R社は
会社も商品も
知名度がなかった
数年前のことです。
R社でダイレクトマーケティングを展開していました。ダイレクトマーケティングというのは、カンタンにいうと通信販売。
ただ、問題がありました。知名度がなかったのです。会社も知られていないし、商品も知られていない。
そのため、プロモーションを展開しても顧客の反応は鈍い。プロモーション量を増やすため、多額のコストを投下しても反応は鈍いままだったのです。まるで複雑な迷路に入り込んでしまったような状況でした。
もし、あなたの企業や商品が顧客に知られていなかったら、今回の話はきっと参考になると思います。
うまくいかないまま
外部の企業(広告代理店)に依頼
R社は努力はしていました。
彼らなりに努力はしていたのですが、ダイレクトマーケティングの経験が浅かったせいもあり、「どうしていいのか」答えが見つからないまま、その展開を続けてしまったのです。
当時、外部の企業(広告代理店)にマーケティングや広告面の協力を依頼していたらしいのですが、その企業はこう回答したらしい。
「企業も商品も知られていない。顧客への訴求が足りないので広告の展開をさらに増やした方がいいですね」
広告代理店のその言葉を信じ、プロモーションを拡大したわけです。
結果はどうだったのか…
その結果は悲惨でした。もはや、ダイレクトマーケティングから撤退しようと考えなければならないほど、ひどい状況に終わったのです。
「ダイレクトマーケティング」や「ネットビジネス(ネットでの展開)」は、非常に良い、と言われていますが、実際にはこのように厳しい状況に陥ってしまう企業はいくつもあるのです。
同じ状況のS社
もう1社同じような状況にある企業S社がありました。僕が彼らを知った当初はR社と同じで、顧客にほとんど知られていない商品を販売していました。
会社も知られていないし、商品も知られていない。まさに同じ状況でした。
でも……
結果は違いました
ただ、違ったのはたった一つのことです。
僕は彼らR社にある方法を提案しました。
彼らの問題をクリアする成功確率が高い方法を、です。先ほどのR社のように、大量の広告を展開するなどではないので、失敗してもリスクはほとんどありません。
その方法を用いたことで、S社は徐々に成果があがるようになりました。今、彼らのビジネスは順調に成長を遂げています。
その一つの方法については、後ほどお話しますが、その前に知ってほしいことがあります。
有名にならないと
いけないのか?
ここで考えてほしいことがあります。
冒頭のうまくいかなかったR社の課題は「知名度がない」ということでした。企業や商品が知られていない。そのために広告を展開しましょう、という話でした。
これはR社だけではありません。同じようなことをしてしまう起業家の方は非常に多い。
僕は起業家の方の支援をします。そんな彼らからの相談にも「有名になりたい」というのがあります。彼らは「有名にならないとビジネスがうまくいかない」とさえ、考えていたりするケースだってあります。これは事実でしょうか?
そんなことは
ありません
そんなことはないのです。
僕らの目的は芸能人のように、有名になることではありません。認知を高めることでもありません。ビジネスを成功させることが目的なのです。
有名でないのであれば、単純です。有名なところと組めばいいんです。
具体的にいえば、既に顧客に知られている「企業」や「誰か」と組めばいいわけです。これは大手などでもフツウに行われているものです。
ファーストリテイリングの事例
大手でいえば、ファーストリテイリングもその一例です。
彼ら(ファーストリテイリング)は2002年に中国に進出します。ですが、知名度不足もあって、なかなかビジネスがうまく行かず、店舗数は香港も合わせて33店にとどまっていました。
規模は違いますが、彼らは知名度がなくて困っていたわけです。先ほどのR社やS社のスタートの段階と同じ状況です。
そこで、2009年頃、ネットで高い知名度があり、集客力もある、中国のEC大手の『アリババグループ』と組みます。つまり、有名なところと組んだわけです。
このように「ジョイントベンチャー」によって、高い知名度、高い集客力を一瞬にして手に入れたわけです。
ジョイントベンチャーの
成功
ファーストリテイリングのジョイントベンチャーはその後も順調で。アリババが開催した2015年11月11日のセールでは、ユニクロはわずか1日で115億円もの売上をあげ、日本企業で唯一のランクイン企業になったりもしています。
ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長は次のようにコメントをしています。
「今回のセールで、ユニクロが全業態4位、アパレル部門1位という実績を達成できたことを、非常に光栄に思っている。これは、ユニクロをご愛用くださるすべての中国のお客さまのおかげであり、心から感謝申し上げる。私たちは今後も、中国に限らず全世界でインターネットビジネスを拡大し、より多くのお客さまにユニクロの良さをお伝えしていきたいと考えている」
小規模な企業でも
十分に可能
「ファーストリテイリングのような大手ではないので……」と考える人もいると思いますが、僕自身が関わったS社はもちろん、その他の起業家のケースでも幾度も行っています。
それに小規模な企業の方がこちらの方法を用いるべきです。
仮に広告を展開した場合、失敗すれば、多額の広告費を失うことになる。それだけの多額の損失は大手であれば、大丈夫ですが、小規模な企業では致命傷になります。
でも、ジョイントベンチャーは違う。
スタート段階では資金を必要とせず、提携先企業の高い知名度、高い集客力を活用させていただくことが可能なのです。
無理に
有名にならなくてもいい
もちろん、有名になること自体が意味がないわけではありません。有名になれば、売れるようになることは事実です。
ただ、時間や労力、資金をかけて、無理に有名になることを目指し、結果、うまくいかないなんてことを避けてほしいのです。
乱暴にいえば、あなたは「売れる商品」を用意するだけでいい。
集客から販売まで何もかも用意する必要はない。提携先企業の高い知名度、高い集客力を活用させていただけばいいわけです。
提携先企業のことは顧客が知っていて、しかも信用している。当然、あなたの商品の購入率は飛躍的に高まるわけです。