実績も経験も人脈もない
「自分には実績も経験も人脈もない」
「立派な経歴もない」
そんな風に考えてしまう人もいると思う。僕だって、そう考えたことはあるし。
クライアント企業の経営者の方に「実績」について相談されることもある。
実績もないし、経験もないし、人脈だってない。だから自信がない、と。これについては否定できない。確かに、多くの人や企業は実績や経歴を見て、人や企業を判断したりする。
書籍などでは著者のプロフィールを見て、どんな人かを判断し、本が買われたりする。
専門家などでも実績や経歴を見て、それで発注する。実績や経験がない人を信用しないのはもちろんある。
でも、実は、実績や経験、人脈などが「ない」ことにも「強み」はある。今回はその話をしたいと思います。特にこれまで「(自分は)大したことをしていない、ダメだな」と考えてしまいがちな起業家の人に読んでほしい、と思います。
無ということ
実績、経験、人脈がない。ビジネスといえるビジネスが生み出せていない。その状況は一言でいえば、「無(む)」ということ。
「無」とはどういう意味かというと、何にも縛られていないので、自由になんでも作れるよ、ってことだ。
有ということ
逆に「有(ゆう)」。あるということはその「あるもの」に縛られてしまう。
既に実施しているビジネスがあれば、そのビジネスに縛られる。
もちろん、そのビジネスが非常にうまくいっているのであれば、それを続ければいい。
だけど、そうでない場合もかなりある。その場合は悲惨だ。
うまくいっていないビジネスに縛られてしまうと、時間も労力もお金もそこに縛られる。もっと良いビジネスがあるかもしれないのに、ずっとそこに縛られてしまう。それは最悪のことだ。
かつてAppleの創業者スティーブ・ジョブズはAppleを解雇された時にこう語っている。
「当時は分からなかったが、アップル社に解雇されたことは、私の人生で起こった最良の出来事だったと後にわかった。成功者であることの重さが、再び創始者になることの身軽さに置き換わったのだ。何ごとにつけても不確かさは増したが、私は解放され、人生の中で最も創造的な時期を迎えた」
無の3つの強み/魅力とは
では、ここから無の強み、魅力を3つご紹介します。
創造性
まず1つめが創造性。
先ほどのジョブズの言葉にこうありました。
「私は解放され、人生の中で最も創造的な時期を迎えた」
人生で最も創造的な時期を迎え、後にスティーブ・ジョブズはiPhoneをはじめとする偉大なる創造をいくつも成し遂げた。「無」であり、何一つ縛られていないので、何でも創れる。
1973年にノーベル賞を受賞した物理学者である江崎玲於奈はこう語っていた。
「創造的な仕事をするために、してはいけない5つのこと ー 今までのいきがかりにとらわれるな。人の影響を受けすぎてはいけない。記憶力には限界があるから、無用のものは捨てよ。闘うことを避けてはならない。安定した満足感を持ってはいけない」
やや乱暴に一言でいうと、「無」ってこと。
今までのいきがかりにとらわれるな、人の影響を受けすぎるな、無用なものを捨てよ、安定した満足感は持ってはいけない、などはまさにそう。
スティーブ・ジョブズが解雇された状況もまさにそうだったわけです。
無から有
2つめのメリットは無から有を習得できるということ。
ビジネスを新たに創る場合、「無」から「有」を創るということ。
たとえ、今後、ビジネスが立ち行かなくなったとしても、無から有を身につけてしまえば、怖いものはない。うまくいかなければ、新たな無から有を創ればいいだけだから。
幾度でも立ち上がることができる。
Appleを解雇されたジョブズのように、です。
シンプル
3つ目として伝えたいのはシンプルさ。
これまでのモノがない場合。無駄をしている余裕はない。
無駄をなくし、創っていかないと「有」は生まれない。そのためには意味のあるものに集中して創り上げる必要がある。
後ろ盾がないからこそ、シンプルさが重要になってくる。そのシンプルさを身につけることができるということ。
時間、お金がない場合
実績、経験、人脈以外に「時間がない」とか「資金(お金)がない」という場合もあると思う。
その場合はなおさら、上記のように創造性、無から有、シンプルさが必要になってくる。時間がなくて資金がないんだから、無駄なことをせず、シンプルに創造していく必要がある。
哲学者ニーチェの
「毎日少なくとも一回、何か小さなことを断念しなければ、毎日は下手に使われ、翌日も駄目になるおそれがある」
という言葉のとおりだ。時間も資金もないのだから、無駄なことに使ってはいけない、シンプルに創り上げていくことだ。
そうすることで、創造性、無から有、シンプルさを身につけることができる。
あなたへの質問
無の状況を味方につけるために次の質問に答えてほしい。
- あなたは実績がない、経験がない、人脈がない、時間がない、お金がないと嘆いたことはないだろうか。
- そう考えてしまうことがあるなら、そこで「無」の強みを意識しているだろうか。
- 「無」の強みを活用するために何ができるだろうか。