抵抗力を知らないと売れない
僕らの世界には「抵抗力」が存在する。
抵抗力はそこら中にある。
目に見えないけど、確実に存在するのが「空気抵抗」。
仮に空気抵抗がなければ、上から下に落下するモノは、落ちるに従って、加速していく。すると、僕らが全く恐れてもいない「雨」でさえ、恐ろしいものに変化する。雨に当たって、死んでしまうかもしれない。
でも大丈夫なのは抵抗力のおかげ。
雨が落下する進行方向と、反対に空気の抵抗力が作用しているので、大丈夫なのだ。
こう説明すると、「抵抗力」が素晴らしいものだと思うかもしれないけど、この「抵抗」する力が僕らのビジネスを悩ませるものでもある。
抵抗の意味
ここでまず押さえてほしいのは、抵抗とは何かということ。
先生に抵抗する、権力に抵抗する、などと使われることもあるので、やや意味が微妙に違って受け取られている可能性もあるけど。実際の「抵抗」という意味は
「外からの力に負けまいと努めること」
つまり、抵抗力を生むためには、大前提として外からの力が加わる必要がある。
先ほどの雨の例であれば、上から下に落ちる力。この力があるからこそ、空気抵抗が生まれる。逆に落ちる力がなければ、抵抗力は生まれない。
売るために知るべき「抵抗力」
ここからはとても重要。
確実に押さえてほしいのだけど、僕は17年を超える期間、マーケティングに携わり、自らのビジネスはもちろん、様々なビジネスに関わってきた。
そこで取り組んできた核となる問題の一つは、この「抵抗力」をいかに消し去るか、だった。
先ほどの「雨」の話でいえば、あなたの商品やサービスを顧客に売り込もうとするのは、上から下に落ちる力で。外から力を加えているようなもの。すると、顧客の心にそれに抵抗しようとする力が生まれてしまう。
つまり、売る側が「この商品は素晴らしいんです」と強く売り込もうとすると……。
買う側の顧客は「そんなに素晴らしいのかな。どうせ、大げさに言っているんだろう」などと、疑い、不信感をもち、聞く耳を持たなかったり、と抵抗力が生まれてしまう。
強引に売り込もうとすればするほど、「買いたくない」という抵抗力が生まれてしまう。
これはマーケティングをやって数年の段階からの僕の課題でもあった。
どうやって、この抵抗力を消し去ればいいんだろう、と。
では、ここから「顧客に『買いたくない』と抵抗感を持たせず、無理なく売れる1つの技術」について話をしていきたい。
顧客に抵抗感を持たせず、無理なく売れる1つの技術
まず質問
まず、あなたに質問をしたい。
あなたなら、こうした「抵抗力」にどのように対処するだろうか。
時間がある人は、ここで3分、いや1分でもいい。軽く考えてみてほしい。自分で考えてみることが非常に重要なのだ。
抵抗感を持たせず、無理なく売れる1つの技術
さて、どうだっただろうか。
何か、どのような方法が思いついただろうか。
僕もまさにマーケティングに取り組んだ当初は毎日のように、その疑問の解決を考えていた。
そこでヒントになったのは「抵抗」というその意味だった。
「外からの力に負けまいと努めること」
そして、物理にでてくる「物体の落下」についての空気抵抗に関する話。細かい話はいいのだければ、それらはとても大きなヒントになった。
外からの力がなければ、抵抗する力が生まれない。
これは当時の僕にとっては大きな発見で。
とても大きな前進だった。
営業マンでも何でも優れた売り手の人は、「売るべき理由」ではなく、「顧客が買うべき理由」を伝えてくれる。「売るべき理由」じゃなく「買うべき理由」だから、スーッと顧客の心に響きやすい。
ただ、それでも「抵抗」する力は生まれてしまう。
だったら、どうすればいいかというと……。
買い手自身が「買うべき理由」を見い出せるようにすればいい。
特に必要なケース
ここで話していることが特に必要なケースは、顧客に根本的な行動を変えてもらうケース。
たとえば、あなたがスターバックスで働いているとして
「ドトールやタリーズなどより、スタバの方がオススメですよ」
と訴求していくようなものではなく。
そもそも、カフェに行く習慣がない人にスタバを訴求する時だ。
この場合はドトールからスタバよりもはるかに難易度が高い。そもそも、カフェに行くという習慣がなく、根本的な行動を変えてもらうことからスタートする。
このようなケースで外から「カフェに行った方がいいですよ」と言われるのは、まさに「外からの力」が加わるし、何より自分の生活や行動を否定されたようなものだからだ。
こうした時は顧客自身が「そうすべき理由」を見出すようにした方がはるかにいい。
しかも人間には「一貫性」をもたせようとする習性があるので、一度や二度カフェに行きはじめれば、それをその後も継続する確率が格段に高まってくる。
顧客自身が自分を説得する方法
顧客自身が自分を説得する方法については、いくつか方法がある。
僕が当時見つけた方法は
試乗
これはまさに車の試乗と同じ意味。
試乗の場合は車を運転させてもらって、自分でその車の良さ、魅力を感じる。
セールスマンに「この車はここがいいんです。あそこがいいんです」などと言われ、売り込まれている時とは全く違う感情になり、抵抗感なく、無理なく、その魅力を感じてしまう。
これこそが顧客自身が自分を説得する方法の一つで、応用すれば、車だけでなく、WEBでの展開にも利用することが可能だし、本当にオススメの方法だ。
もう一つの方法
もう一つの比較的簡単な方法は
質問をする
過去にこんな実験が行われた。
煙草をやせさせるための実験なのだけど。喫煙者のグループを2つにわけて、一方の喫煙者グループには「なぜ煙草がよくないか」を書き出してもらい、もう一方の喫煙者グループには、「なぜ煙草がよくないか」を聞いてもらった。
すると、その後も喫煙を続けた数が減ったのは前者(自分で考えたグループ)で。前者は後者の半数だったという。質問することは非常に効果的なのだ。
色々と話してきたけど、今回、押さえてほしいことは次のこと。
外からの力がなければ、抵抗する力が生まれない。
外からの力を極力減らし、顧客の心の中に抵抗力を生まずに売ること。
それがとても重要なのだ。
まとめ
- 外からの力がなければ、抵抗する力が生まれない
- 試乗してもらう方法、質問する方法は顧客自身が自分を説得するのに、非常に効果的だ。
あなたへの質問
- あなたは外からの力をかけないように工夫しているだろうか。
- 顧客への抵抗力を極力減らし、顧客自身が「買う理由」を見出すような仕組みを何か実行しているだろうか。