商品を売る時に商品を伝えていませんか
僕はこれまで17年ほどマーケティングに取り組み、今では大手企業やベンチャー企業などの顧問などをし、マーケティングの支援をしたり、著書などを出させていただいたりしています。
でも結構回り道もしました。数え切れないほどの失敗もしています。
その中でプロモーション(販促)については、コピー(売れる文章)をはじめ、膨大な量に取り組んでいるので、今回はそれを振り返りながら、お話します。
「商品を売るにはどうすればいいのか?」
これは本当によく聞かれる質問で。
僕自身もその方法が見えなかった時に本当に悩みました。
ただ、そのビジネスの状況やスキル、能力にもよるので、一概には言えないのですが。特にここが「違う」と考えていることがあります。
間違えているケースでよくあるのは、商品を伝える時に「商品」もしくは「解決策」を伝えようと必死なことです。
(今回の内容は特に何らかの問題解決するような商品/サービスに活かせる話です)
売れない2つのケース
- 「この商品は……です」
- 「この商品であれば、……(解決策)ができます」
という風に伝えることがありますよね。
1の「この商品は……です」というのは顧客に「商品」を伝えるケース。
このように商品を前面に伝えるのは、商品が認知されていたり、低価格であったりすればいいのだけど。無名の企業や商品は注意した方がいいです。高額の商品であれば、まず売れないです。
2の「この商品であれば、……ができます」などというのは顧客に「価値」を訴求するもので、商品を前面に訴求するよりは確かに良いです。ですが、さらに成果を高める方法があるんです。これではまだ不十分なんですよね。
実は僕も間違えていました…
僕はマーケティングにこれまで17年ほど取り組んできましたが。
最初の10年は某大手金融機関グループのある事業のマーケティング部の責任者(課長)をやっていたんですよね。
膨大な広告コストで大規模に広告を展開する。その中盤の僕はそれなりには成果を上げられるようになっていましたが、「価値(解決策)」を伝えれば、売れるだろう、とまだ考えていました。
でも、その後の高い成果を考えると、その時期は失敗といえるもので成果は中途半端でした。
その後、成果が上がるようになった理由はいくつかありますが、その1つは「解決策」よりも先に「問題」にフォーカスし、それを訴求するようになったからです。
「解決策」にはその前に必ず(解決すべき)「問題」があります。
それに、顧客が直面し、苦しんでいるのはまさに「問題」です。
病気でいえば、「カラダのどこかが痛い」と苦しんでいる。
「痛い」と苦しんでいる。そこで「解決策」を売ろうとしていたのですが、彼ら顧客が毎日のように昼も夜も苦しんでいるのは「痛い」ってことです。その微妙な違いが実は大きいわけです。
顧客を本気では見ていない
当時、競合も分析しましたが、ほぼ全ての企業が商品(の特徴)か解決策を訴求していました。表現も企業の目線のものだし、その訴求内容も企業の目線からのものだったわけです。
つまり、顧客のことを本当の意味では見ていない。
「あぁ、こんなに違うのか……」と気がついて。
競合が商品の特徴や解決策を訴求している中、「問題」をどこよりも先に訴求したわけです。
そして、その問題での差別化を図ったわけです。
図にあるように「問題」の方が先なわけです。圧倒的に有利です。
しかも、他社は「専門的な解決策」を伝えていたりする。顧客にはわかりづらいわけです。そこで、自分たちは顧客の日常にある「問題」を顧客の言葉で訴求したわけです。
顧客の生活の中で最も使われる要素、言葉。それらを探り、それらを用いたわけです。
結論からいえば、これが信じられないほど、うまくいきました。
いえ、現在でも。支援企業の中には創業してわずか数年で年商10億に達した企業もありますが、それらはここを明確に訴求しているわけです。
競合が「解決策」を提示する中、それよりも先に顧客が常に考えている「問題」を伝えていく。
これを実現すると、商品が売れるようになるわけです。
問題での差別化を図る。
僕がやっていたのは「問題」での差別化です。
商品を売ること以前に「問題」を伝える(売る)。
それが成功すると何が違うのかというと、あなた(もしくはあなたの企業)はその問題の専門家になり、その問題の解決策は顧客は当然、あなたに求めるようになるわけです。
ただ、ここで重要なことがあります。
訴求する「問題」は顧客が直面している現実の問題だということ。
あなたが勝手に創り出した曖昧な問題ではなく、妄想のような問題でもない。
顧客が直面する現実の問題を具体的に指摘するように、訴求していくわけです。
ビジネスだけではないですが、世の中の多くの人は自分のことを考えています。ビジネスだって、本当の意味で顧客を見る企業はそれほど多くはない。
ましてや、顧客の問題を徹底して、見る企業は少ないわけです。
顧客の「問題」を具体的に指摘することは、他を圧倒する差別化を実現します。
あなたが取り組むべきは単なる問題ではなく、「差別化問題」を見出すことです。
差別化問題の創り方
圧倒的な差別化を生み出す場合はリサーチや分析を綿密に実施していきます。
顧問先企業や商品開発実践講座でのクライアント企業には100%、リサーチ(調査)を実施していきます。そして、僕も関わり、深く分析をしていきます。それをやれば、完璧に見つかるのですが。
ただ、今回はもっとシンプルな方法を話します。これでもあなたの商品の訴求力は大きく変わります。
1.顧客の問題をブレインストーミング
とにかく、(商品に関わる)顧客の問題を出せるだけ出しまくる。
ブレインストーミング。略してブレスト。本来は集団でアイデアを出す会議などで使います。実際にやったことがあると思いますが、あれはビジネスだったり、商品アイデアだったりを考えるのに使われることが多いですよね。
ただ、今回はそれを自分でやってみる。良い「問題」を考えよう、などと思わなくていいので、とにかく数を出しまくる。さらに、出てきた問題をもとに、さらに新たな深い問題もあげていきます。顧客の問題を出せるだけ広く深く出してください。
2.顧客の最大問題は何か
いくつもの問題の中から顧客の最大の問題(最大問題)を探ります(リサーチなどをしているのであれば、そこからも見てください)。
- 顧客が四六時中苦しんでいる問題は何か(常に苦しんでいる問題)
- お金を払ってでも解決したい問題は何か(お金を払ってもいい問題)
これらの視点で「最大問題(最大の問題)」を探っていく。
ここで重要なのは、商品や解決策を探るわけではなく、最大問題を探ることです。
商品と問題。その違いが大きな違いを生み、大きな成果を生みます。
さらに見て欲しいのは、その最大問題を解決すると、他の大きな問題を解決するのか。その点も探ると、最大問題のインパクトが明確に見えてきます。
3.最大問題の訴求
最大問題を探ったら、その最高の伝え方(訴求法)を探ります。
次の質問を自分に投げかけ、「伝え方(訴求法)」を考えてみてください。
- 最大問題を解決できないと、(顧客は)その他の大きな問題がどれほど解決できないか(解決できない問題の範囲を探る)
- 最大問題を解決できないと、最終的にどのような困難(結果)に陥るか
- 最大問題を解決できないと、どれだけのお金、時間、労力をムダにするのか
- 最大問題について、顧客はどれほど苦しんでいるのか。その理由(原因)は何か
- 最大問題に顧客はこれまでどのように対処してきたのか。その理由(原因)は何か。
こうした質問への回答をもとに訴求法(伝え方)を探るわけです。問題1つひとつから、色々な伝え方が見つかるはずです。
4.テスト
いくつかの「伝え方(訴求法)」を実際にテストしていきます。
ブログなどがあれば、そこで展開し、反響を見ていくわけです。結果を見れば、最高の「伝え方(訴求法)」がハッキリとわかります。
5.最大問題の最高訴求
ここまで来ると、最大問題を最高の訴求法で伝えられます。
それをあらゆる場所で告知していくだけです。
そして、コンテンツを創る時も、最大問題を最高の訴求法で伝えていく。それを確実に実施すると、問題の時点で他社に先んじることができます。
まとめ
今回の話は問題での差別化。それを実現するということです。
顧客が常に悩んでいる問題を訴求することは、それが具体的であればあるほど、そして、それがユニークであればあるほど、高い成果を上げています。ぜひ、取り組んでみて下さい。
本格的に実施したい場合は商品開発実践講座がオススメです(当サイトSELPROで最も人気がある講座です)。