはじめにも同じことをする」
4.『時間』『集中力』『活力』を支配する
「自分の活力レベルがピークに達する時間帯を知って、その時間帯をもっとも重要なタスクにあてる。そうすると、活力と集中力を注ぎこめる。一週間の時間の使い方を追跡することで、時間を有効に使っているかどうか、しっかり集中しているかがわかる」
その他、気になるポイント
<時間を支配する>
インターネットに接続しない
「インターネットは非常に魅力的なので、すぐに病みつきになって先延ばしの原因になる……重要かつ厄介なタスクに取り組むときには接続を切ることだ」
締め切りを決める
「締め切りを決めれば、短時間に圧倒的な活力と集中力を生みだすきっかけになる」「時間が限られているので、お尻に火がつく」
アシスタントを雇う
「人生の一時間を買いとるために、いくら払うつもりがあるか……アシスタントやオンライン・アシスタント(あなたのために遠方で働くパートタイムのアシスタント)、インターンを雇う」
<集中力を支配する>
適切なことを見極める
「仕事は90点以上のものばかりではない。だから、適切なことを見きわめて活力を注ぎこむ必要がある。いちばん大切なことに最大の力を注ぎこむべきだ」
ひとつのタスクを選び、集中
「ひとつのタスクを選ぶ。そのタスクに25分集中したら5分間の休憩をとる。この25分を4回繰り返したあとは15分以上の長めの休憩をとる」
<活力を支配する>
カフェインとアルコールを断つ
「飲み物を水だけにしてみて……カフェインとアルコールを絶っても禁断症状は起きなかった。実験の終盤には、ものすごい量の活力がとくに週末に湧きはじめた」
<睡眠不足>
睡眠不足に注意する
「睡眠時間を一時間削るごとに、少なくとも二時間ぶんの生産性を失う。睡眠不足がもらたす損失はそれくらい大きい」
<その他>
幸せになることが生産的になる鍵
「生産性は幸せにつながる道じゃない。幸せになることが生産的になる鍵なのだ」
未来の自分に詫びる
「ぼくはよくFutureMe.orgを使う。未来の自分へ手紙を送るのだ。とくに未来の自分にお詫びしたいときにそうしている」
書籍内容
【ユニークすぎる教訓、てんこもり! 「FORTUNE」誌で大注目! 「TED」でも話題沸騰! 「生産性」にどっぷり漬かった漢】
ティーンの頃から「生産性」について考えるのが大好きだった「生産性ヲタク」の著者は、大卒後に2つの企業からオファーを受けますが、なんと両方とも誘いをけってしまいます。
代わりに彼が選んだのは「丸1年を生産性の研究に費やす」といった道でした――。
世界中の生産性の達人に取材して情報を集めるかたわら、著者は自ら考えたユニークなアイデアを実験台となり次々と試み、自らのサイト(ブログ)で成果を報告していきます。当初は読者0人だったブログは、TEDが取材に来るまでになったのでした。
この本では、比類なき生産性バカ、クリス・ベイリーが生産性に没頭し、発見した25のことを紹介しています。
無数の知見の中から、本当に効き目があったことだけをピックアップし、まとめたものです。
365日で得られた成果は、【4こままんが】とともに紹介。個性豊かなキャラクターたちがたくさん登場し、楽しみながら読み進められます。
クリスは、「生産性の1年(A Year Of Procutivity)」の中で、生産性は「時間」「集中力」「活力」の三つの要素で成り立っていると悟ります。また、じっくりと考えながら、それらを有効に使えた人が輝かしい未来をつくるのだと、確信します。
クリスの生産性向上作戦(の一部)
6日間で35時間瞑想する/毎朝5時半に起きる/価値あるものを見きわめる/重要なタスクを明らかにして、優先順位をつける/「三の法則」を実践する/活力レベル、時間の使い方を記録する/先延ばし対策/未来の自分とつながる/ネット断ちの効果/新しい時間管理/週90時間労働と週20時間労働を比べてみた/生産性が上がる時間帯の話/生活を整える意味/重要でないタスクとのつきあい方/ブレインダンプで頭を整理する/ホットスポットリストについて/シングルタスクを徹底する/集中力とマインドフルネス・瞑想の関係/筋肉を十ポンド増やす/一ヵ月間水だけ飲んでみる/ソイレントだけ食べる/運動と生産性/睡眠と生産性/地下室で一人きりで生活する/・・・他多数。
<著者について>
クリス・ベイリー
作家、生産性コンサルタント。2013 年にオタワのカールトン大学を卒業後、AYOPと名づけた生産性のプロジェクトを開始。
その活動は〈ニューヨーク・タイムズ〉〈ライフハッカー〉〈ニューヨーク・マガジン〉など多くのメディアの注目を集めた。
現在はブログの〈A Life of Productivity〉を運営し、学生から企業のCEOにいたる幅広い人びと向けに、目標達成に役立つさまざまなアイデアを発信している。
2016 年に出版された『The Productivity Project』(本書の原題)は〈FORTUNE〉のベスト・オブ・ザ・イヤー(2016 年に読むべきビジネスブック)に選ばれている。