多くの人を魅了する商品はどこが違うのか…
様々な商品の顧客調査をしていると、明らかに反響が違うものがある。
10段階評価で圧倒的に10を集める商品。
顧客の1つひとつの声から喜びや満足の感情が異常なほど伝わってくる商品。そうしたものは明らかに他の多くの商品、サービスとは違う。
今回はそんな力強い商品がなぜ人を魅了するのか、について、話していきます。
顧客はあなたの商品に満足しているか
まず、ここで考えてほしい。
「あなたの商品に顧客は満足しているだろうか」
満足している場合、顧客の声は明らかに違うし。そこから紹介も増え、着実にビジネスが回っている。そんな状況であれば、満足されている。
仮にそうでない場合はあなたが知っている、そんな商品についてイメージしてほしい。
ただ、そうした商品は外側から見ていてもわかりづらい。
それだけ力強い商品は、商品それ自体が素晴らしいのではなく、根本にある信念が素晴らしい。(企業やそれに携わる人々の)「信念」や「理由」が違う。
何のためにその商品を世に提供しようとしているのか、何のために戦っているか、が違う。
コロンビア大学で戦略的コミュニケーションプログラムの講師をつとめるサイモン・シネックは「『なぜ』から始めること」が重要だと語った。TEDでも有名だった内容だ。
彼は語った。
「Appleが他の会社と同じだったら こんな CM を作るでしょう。
『我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使え、ユーザフレンドリー、ひとつ いかがですか?』
我々のほとんどはこんなふうに伝えます。マーケティングや売り込みもそう。 これでは心を動かされません。
でも、Appleはこんな風に伝える。
『我々のすることはすべて、世界を変えるという信念で行っています。
違う考え方に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。こうして素晴らしいコンピュータができあがりました』全然違うでしょう?
今したのは情報の順番を逆にすることでした。
これが示すのは 人は『何を』ではなく、『なぜ』に動かされるということです。人は『何を』ではなく、『なぜ』に動かされるのです」
表現は少し違うけど、力強い商品は力強い「信念」「理由(なぜ)」をもつ。信じていることが違う。だから視点も変わり、商品全体が違うものになってくるわけです。
多くの非難は避けられない
もちろん、非難も生まれてくる。他と違うのだから、全てに好かれるわけではない。
たとえば、あなたの企業が「シンプル」を追求するとしたら、多くを切り捨てる必要がある。これもいらない、あれもいらないと。そうなると(顧客ではない)多くの人に「機能が少ない」「アレができない」などと非難される。
でも、そのシンプルさが顧客に受け入れられているのであれば、それ以外の第3者に何を言われても気にする必要はない。機能を少なくしたことで顧客が満足しているなら、そのことについてむしろ誇りにもつべきだ。
信念、理由を明確にする
信念や理由を明確にすることだ。そこが明確でなければ、ちょっとしたことでグラグラっと揺らいでしまう。根本にある信念が簡単に揺らぐようであれば、顧客に力強く訴求できないし、響きはしない。
商品、サービスを創る以前にその核となる信念や、それを創る理由が明確になっているかが重要になってくる。
横浜のあるラーメン屋
幼い頃、横浜のある街に住んでいた。
その街の近くに地元の人間に人気のラーメン屋があった。半端ではない人気で。その理由は味以上に、その信念だった。
「ラーメンはスープが重要」という信念。
それはよく言われていることかもしれないけど、その店は美味いスープが早朝にできないと、「今日はスープが美味しくないから、閉店だ」とその日は店を閉めてしまう。
「すげえ、店だ。スープが美味しくないと店を開かないらしいぞ」
と友人たちと驚きと、ある種の羨望の中、そのラーメン屋に通っていたことを覚えている。
ラーメン屋の名は吉村家。
実は横浜の家系ラーメンはその店から生まれ、神奈川はおろか、東京に広がり、全国的に広がっていった。有名な『家系』だ。
「美味しいスープができなければ、その日は店を開かねえ」といった店主の気持ちが全てのスタート。今も家系ラーメン全てがそうかというと、そんなことはないけど。当時を知る者からすると、今でもその信念は凄まじかったと思ってしまう。
そんな信念、理由が人を惹きつける。スープの話を聞いてから30年にはなるけど、今だに近くに住んでいた僕らの心の中に刻み込まれているのだから、本当に強烈だ。
力強い商品、サービスはその根底に力強い「信念」「理由(なぜ)」がある。
あなたへの質問
さて、あなたの商品、サービスを力強くするために次の質問に答えてほしい。
- あなたの商品、サービスは何のために存在するのか。
- あなたの商品、サービスはどのような信念のもと、創られたものなのか。本気で信じていることは何だろうか。