『起業の科学』
最近、東京駅近くの丸善で平積みされていた本。Amazonなどでもランキングに入っているのがこの『起業の科学 スタートアップサイエンス』です。
帯には……
「アマゾン、フェイスブック級の成功は奇跡かもしれない。が、あなたの失敗の99%は潰せる」
とある。
一言でいうと、起業の失敗を避けられるという一冊。
ただ、問題点から先にいうと、横書きなので「縦書きじゃないと、読まなくなってしまう」という人には難点(こういう人は結構いる。縦書きじゃないと、何だか読む気がなくなってしまうらしい。僕はそこまでではないけど、やはり縦書きの方が読みやすい)。
あとはKindle。この本はKindleでも読めるようになっているのだけど、とにかくKindle版の構成が読みづらい。
読みたい人はKindleは避け、紙の本を購入することをオススメします。
起業の科学 印象に残ったポイント
失敗しないスタートアップは高い確率で実現できる
基本的な型を身につければ「失敗しないスタートアップ」は高い確率で実現できます。
「私はアマゾンやフェイスブックのような『大成功するスタートアップ』を作ることはアートだと思っている。ただし、この本で示した基本的な型を身につければ、『失敗しないスタートアップ』は高い確率で実現できる」
起業から成功までのステージを解説
起業から成功までの20ステージを5章立てで解説。次の5つの流れです。
- アイデアの検証
- 課題の質を上げる
- ソリューションの検証
- 人が欲しがるものを作る
- スケールするための変革
第1章:アイデアの検証
スタートアップの準備段階での必須事項。ここでどんな課題解決をするのか、それをどう磨き上げるのかを説明していく。
第2章:課題の質を上げる
第1章での課題を顧客が本当に抱えているのかを検証
第3章:ソリューションの検証
第2章で検証した課題を実際に解決するにはどんな方法が最適かを検討する。ここでは試作(プロトタイプ)を用いたユーザーインタビューを実施する。
第4章:人が欲しがるものを作る
人が欲しがるものを作る、つまり、PRODUCT MARKET FIT。
顧客(市場)から熱狂的に愛されるプロダクトの実現が最も重要な目標。
市場の反応を検証するため、実用上最小限のプロダクト「MVP」を構築し、顧客の声を集め、改善を続ける方法を説明。
第5章:スケールするための変革
PVF(人が欲しがるものを作ること)を達成したプロダクトを顧客1人あたりの採算性(ユニットエコノミクス)という観点から改善し、利益が出る状態を実現する方法を解説。
PMFを達成し、採算性がプラスになったら、いよいよスケール(事業拡大)する段階に進む。
……というわけで、まずは第1章のアイデアの検証。そもそも、どういう課題を解決するのか、明確することからスタートする。
無駄なことをしない
時期尚早な拡大など、無駄なことをしないようにする。
「スタートアップの多くは、アイデアや課題設定、プロダクトの検証が不十分なまま時期尚早な拡大に走ってしまう傾向がある」
これによって、多くのスタートアップが時期尚早の拡大が理由で死んでしまう。
時期尚早な無駄なことをしないことです。
起業の科学
書籍内容
スタートアップが必ず直面する課題とその解決策を、時系列に整理。
失敗を潰せる「科学的な起業」の教科書。
あなたの失敗は99%潰せる!
日米で複数の起業経験を持つアントレプレナーにしてベンチャー投資家である著者が、自分自身の起業経験、投資経験を踏まえて「科学的な起業」の考え方を時系列でまとめました。
従来は、スタートアップが成長する過程で、いつ、何を達成すれば目標に向かって前進できているのかを確認できるものさしとなる情報がほとんどありませんでした。
もし、スタートアップの成功に有用な情報があったとしても、様々な書籍やブログ、動画などそれぞれのパッケージの中に散らばっていました。情報を探すにも、読み込むにも膨大な時間が掛かり、忙しい起業家にはなかなか活用しにくいものでした。
そこで、本書では、起業家がカスタマーから熱烈に愛されるプロダクトを生み出し、スケール(事業拡大)できるようになるまでの考え方を20ステップで整理しました。
アマゾンやフェイスブックのような『大成功するスタートアップ』を作ることはアート(芸術)かもしれません。でも、この本で示した基本的な型を身につければ『失敗しないスタートアップ』は高い確率で実現できるのです。
起業の科学
著者情報
田所 雅之
1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育技術)のスタートアップの3社、米国シリコンバレーでECプラットフォームのスタートアップを起業した。 日本に帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルFenox Venture Capitalのベンチャーパートナーを務め、国内外のスタートアップに対する投資を担当している。また欧州最大級のスタートアップイベントのアジア版、Pioneers Asiaのスタートアップ担当責任者を務める。これまで世界中のスタートアップ1500社以上の評価を行ってきた。 日本とシリコンバレーのスタートアップ数社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めながら、事業創造会社ブルー・マーリン・パートナーズ(東京・港)のCSO(最高戦略責任者)、ウェブマーケティング会社ベーシック(東京・千代田)の新規事業担当CSOも務める。2017年、新たにスタートアップの支援会社も設立した。 その経験を生かして作成したスライド集『スタートアップサイエンス2017』は全世界で5万回シェアされた。